「働きたい」その想いを一人で抱えていませんか?
「そろそろ働きたいけれど、何から始めればいいかわからない」「自分に合った仕事が見つかるだろうか」「就労移行支援というサービスがあるらしいけど、手続きが難しそう…」
障がいのある方が自分らしい働き方を見つけ、社会で活躍するための一歩を踏み出すとき、多くの期待と同時に、こうした不安や疑問がつきものです。一人で情報を集め、複雑な制度を理解し、自分に最適な道筋を見つけるのは簡単なことではありません。
しかし、ご安心ください。浜松市には、そんなあなたの「働きたい」という想いに寄り添い、最初の第一歩から力強くサポートしてくれる公的な相談窓口が存在します。それが「浜松市障がい者相談支援センター」です。
この記事では、就労移行支援の利用を検討している方や、働くことに関する悩みを抱えている方に向けて、浜松市の障害者相談支援体制、特に「障がい者相談支援センター」の役割と、市内各所のセンター一覧を詳しく解説します。福祉サービスの利用は、まず信頼できる相談相手を見つけることから始まります。この記事が、あなたの次の一歩を後押しするきっかけとなれば幸いです。
浜松市の障害者相談支援体制とは?
浜松市では、障がいのある方やそのご家族が、住み慣れた地域で安心して生活できるよう、重層的な相談支援体制を構築しています。この体制は、地域全体の相談支援の中核を担う「基幹相談支援センター」と、各地域に密着した「障がい者相談支援センター」の二層構造で成り立っています。
中核を担う「浜松市障がい者基幹相談支援センター」
は、市全体の相談支援体制の司令塔ともいえる存在です。その役割は、個人からの直接的な相談に応じるだけでなく、より広い視点で地域全体の支援力を高めることにあります。
- 専門的な助言・指導:地域の相談支援事業所(後述するエリア別のセンターなど)が抱える困難なケースに対して、専門的なアドバイスや指導を行います。
- 地域のネットワーク構築:地域の様々な支援機関(医療、福祉、教育、就労など)の連携を促進し、スムーズな支援ネットワークを構築します。
- 権利擁護・虐待防止:障がいのある方の権利を守り、虐待を未然に防ぐための中心的な役割を担います。
- 「親なきあと」への備え:親の高齢化などを見据え、障がいのある方が将来にわたって地域で安心して暮らせるための体制づくりを進めています。
このセンターは、社会福祉法人や医療法人など5つの法人が共同で運営しており、それぞれの専門性を活かして幅広い課題に対応しています。
身近な相談窓口「地域別・障がい者相談支援センター」
市民の皆さんにとって最も身近な相談窓口となるのが、市内7箇所に設置されている「浜松市障がい者相談支援センター」です。これらのセンターは浜松市からの委託を受け、担当する居住区の障がいのある方やそのご家族からのあらゆる相談に対応します。
浜松市では、障がいの多様化や相談内容の複雑化に対応するため、令和2年(2020年)に相談支援事業所を再編し、さらに令和6年(2024年)4月からは新しい体制で運営されています。
これらのセンターの大きな特徴は、複数の社会福祉法人やNPO、医療法人が共同運営協議会(共同企業体)を形成して運営している点です。これにより、身体・知的・精神といった障がい種別や、医療・福祉・就労といった分野の垣根を越え、各法人の得意分野やネットワークを活かした総合的な支援が可能となっています。
【2025年最新】浜松市障がい者相談支援センター一覧
お住まいの地域によって担当のセンターが決まっています。相談は無料です。福祉サービスの利用や就労に関する悩みなど、まずはお気軽にお住まいの地域のセンターにご連絡ください。専門の相談員が対応します。来所での相談のほか、電話や自宅への訪問による相談も可能です。
※下記の情報は2025年3月1日時点のものです。
担当区(旧行政区) | 事業所名 | 所在地・電話番号 | 運営法人(共同運営協議会) |
---|---|---|---|
旧中区、旧北区(三方原地区) | 浜松市中障がい者相談支援センター | 中央区和合町555(和合せいれいの里内) TEL: 053-488-8077 |
社会福祉法人聖隷福祉事業団, 社会福祉法人小羊学園, NPO法人遠州精神保健福祉をすすめる市民の会 |
旧東区 | 浜松市東障がい者相談支援センター | 中央区流通元町20-3(東行政センター内) TEL: 053-424-0371 |
医療法人社団至空会, 社会福祉法人天竜厚生会 |
旧西区 | 浜松市西障がい者相談支援センター | 中央区雄踏一丁目31-1(西行政センター内) TEL: 053-597-1124 |
社会福祉法人ひかりの園, 社会福祉法人和光会, 社会福祉法人昴会 |
旧南区 | 浜松市南障がい者相談支援センター | 中央区江之島町600-1(南行政センター内) TEL: 053-401-6881 |
医療法人好生会, 社会福祉法人復泉会, 社会福祉法人菊水光明会 |
旧浜北区 | 浜松市浜北障がい者相談支援センター | 浜名区平口1604-1(浜北保健センター内) TEL: 053-587-1010 |
社会福祉法人天竜厚生会, 社会福祉法人みどりの樹, 医療法人社団至空会, 社会福祉法人浜松市社会福祉事業団 |
旧北区(三方原地区除く) | 浜松市北障がい者相談支援センター | 浜名区細江町気賀305(北行政センター内) TEL: 053-523-2255 |
社会福祉法人小羊学園, 社会福祉法人聖隷福祉事業団 |
天竜区 | 浜松市天竜障がい者相談支援センター | 天竜区二俣町二俣530-18(天竜保健福祉センター内) TEL: 053-589-5580 |
社会福祉法人天竜厚生会, 社会福祉法人みどりの樹 |
相談から就労へ:相談支援センターの具体的な役割
「相談支援センターが窓口なのはわかったけど、具体的にどうやって就労につながるの?」と疑問に思う方もいるでしょう。ここでは、相談から就労移行支援などのサービス利用に至るまでの流れと、センターの役割を解説します。
最初のステップ:相談から「サービス等利用計画」作成まで
就労移行支援をはじめとする障害福祉サービスを利用するためには、原則として「サービス等利用計画」という個別の支援計画書が必要になります。この計画書を作成するのが、相談支援センターなどに在籍する「相談支援専門員」です。
- 相談受付:まず、センターの相談員があなたの状況や希望、悩みなどをじっくりとヒアリングします。
- 情報提供・利用援助:あなたの希望に基づき、利用できる福祉サービス(就労移行支援、就労継続支援A型・B型など)や、地域の様々な社会資源について情報提供を行います。
- サービス等利用計画案の作成:どのサービスを、どのくらいの頻度で、どのような目的で利用するのかをまとめた計画案を作成します。この際、いくつかの事業所を見学・体験することもサポートしてくれます。
- 支給決定・計画の完成:市役所での手続きを経てサービスの支給が決定されると、計画が完成し、サービス利用がスタートします。
このように、相談支援センターは単に情報を提供するだけでなく、あなたに合ったサービスを見つけ、実際に利用を開始するまでの複雑なプロセスを伴走してくれる、頼れるパートナーなのです。
就労移行支援事業所との連携
相談支援センターは、市内の多くの就労移行支援事業所や、就職後の定着を支援する機関、ハローワークなどと密接に連携しています。例えば、浜松市が開催する就労支援に関するイベントでは、相談支援センターの職員が相談コーナーを設け、各事業所の紹介や利用方法についてのミニ講座を行っています。
また、のような専門機関とも連携し、就職活動の具体的な支援や、就職後の職場定着まで、切れ目のないサポート体制を築いています。相談支援センターは、こうした多様な支援機関への「橋渡し役」も担っているのです。
データで見る浜松市の就労支援の今
浜松市では、障がいのある方の一般就労への移行を積極的に推進しています。市の計画では、令和5年度に219人を一般就労へ移行させる目標を掲げるなど、具体的な数値目標を設定して取り組んでいます。
実際に、浜松市内では多くの方が就労系の福祉サービスを利用しています。「就労移行支援」は、一般企業への就職を目指すための訓練を行うサービスであり、ここから多くの人が社会へと羽ばたいています。
まとめ:最初の一歩は、お近くの相談支援センターから
障がいのある方が「働きたい」と考えたとき、その道のりは決して一人で歩む必要はありません。浜松市には、あなたの想いを受け止め、専門的な知識と豊富なネットワークで支えてくれる「障がい者相談支援センター」という心強い味方がいます。
就労に関する悩み、生活全般の不安、福祉サービスの利用方法など、どんな些細なことでも構いません。まずは、この記事で紹介したお住まいの地域の相談支援センターに、電話一本、連絡してみることから始めてみませんか。
そこでの出会いが、あなたの「自分らしい働き方」を見つけるための、確かな第一歩となるはずです。専門の相談員が、あなたと共に考え、最適な道筋を照らしてくれます。
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