静岡県の障害福祉を徹底解説:県の司令塔「障害福祉課」と浜松市の先進事例から学ぶ共生社会への道筋

  1. なぜ今、静岡県の障害福祉に注目すべきか
  2. 静岡県の障害福祉を司る司令塔「障害福祉課」の役割
    1. 県の障害福祉施策の中核を担う組織
    2. 県の羅針盤「ふじのくに障害者しあわせプラン」
    3. 国の方針と県の役割
    4. 【キーポイント】障害福祉課の三つの機能
  3. 【浜松市 事例分析】県のビジョンは基礎自治体でどう具体化されるのか
    1. 浜松市の障害福祉計画:市民一人ひとりに寄り添うための設計図
    2. 重点施策①:切れ目のない「相談支援体制」の構築
      1. 浜松市が誇る「三層構造」の相談支援ネットワーク
      2. 「地域生活支援拠点等」の整備と機能
      3. エリアごとのきめ細やかな対応
    3. 重点施策②:自立を支える「就労支援」の強化
      1. 具体的な数値目標が示す「本気度」
      2. 多様なニーズに応える多層的な就労支援サービス
      3. 当事者と企業の双方にアプローチする浜松市独自の取り組み
    4. 重点施策③:地域で安心して暮らすための「生活支援」と「環境整備」
      1. 「施設から地域へ」の流れを加速する支援
      2. 権利擁護と虐待防止への取り組み
      3. 共生社会の土壌を育む「啓発・広報活動」
  4. 障害福祉サービスを利用するには?手続きと窓口案内
    1. サービス利用の基本的な流れ
    2. 利用できるサービスの例
    3. 静岡県内・浜松市の主な相談窓口
  5. まとめ:県と市町村の連携で築く、誰もが暮らしやすい共生社会へ

なぜ今、静岡県の障害福祉に注目すべきか

近年、日本の社会は大きな変革期を迎えている。人口構造の変化、価値観の多様化が進む中で、誰もがその人らしく、尊重されながら暮らせる「共生社会」の実現は、国全体の喫緊の課題となっている。この大きな潮流の中で、静岡県は「障害のある人が分け隔てられない共生社会の実現」という明確なビジョンを掲げ、先進的な取り組みを進めている地域として注目を集めている。

このビジョンの実現に向け、県全体の障害福祉施策を統括し、方向性を定める司令塔の役割を担っているのが「静岡県 健康福祉部 障害福祉課」である。障害福祉課が策定する計画や方針は、県内35市町へと展開され、それぞれの地域の実情に応じた具体的なサービスとして結実する。つまり、県の描くマクロな視点と、市町村が展開するミクロな実践が両輪となって、静岡県の障害福祉は前進しているのである。

本記事では、この構造に着目し、まず県の司令塔である「障害福祉課」の機能と役割を解き明かすことで、静岡県全体の障害福祉の方向性を理解する。その上で、県内最大の政令指定都市であり、特に先進的な取り組みで知られる「浜松市」の具体的な事例を多角的に深掘りする。浜松市がどのように県のビジョンを市民一人ひとりに届く施策へと昇華させているのか、その「相談支援」「就労支援」「生活支援」の三つの柱を詳細に分析することで、静岡県における障害福祉の現在地と、共生社会に向けた未来像を立体的に描き出すことを目的とする。

静岡県の障害福祉を司る司令塔「障害福祉課」の役割

静岡県の障害福祉施策を理解する上で、その中核を担う「静岡県 障害福祉課」の役割を知ることは不可欠である。障害福祉課は、県全体の施策を企画・立案し、国と市町村をつなぐハブとして機能する、まさに県の障害福祉の司令塔と言える存在だ。

県の障害福祉施策の中核を担う組織

静岡県庁の組織において、障害福祉課は健康福祉部障害者支援局に属し、その名の通り、身体・知的・精神に障害のある人々の保健及び在宅生活の支援を主な業務としている。その業務は多岐にわたり、専門性に応じて課内に複数の班が設置されている。

  • 身体障害福祉班:身体に障害のある児童・成人の在宅福祉に関する業務を担当。
  • 知的障害福祉班:知的障害や発達障害のある児童・成人の在宅福祉に関する業務を担当。
  • 精神保健福祉班:精神保健及び精神障害者の福祉、さらには自殺総合対策に関する業務も担う。
  • 手帳手当班:身体障害者手帳の交付や、特別児童扶養手当などの各種手当に関する事務を担当。

これらの班が連携し、障害種別ごとの専門的な支援から、手帳や手当といった制度的な運用まで、県内の障害福祉全体を網羅的にカバーしている。

県の羅針盤「ふじのくに障害者しあわせプラン」

静岡県障害福祉課が推進する施策の根幹には、が存在する。この計画は、2024年度から2026年度までの3年間を対象とし、障害のある人が必要とするサービスが県内全域で適切に提供される体制を確保するための、いわば県の羅針盤である。

計画では、障害福祉サービスの種類ごとに、3年後の提供体制の見込み量や確保のための方策が具体的に定められている。その基本目標として掲げられているのが、序論でも触れた「障害のある人が分け隔てられない共生社会の実現」である。この目標達成のため、2024年4月に施行された改正障害者差別解消法に伴う民間事業者による合理的配慮の提供義務化への対応など、社会の変化に応じた施策の方向性も明確に示されている。

国の方針と県の役割

日本の障害福祉制度は、国が定める法律(障害者総合支援法など)や方針に基づいて構築されている。厚生労働省は、障害福祉サービスの質の向上や適正な運用のために、定期的に事務連絡や通知を発出する。例えば、重度の肢体不自由者等に対する重度訪問介護の適切な運用や、特別なコミュニケーション支援が必要な障害児者が入院する際の支援者(ヘルパー)の付き添い受け入れの促進などがそれに当たる。

こうした国からの通達を受け、県(障害福祉課)は、その内容を管内の市町村や関係機関に正確に周知し、現場で円滑に実施されるよう指導・助言を行う重要な調整役を担う。法改正や新たな制度が導入される際にも、県が中心となって研修会を開催したり、相談窓口を設けたりすることで、市町村の担当者が混乱なく対応できる体制を整える。このように、障害福祉課は、国のマクロな政策と、市町村のミクロな実践とをつなぎ、県全体のサービス水準を維持・向上させるための不可欠な存在なのである。

【キーポイント】障害福祉課の三つの機能

  • 企画・立案機能:県の最上位計画「ふじのくに障害者しあわせプラン」を策定し、障害福祉施策の全体的な方向性を決定する。
  • 執行・管理機能:障害者手帳や手当の交付事務など、制度の安定的な運用を管理する。
  • 調整・推進機能:国の方針を市町村に伝達・周知し、県内全域で質の高いサービスが提供されるよう、市町村や関係機関を支援・指導する。

【浜松市 事例分析】県のビジョンは基礎自治体でどう具体化されるのか

静岡県が掲げる「共生社会の実現」という壮大なビジョンは、基礎自治体である市町村の具体的な施策を通じて、初めて市民の暮らしに変化をもたらす。ここでは、県内最大の人口と面積を誇り、障害福祉分野で数々の先進的な取り組みを行う政令指定都市・浜松市をケーススタディとして取り上げる。県の大きな方向性を、浜松市がいかにして市民一人ひとりに寄り添う「設計図」へと落とし込み、実践しているのかを詳細に分析する。

浜松市の障害福祉計画:市民一人ひとりに寄り添うための設計図

浜松市の障害福祉施策の根幹をなすのが、および、その実施計画である「第7期障がい福祉実施計画」である。これらの計画は、障害者基本法や障害者総合支援法に基づき、「障がいのある人の自立及び社会参加の支援」を基本理念として策定されている。

特筆すべきは、その策定プロセスである。浜松市は、計画を作るにあたり、学識経験者や障害福祉サービス事業者だけでなく、「浜松市障がい者自立支援協議会 当事者部会」といった当事者の意見を聴取する場を設けている。さらに、計画案の段階でパブリック・コメントを実施し、広く市民からの意見を募る。このプロセスを通じて、行政の視点だけでなく、実際にサービスを利用する当事者やその家族、そして地域住民の多様な声が計画に反映され、より実効性の高い「市民のための設計図」が作り上げられている。

重点施策①:切れ目のない「相談支援体制」の構築

障害のある人やその家族が地域で安心して暮らすためには、困ったときにいつでも、どこでも相談できる体制が不可欠である。浜松市は、この「相談支援体制の整備」を最重要施策の一つと位置づけ、全国的にも先進的な重層的ネットワークを構築している。

浜松市が誇る「三層構造」の相談支援ネットワーク

浜松市の相談支援体制は、機能の異なる3つの層で構成されている。これにより、相談内容の専門性や緊急度に応じて、最適な機関が対応できる仕組みとなっている。

  • 第1層:計画相談支援事業所:市民にとって最も身近な相談窓口。障害福祉サービスを利用するための「サービス等利用計画」の作成を中心に、個別の相談に応じる。市内に多数点在し、きめ細やかな支援の基盤を担う。
  • 第2層:委託相談支援センター:より広域的な相談支援を担う機関。浜松市は広大な市域を7つの圏域(中・東・西・南・北・浜北・天竜)に分け、各エリアに行政センター内などに委託センターを設置。一般的な相談支援や、第1層の事業所への助言などを行う。
  • 第3層:浜松市障がい者基幹相談支援センター:市全体の相談支援体制の中核を担う機関。困難事例への対応、人材育成、関係機関との連携強化、権利擁護・虐待防止など、市全体の相談支援の質を向上させるための司令塔的役割を果たす。

この三層構造により、多様化・複雑化するニーズに対し、身近な場所での初期対応から、専門機関による高度な対応まで、切れ目なく、かつ柔軟に対応できる体制が実現されている。

「地域生活支援拠点等」の整備と機能

国が推進する「地域生活支援拠点」は、障害のある人の重度化・高齢化や「親なきあと」を見据え、地域全体で生活を支えるための体制である。浜松市はこの整備にも積極的に取り組んでおり、その機能は以下の5つの柱で構成されている。

  1. 相談:常時の相談体制。上記の三層構造がこれを担う。
  2. 緊急時の受け入れ・対応:24時間365日の連絡体制を確保し、介護者の急病など緊急事態が発生した際に、短期入所(ショートステイ)先などを迅速に調整・確保する。
  3. 体験の機会・場:施設や親元から自立を目指す人が、グループホームでの生活などを体験できる機会を提供する。
  4. 専門的人材の確保・育成:専門性の高い支援ができる人材を育成し、地域に配置する。
  5. 地域の体制づくり:地域の様々な関係機関(医療、福祉、教育など)が連携するネットワークを構築する。

浜松市では、この拠点全体のコーディネート機能を「基幹相談支援センター」が担っている。緊急時に備えて事前にハイリスク者を登録・把握し、関係機関で情報を共有する「浜松市障がい者緊急時対応事業」など、具体的な仕組みが整備されており、いざという時のセーフティネットとして機能している。

エリアごとのきめ細やかな対応

浜松市の特徴は、市全体での普遍的な仕組みづくり(マクロ)と、7つの相談圏域(エリア)ごとの実情に応じたネットワークづくり(メゾ)を両立させている点にある。浜松市地域生活支援拠点等ガイドブックでは、委員の一人が「浜松市は面積が大きい分、土地柄ごとの課題があり、大変多様です。(中略)エリア単位では、より身近で同じ課題意識を持った人たちが参画し、より『自分事』として議論することで、新しいアイデアも発想しやすい」と述べている。

各エリアでは「エリア連絡会」や「共同支援会議」が開催され、個別の支援ケースで明らかになった課題を、その地域全体の課題として共有し、解決策を検討する文化が醸成されている。例えば、ある一人の移動手段の課題が、エリア全体の交通サービスの改善提案につながる、といった具合だ。こうしたボトムアップのアプローチが、浜松市の相談支援体制をより強固で実用的なものにしている。

重点施策②:自立を支える「就労支援」の強化

障害のある人が地域で自立した生活を送る上で、就労は経済的な基盤であると同時に、社会参加と自己実現の重要な手段となる。浜松市は「雇用・就労」を重点施策と位置づけ、野心的な目標と多層的な支援策で、障害のある人の「働きたい」という思いを力強く後押ししている。

具体的な数値目標が示す「本気度」

浜松市の計画が単なる理念に留まらないことを示すのが、「第7期障がい福祉実施計画」で掲げられた具体的な成果目標である。これにより、施策の進捗を客観的に評価し、着実な前進を目指す姿勢が明確にされている。

目標①:福祉施設から一般就労への移行者数を大幅に増加
令和8年度(2026年度)には、年間242人が福祉施設から一般就労へ移行することを目指す。これは、令和3年度(2021年度)の実績である176人から約1.37倍の増加を意味する。

目標②:就職後の「定着」を重視する支援体制の強化
就職後に長く安定して働き続けるための「就労定着支援」の利用者数を、令和8年度(2026年度)末までに67人(令和3年度末実績47人の約1.42倍)にすることを目指す。

これらの数値目標は、国の基本指針や近年の企業の雇用意欲の高まりを踏まえたものであり、特に就労継続支援事業所からの移行者数を実績の2倍以上にするという高い目標設定からは、より多くの人が一般就労へステップアップできる環境を整備する市の強い意志がうかがえる。

多様なニーズに応える多層的な就労支援サービス

浜松市では、国の障害者総合支援法に基づき、個々の状況や希望に応じた多様な就労支援サービスが提供されている。これらのサービスが有機的に連携することで、一人ひとりのキャリアパスを支援する。

  • 就労移行支援:一般企業への就職を目指す人に、最長2年間、職業訓練や職場探し、就職活動のサポートを行う。ビジネスマナーやPCスキル、対人関係を円滑にするためのトレーニング(SST)などを提供する。
  • 就労継続支援(A型・B型):すぐに一般企業で働くことが難しい人に、働きながらスキルアップを目指す場を提供。A型は雇用契約を結び、最低賃金が保障される。B型は雇用契約を結ばず、比較的自分のペースで作業を行い、工賃を受け取る。
  • 就労定着支援:就職後、長く働き続けられるように、職場での悩みや生活上の課題について相談に乗り、企業との調整を行う。
  • 就労選択支援:2025年度から新たに導入されるサービス。就労を希望する人が、本人の希望や能力、適性に合った働き方や就労先をより良く選択できるよう、アセスメントを通じて支援する。

これらのサービス体系により、就職準備から実際の就労、そして職場定着まで、一貫したサポートが可能となっている。

当事者と企業の双方にアプローチする浜松市独自の取り組み

障害者雇用を成功させるには、当事者のスキルアップだけでなく、受け入れる企業側の理解と体制整備も不可欠である。浜松市は、この両面にアプローチする独自の取り組みを展開している。

当事者向け支援:

  • 多様な相談窓口:「浜松市障害者就労支援センターふらっと」や市の障害保健福祉課、産業振興課が連携し、就労に関するあらゆる相談にワンストップで対応。
  • 職場体験の機会創出:連携協定を結んだ企業での就労実習や職場見学会を開催し、働く意欲の向上と、自分に合った職場を見つける機会を提供。

企業向け支援:

  • 企業伴走型障害者雇用推進事業:法定雇用率の引き上げなど、障害者雇用に関心はあるものの「何を任せればいいか分からない」「受け入れ体制がない」といった課題を抱える企業に対し、専門の支援員が訪問。雇用に関する継続的な助言や、障害特性の理解を深めるための社内研修の開催などをサポートし、企業を孤立させない伴走支援を行う。

重点施策③:地域で安心して暮らすための「生活支援」と「環境整備」

障害のある人が真に地域の一員として暮らすためには、相談や就労の支援に加え、日々の生活を支える基盤と、社会全体の理解が不可欠である。浜松市は、「施設から地域へ」という大きな流れを加速させるとともに、権利擁護や市民への啓発活動にも力を入れている。

「施設から地域へ」の流れを加速する支援

長年、入所施設や精神科病院で生活してきた人が地域社会へ移行するには、住まいの確保や日中活動の場、そして医療と福祉の連携が鍵となる。浜松市は、を掲げ、保健・医療・福祉の関係者が連携する協議の場を設け、重層的な支援体制の構築を図っている。具体的には、地域生活への移行の受け皿となるグループホームの整備を推進したり、自宅での暮らしを支える訪問系サービス(居宅介護、重度訪問介護)や、日中の活動の場となる生活介護事業所などを充実させたりすることで、安心して地域で暮らせる環境づくりを進めている。

権利擁護と虐待防止への取り組み

障害のある人が、自らの意思で人生を選択し、尊厳を持って生きるためには、その権利が守られる仕組みが必要である。浜松市は、判断能力が不十分な人の財産管理や契約などを支援する「成年後見制度」の利用促進に力を入れている。身寄りがない等の理由で申し立てができない場合には市長が代理で申し立てを行うほか、後見人への報酬負担が困難な人への助成制度も設けている。

また、虐待の未然防止や早期発見・早期対応のため、医師、弁護士、警察、福祉サービス事業者などが一堂に会する「高齢者・障害者虐待防止連絡会」を運営。事例の共有や対応策の協議を通じて、関係機関の連携を強化し、地域全体で虐待を見逃さないセーフティネットを構築している。

共生社会の土壌を育む「啓発・広報活動」

制度やサービスがどれだけ充実しても、地域社会に暮らす人々の理解がなければ、共生社会は実現しない。浜松市のアンケート調査では、「市民の障がいのある人に対する理解」について、「あまり理解されていない」「全く理解されていない」と回答した人が34.7%に上り、課題が浮き彫りになった。

この課題に対し、市は多様な啓発・広報活動を展開している。

  • 障害者週間キャンペーン:12月3日から9日の障害者週間に合わせ、市庁舎での作品展やイベントを開催。
  • 出前講座:市の職員が学校や企業、地域団体に出向き、障害福祉の制度や障害特性について解説する体験型の講座を実施。
  • 補助犬イベント:補助犬ユーザーによるデモンストレーションを通じ、補助犬への理解を深める。
  • 手話体験講座:「浜松市手話言語の推進に関する条例」に基づき、初心者向けの講座を開催し、手話の普及を図る。

これらの地道な活動を通じて、市民一人ひとりの心の中に「障がい」への正しい理解と共感の土壌を育み、誰もが暮らしやすいまちづくりを目指している。

障害福祉サービスを利用するには?手続きと窓口案内

ここまで静岡県や浜松市の取り組みを紹介してきたが、実際に障害福祉サービスを利用するにはどうすればよいのだろうか。ここでは、サービス利用の基本的な流れと、県内の主な相談窓口を案内する。

サービス利用の基本的な流れ

障害福祉サービスの利用は、一般的に以下のステップで進められる。

  1. 相談:まず、お住まいの市町村の障害福祉担当課や、相談支援事業所に相談する。どのようなサービスが必要か、どんなことに困っているかを伝えることから始まる。
  2. 申請・障害支援区分の認定調査:利用したいサービスが決まったら、市町村に申請を行う。サービスの必要度を判断するため、認定調査員が心身の状況などについて聞き取り調査(アセスメント)を行う。この結果に基づき、「障害支援区分」が決定される。
  3. サービス等利用計画の作成:指定特定相談支援事業者が、本人や家族の意向を踏まえ、利用するサービスの種類や量などを盛り込んだ「サービス等利用計画案」を作成する。
  4. 支給決定・サービスの利用開始:市町村がサービス等利用計画案や障害支援区分を基に、サービスの支給量を決定し、「障害福祉サービス受給者証」を交付する。受給者証が届いたら、サービス提供事業者と契約を結び、サービスの利用が開始される。

利用できるサービスの例

障害者総合支援法に基づくサービスは、大きく「訓練等給付」と「介護給付」に分けられる。また、経済的支援として各種手当がある。

  • 訓練等給付:地域生活や就労に必要な訓練を行うサービス。
    • 自立訓練(機能訓練、生活訓練)
    • 就労移行支援、就労継続支援(A型・B型)、就労定着支援、就労選択支援
    • 共同生活援助(グループホーム)
  • 介護給付:日常生活に必要な身体介護や家事援助などを受けるサービス。
    • 居宅介護(ホームヘルプ)、重度訪問介護
    • 生活介護(日中活動の場)
    • 短期入所(ショートステイ)
  • 各種手当
    • 特別児童扶養手当:20歳未満で障害のある児童を監護する保護者に支給。
    • 特別障害者手当:在宅で常時特別な介護を必要とする20歳以上の人に支給。

静岡県内・浜松市の主な相談窓口

障害福祉に関する相談は、まずはお住まいの市町村の担当課が第一の窓口となる。以下に県と主要市の連絡先を記載する。

機関名 担当部署・業務内容 連絡先
静岡県 健康福祉部 障害福祉課
・身体障害福祉班: 054-221-2367
・知的障害福祉班: 054-221-2367
・精神保健福祉班: 054-221-3523
・手帳手当班: 054-221-3686
〒420-8601 静岡市葵区追手町9-6
浜松市 健康福祉部 障害保健福祉課
障害のある人の福祉サービス全般に関する相談・申請窓口。
電話: 053-457-2034
〒430-8652 浜松市中央区元城町103-2
静岡市 保健福祉長寿局 障害福祉企画課
障害のある人の福祉サービス全般に関する相談・申請窓口。
電話: 054-221-1197
〒420-8602 静岡市葵区追手町5-1
沼津市 福祉部 障がい福祉課
身体・知的・精神に障害のある人及び難病のある人への福祉サービス。
電話: 055-934-4831
〒410-8601 沼津市御幸町16-1
湖西市 健康福祉部 長寿介護課 障害福祉係
障害者総合支援法に規定する障害者の福祉。
電話: 053-576-4532
〒431-0492 湖西市吉美3268

※上記以外の市町にお住まいの方は、各市町の公式ウェブサイト等で障害福祉担当課をご確認ください。

まとめ:県と市町村の連携で築く、誰もが暮らしやすい共生社会へ

本記事では、静岡県の障害福祉をテーマに、県全体の司令塔である「障害福祉課」の役割と、県内最大の政令指定都市「浜松市」の先進的な事例を分析してきた。そこから見えてきたのは、県が描くマクロな全体計画と、市町村が実践するミクロで具体的な施策が、いかに連携して「共生社会の実現」という共通の目標に向かっているかというダイナミックな構図である。

静岡県障害福祉課が「ふじのくに障害者しあわせプラン」で示す大きな方向性や、国の法改正に対応する調整機能は、県内全体のサービス水準を担保する上で不可欠な土台となっている。一方で、浜松市の事例は、その土台の上でいかにして質の高い施策を花開かせるかを示唆している。浜松市の成功の鍵は、以下の3点に集約できるだろう。

  1. 重層的かつ網羅的な相談支援体制:「三層構造」のネットワークと「地域生活支援拠点」の整備により、あらゆる相談を確実に受け止め、切れ目のない支援につなげる仕組み。
  2. 成果志向の就労支援:具体的な数値目標を掲げ、その達成に向けて当事者と企業の双方にアプローチする多角的な支援策。
  3. ボトムアップ型の地域づくり:広大な市域を「エリア」に分け、個別の課題を地域全体の課題として捉え、住民を巻き込みながら解決を目指す文化の醸成。

浜松市の取り組みは、障害福祉がもはや単なる「福祉」の枠に収まらず、医療、教育、労働、そして地域コミュニティづくりといった、まちづくり全体の課題として捉えられていることを示している。障害のある人が直面する課題は、社会全体の課題の縮図であり、その解決は、結果として誰もが暮らしやすい社会の実現につながる。

今後、障害者総合支援法の改正や社会情勢の変化に伴い、障害福祉を取り巻く環境はさらに変化していくだろう。その変化に対応しながら、県と市町村が一体となって施策を進化させていくことが、静岡県の目指す共生社会の実現には不可欠である。そして、この大きな動きは行政だけのものではない。私たち市民一人ひとりが、自らの地域で進められている取り組みに関心を持ち、理解を深め、時にはその担い手となること。それこそが、真の共生社会を築くための最も確かな一歩となるはずだ。

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