「障害者雇用で働きたいけど、給料はどのくらいもらえるんだろう？」「浜松市で就職した場合、生活できるだけの収入は得られるのかな？」
就労移行支援の利用を考えながら、このような不安や疑問を抱えている方は少なくないでしょう。安定した生活を送る上で、収入は非常に重要な要素です。この記事では、公的なデータを基に、浜松市を含む静岡県の障害者雇用のリアルな給料・年収事情を徹底的に解説します。ご自身のキャリアプランを考える上での、確かな判断材料としてご活用ください。
静岡県の障害者雇用状況：データで見る全体像
まず、浜松市が属する静岡県全体の障害者雇用の現状を見てみましょう。最新のデータによると、県内の障害者雇用は着実に進展しています。
静岡労働局が2024年12月に公表した「令和6年 静岡県内の障害者雇用状況の集計結果」によると、民間企業で雇用されている障害者の数は14,882.0人に達し、15年連続で過去最高を更新しました。これは前年比で5.2%の増加です。
障害種別で見ると、特に精神障害者の雇用が前年比13.2%増と大きく伸びており、多様な障害のある方が活躍できる場が広がりつつあることがわかります。一方で、民間企業の実雇用率は2.43%と、法定雇用率の2.5%をわずかに下回っているのが現状です。これは、多くの企業が雇用に意欲的であるものの、まだ課題も残されていることを示しています。
浜松市の現状：法定雇用率と市の取り組み
次に、私たちの拠点である浜松市の状況に焦点を当てます。浜松市は、障害のある方が活躍できる社会を目指し、「第2期浜松市障がい者活躍推進計画」を策定しています。しかし、公的機関における雇用状況には課題も見られます。
例えば、2024年6月1日時点のデータでは、浜松市の主要な機関で法定雇用率が未達成となっています。
- 浜松市長事務部局：実雇用率 2.48%（法定雇用率 2.80%）
- 浜松市教育委員会：実雇用率 1.57%（法定雇用率 2.70%）
この状況を受け、浜松市は計画の中で「実雇用率は概ね横ばいに推移し、法定雇用率に対して未達成となっている」と課題を明確に認識。採用目標として「毎年度、法定雇用率以上を達成する」ことを掲げ、短時間勤務制度の創設など、具体的な取り組みを進めています。
これは、求職者にとって「市が積極的に雇用改善に取り組んでいる」というポジティブなサインと捉えることができます。今後、市の機関や関連企業での求人が増える可能性も期待できるでしょう。
本題：障害者雇用のリアルな給料・年収
それでは、最も気になる収入について見ていきましょう。障害者雇用の給与は、障害種別や働き方によって大きく異なります。ここでは、厚生労働省の全国調査データを基に、その実態を明らかにします。
厚生労働省の「令和5年度障害者雇用実態調査」によると、障害種別ごとの1ヶ月の平均賃金は以下のようになっています。
- 身体障害者：23万5千円
- 精神障害者：14万9千円
- 知的障害者：13万円台（他調査参考値）
静岡県の一般労働者の平均給与月額が約31.5万円であることを考えると、特に精神障害や知的障害のある方の平均賃金は低い水準にあることがわかります。この背景には、短時間勤務を選択する方が多いことなどが影響しています。
給料を左右する3つの重要ポイント
平均値だけでは見えてこない、給料の実態をさらに深掘りします。収入は主に以下の3つの要素に大きく影響されます。
- 勤務時間：最も大きな要因です。週30時間以上のフルタイム勤務か、それ未満の短時間勤務かで収入は大きく変わります。例えば精神障害者の場合、フルタイム勤務の平均賃金は19万3千円ですが、週20～30時間勤務では12万1千円となります。
- 職種・業種：静岡県では「製造業」「医療、福祉」「卸売業・小売業」が障害者雇用の受け皿として大きな割合を占めています。専門知識やスキルが求められる職種では、給与も高くなる傾向があります。
- 企業規模：静岡県のデータでは、従業員500人以上の大企業の方が法定雇用率を達成している割合が高いです。一般的に、大企業の方が給与水準や福利厚生が充実している傾向があります。
浜松市で見つかる求人例と給与水準
浜松市およびその周辺の実際の求人情報を見ると、給与の幅広さがよくわかります。以下は、求人サイトなどで見られる給与例です。（2025年7月時点の参考情報）
- 事務職（契約社員）：月給 25万円～26万円（大手金融機関）
- 製造・開発（正社員）：年収 300万円～500万円（メーカー）
- 軽作業（パート）：時給 1,050円～1,150円
- アルバイト（フルタイム想定）：年収 308万円～360万円
このように、職務内容や雇用形態、求められるスキルによって給与は大きく異なります。「障害者雇用だから給料が低い」と一括りにするのではなく、自分のスキルや希望に合った求人を選ぶことが、納得のいく収入を得るための第一歩です。
収入アップを目指すための具体的なステップ
では、どうすればより高い収入を目指せるのでしょうか。重要なのは、計画的に準備を進めることです。
就労移行支援の活用がカギ
ここで大きな力になるのが「就労移行支援事業所」です。就労移行支援は、一般企業への就職を目指す障害のある方に対し、個別の支援計画に基づいて様々なサポートを提供するサービスです。
就労移行支援で受けられるサポート例
- 職業スキルのトレーニング：PCスキル（Word, Excel）、プログラミング、デザイン、軽作業など、希望職種に合わせた訓練。
- ビジネスマナー・コミュニケーション訓練：職場での円滑な人間関係を築くためのスキルを学びます。
- 自己分析とキャリアプランニング：自分の強みや特性を理解し、どのような仕事が向いているか専門スタッフと一緒に考えます。
- 就職活動のサポート：履歴書添削、面接練習、企業探し、面接同行など、就職活動の全般を支援。
- 職場定着支援：就職後も、仕事や人間関係の悩みを相談でき、長く働き続けられるようサポートします。
就労移行支援を利用することで、自分一人では難しいスキルアップや企業とのマッチングが可能になります。結果として、より条件の良い、つまりより高い給与が期待できる企業への就職に繋がる可能性が高まります。
浜松市で利用できる就労支援サービス
浜松市には、就労移行支援事業所が多数存在します。LITALICO仕事ナビなどのポータルサイトでは、市内の事業所を一覧で確認でき、それぞれの特徴（送迎サービスの有無、得意な職種、事業所の雰囲気など）を比較検討することができます。
また、浜松市では定期的に「ともにはたらくフェア」のような就労支援イベントも開催されています。こうしたイベントでは、複数の事業所や企業の担当者と直接話せるため、自分に合った支援先や就職先を見つける絶好の機会となります。
まずは、いくつかの事業所の見学や相談に行き、自分に最適なサポートを提供してくれる場所を見つけることから始めましょう。
まとめ：自分に合った働き方と収入を見つけるために
この記事では、公的データを基に浜松市の障害者雇用の収入事情を解説しました。最後に、重要なポイントを振り返ります。
- 静岡県全体の障害者雇用は増加傾向にあり、特に精神障害者の雇用が伸びている。
- 障害者雇用の平均給与は一般雇用より低い傾向にあるが、これは勤務時間や職種が大きく影響している。
- フルタイム勤務や専門職を目指すことで、一般雇用と遜色ない収入を得ることも十分に可能。
- 収入アップと安定した就労を実現するためには、就労移行支援事業所の活用が非常に有効な手段となる。
給与への不安は、具体的な情報を知り、計画を立てることで解消できます。浜松市には、あなたの「働きたい」という気持ちを支える多くのリソースがあります。ぜひ一歩を踏み出し、就労移行支援事業所への相談から始めてみてください。あなたに合った働き方と、納得のいく収入がきっと見つかるはずです。
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