経済的な不安…世帯収入と就労移行支援の利用料金の関係【浜松市】

「一般企業で働きたいけれど、どう準備すればいいかわからない」「自分に合った仕事を見つけ、長く働き続けたい」——。そんな思いを抱える障がいのある方々にとって、就労移行支援は、就職に必要なスキル習得から職場定着までをサポートしてくれる心強い味方です。

しかし、利用を検討する際に大きな壁となるのが「費用」への不安ではないでしょうか。「訓練を受けるにはお金がかかるのでは?」「今の収入で生活しながら通えるだろうか?」といった疑問は、次の一歩を踏み出す上で切実な問題です。この記事では、浜松市で就労移行支援の利用を考えている方々に向けて、利用料金の仕組みから、世帯収入との関係、活用できる助成制度まで、お金にまつわる情報を徹底的に解説します。

就労移行支援の利用料金、基本の仕組みは「1割負担」と「上限額」

まず結論からお伝えすると、多くの方が自己負担なく、あるいは非常に少ない負担で就労移行支援サービスを利用しています。その背景には、国の定める明確な料金体系があります。この仕組みを理解することが、費用の不安を解消する第一歩です。

原則はサービス費用の1割負担

就労移行支援は、「障害者総合支援法」に基づく公的な福祉サービスです。この法律では、サービス利用にかかる費用のうち、原則として1割を利用者が負担し、残りの9割は国や自治体(国、都道府県、浜松市)が「訓練等給付費」として負担する仕組みになっています。これにより、利用者は質の高い支援を少ない負担で受けられるのです。

例えば、ある事業所が提供する1日あたりのサービス費用(報酬額)が10,000円だと仮定します。この場合、利用者が支払う自己負担額は、その1割である1,000円となります。

しかし、「毎日通ったら、かなりの金額になるのでは?」と不安に思うかもしれません。ご安心ください。そうならないための、非常に重要なセーフティネットが存在します。

最重要ポイント:負担が重くならないための「負担上限月額」制度

就労移行支援の費用を語る上で最も重要なのが、この「負担上限月額」制度です。これは、利用者の負担が過重になることを防ぐために設けられた仕組みで、世帯の所得状況に応じて、1ヶ月に支払う利用者負担額に上限が設定されます。

ひと月にサービスを何日利用したとしても、この上限額以上の負担は一切生じません。先の例で、月に20日通所して計算上の自己負担額が20,000円(1,000円×20日)になったとしても、もしあなたの世帯の負担上限月額が9,300円であれば、実際に支払う金額は9,300円だけで済みます。この制度があるからこそ、多くの人が安心してサービスを利用できるのです。

【あなたの場合は?】所得区分でわかる自己負担上限月額

それでは、具体的にあなたの自己負担額がいくらになるのかを見ていきましょう。負担上限月額は、厚生労働省によって定められた全国共通の所得区分に基づいて決定されます。

なぜ約9割が自己負担0円で利用できるのか?

「生活保護受給世帯」と「市町村民税非課税世帯(低所得)」の方は、負担上限月額が0円です。つまり、就労移行支援をどれだけ利用しても、自己負担は一切発生しません。

複数の調査報告によると、障害福祉サービスの利用者のうち、実に約9割がこの「負担上限0円」の対象となっています。これが、「就労移行支援はほとんどの人が無料で使える」と言われる最大の理由です。

所得を判断する「世帯」の範囲とは?

所得区分を判断する際の「世帯」の範囲は、住民票の世帯とは異なる場合があるため注意が必要です。障害福祉サービスにおいては、以下のように定義されるのが一般的です。

  • 18歳以上の障がい者の方: 本人とその配偶者
  • 18歳未満の障がい児の方: 保護者の属する住民基本台帳での世帯

つまり、あなたが18歳以上で独身の場合、親や兄弟と同居していても、所得区分の算定対象となるのはあなた自身の前年の収入のみです。親の収入は関係ありません。この点は非常に重要なポイントなので、覚えておいてください。

利用料金だけじゃない!知っておきたいその他の費用と浜松市の助成制度

就労移行支援の利用料は多くの場合無料または少額ですが、事業所に通うためには交通費や昼食代などの実費がかかります。これらの費用についても、事前に確認しておきましょう。

交通費:原則自己負担と市の助成制度

事業所に通うための交通費は、原則として自己負担となります。しかし、経済的な負担を軽減するため、浜松市では独自の助成制度を設けています。

浜松市障害者施設通所支援事業(交通費助成)
就労移行支援事業所などの福祉施設へ通所する際の交通費の一部を助成する制度です。助成金額は通所経路や利用頻度などにより算定され、年間の上限額は7,000円です。ただし、事業所から送迎を受けている場合や、生活保護で移送費が支給されている場合などは対象外となることがあります。

また、事業所によっては独自の交通費補助を行っている場合もあります。利用を検討している事業所に直接問い合わせてみることをお勧めします。

昼食代やその他の実費

昼食代も基本的には自己負担ですが、事業所によっては無料で提供していたり、安価な価格でお弁当を注文できる場合があります。厚生労働省の調査によると、食事を提供している事業所は全体の約66.5%にのぼります。

経済的な負担を抑えるためにも、見学や体験利用の際に、昼食の提供や交通費補助の有無について確認しておくと良いでしょう。

訓練期間中の生活費を支える公的制度

就労移行支援の利用期間中(原則最長2年)は、訓練に集中するため、収入が不安定になることがあります。その間の生活を支えるために、以下のような公的制度の活用を検討できます。

障害年金

病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に受け取れる年金です。就労移行支援を利用しながら受給することも可能で、訓練中の貴重な収入源となります。

失業保険(雇用保険)

会社を退職し、次の就職先を探している期間に給付される手当です。障がいのある方は「就職困難者」として扱われ、一般の離職者よりも給付日数が長く設定される場合があります。ただし、受給にはハローワークでの定期的な失業認定が必要です。

国の就職促進給付

失業保険を受給している方が、早期に安定した職業に就いた場合に支給される手当です。これらは再就職を力強く後押しする制度です。

  • 再就職手当: 支給残日数が3分の1以上ある状態で早期に再就職した場合に支給されます。
  • 就業促進定着手当: 再就職手当を受給し、再就職先での賃金が離職前の賃金より低い場合に、その差額の一部が補填されます。
  • 常用就職支度手当: 障害のある方など、就職が困難な方が安定した職業に就いた場合に支給される手当です。

これらの制度の詳細は、お近くのハローワークで確認できます。

浜松市独自の就労支援・補助金制度

国の制度に加えて、浜松市も障がいのある方の就労を支援するための独自の事業や補助金制度を実施しています。

重度障害者等就労支援特別事業

重度の障がいがある方が働く上での課題を軽減するため、通勤時の移動支援や職場での身体介護などを提供する事業です。雇用施策と福祉施策が連携し、個別のニーズに応じたサポートを行います。利用には事前の申請と支援計画書の作成が必要です。

UIJターン就職活動応援補助金

浜松市外に在住している方が、市内の企業へ就職活動を行う際の交通費や宿泊費の一部を補助する制度です。最大1万円(補助率2分の1)が支給されます。浜松市での就職を考えている市外在住の方にとっては、ぜひ活用したい制度です。

まとめ:費用の不安を解消し、あなたに合った就労への道を見つけよう

この記事では、浜松市で就労移行支援を利用する際の費用について、多角的に解説しました。最後に、重要なポイントを振り返ります。

  • 利用料は所得に応じた上限あり: 利用者負担は原則1割ですが、所得に応じた月額上限が定められており、約9割の方が自己負担0円で利用しています。
  • 世帯の範囲に注意: 18歳以上の場合、所得の算定は本人と配偶者のみが対象です。親との同居は影響しません。
  • その他の費用も確認: 交通費や昼食代は原則自己負担ですが、浜松市の交通費助成や事業所独自の補助があるか確認しましょう。
  • 公的制度をフル活用: 訓練中の生活費は、障害年金や失業保険、国の就職促進給付などで支えることができます。

経済的な不安は、就職活動における大きな障壁となり得ます。しかし、利用できる制度を正しく理解し、計画的に活用することで、その負担は大きく軽減できます。まずは、お住まいの区役所の福祉窓口やハローワーク、そして気になる就労移行支援事業所に相談することから始めてみましょう。あなたに合った支援が、きっと見つかるはずです。

浜松市の相談窓口

就労移行支援の利用申請や、各種助成制度に関する相談は、お住まいの区の福祉事業所が窓口となります。まずはお電話でご相談ください。

  • 中央福祉事業所 社会福祉課
    • 中央区役所内:053-457-2057
    • 東行政センター内:053-424-0176
    • 西行政センター内:053-597-1159
    • 南行政センター内:053-425-1485
  • 浜名福祉事業所 社会福祉課
    • 浜名区役所内:053-585-1697
    • 北行政センター内:053-523-2898
  • 天竜福祉事業所 社会福祉課
    • 天竜区役所内:053-922-0024

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