家族だけで抱え込まないで。浜松市の公的な障害者相談窓口と就労支援への第一歩

「子どもの将来が心配」「仕事について、どこに相談すればいいかわからない」——。障がいのあるご家族の就労について、このような不安や悩みを抱えていませんか?一人や家族だけで情報を集め、最適な道筋を見つけるのは大変なことです。しかし、浜松市には、そうした悩みに寄り添い、専門的な視点からサポートしてくれる公的な相談窓口が整備されています。

この記事では、就労を目指す上での最初の、そして最も重要な一歩となる浜松市の「障がい者相談支援センター」を中心に、公的な相談窓口の役割と具体的な連絡先を詳しくご紹介します。ここから始めれば、きっとご本人に合った「はたらく」未来への道筋が見えてくるはずです。

なぜ「公的な相談窓口」が最初のステップとして重要なのか?

就労移行支援事業所などの具体的なサービスを探す前に、まず公的な相談窓口を訪れることには、大きなメリットがあります。それは、ご本人やご家族の状況を総合的に理解した上で、最適なサポートへと繋いでくれる「羅針盤」の役割を果たしてくれるからです。

専門家による客観的で総合的なアドバイス

障がい者相談支援センターの相談員は、福祉制度全般に精通した専門家です。特定のサービスに偏ることなく、ご本人の障がい特性、生活状況、希望などを丁寧にヒアリングし、生活、施設利用、職業に関するさまざまな相談に応じてくれます。就労だけでなく、生活面も含めたトータルな視点でのアドバイスが受けられるため、より安心して将来設計を考えることができます。

多様な選択肢の提示と利用計画の作成支援

「働く」といっても、その形は様々です。一般企業への就職を目指す「就労移行支援」のほか、支援を受けながら自分のペースで働く「就労継続支援(A型・B型)」、まずは生活リズムを整える「自立訓練」など、多様な選択肢があります。相談支援センターでは、これらのサービスの違いを分かりやすく説明し、ご本人に最も適したサービスは何かを一緒に考え、「サービス等利用計画」の作成を支援してくれます。この計画があることで、その後のサービス利用がスムーズに進みます。

福祉サービス利用への確実な橋渡し

多くの障害福祉サービスを利用するには、自治体への申請と支給決定が必要です。相談支援センターは、この複雑な申請手続きの代行や利用援助も行っています。必要な書類の準備から提出までをサポートしてくれるため、ご家族の負担を大幅に軽減し、スムーズに次のステップへ進むことができます。

浜松市の「障がい者相談支援センター」一覧

浜松市では、お住まいの地域(旧行政区)ごとに担当の「障がい者相談支援センター」が設置されています。まずは、お住まいの地区を担当するセンターへ連絡してみましょう。相談は無料で、電話や訪問での相談が可能です。

まずはお住まいの地区のセンターへお問い合わせください。
障がいのあるご本人だけでなく、ご家族や介助者からの相談も受け付けています。必要な情報提供や各種機関の紹介、福祉サービスの利用援助などを総合的に行っています。

担当区 事業所名 所在地 電話番号
旧中区・旧北区(三方原地区) 浜松市中障がい者相談支援センター 浜松市中央区和合町555(和合せいれいの里内) 053-488-8077
旧東区 浜松市東障がい者相談支援センター 浜松市中央区流通元町20-3(東行政センター内) 053-424-0371
旧西区 浜松市西障がい者相談支援センター 浜松市中央区雄踏一丁目31-1(西行政センター内) 053-597-1124
旧南区 浜松市南障がい者相談支援センター 浜松市中央区江之島町600-1(南行政センター内) 053-401-6881
旧浜北区 浜松市浜北障がい者相談支援センター 浜松市浜名区平口1604-1(浜北保健センター内) 053-587-1010
旧北区(三方原地区を除く) 浜松市北障がい者相談支援センター 浜松市浜名区細江町気賀305(北行政センター内) 053-523-2255
天竜区 浜松市天竜障がい者相談支援センター 浜松市天竜区二俣町二俣530-18(天竜保健福祉センター内) 053-589-5580

相談から「就労」へ:支援の種類と流れ

公的な窓口での相談を経て、ご本人の希望や状況に合わせた就労支援サービスへと繋がっていきます。ここでは、代表的な就労系障害福祉サービスについて解説します。

就労移行支援:一般企業への就職を目指す

就労移行支援は、一般企業への就職を希望する18歳から65歳未満の障がいのある方を対象としたサービスです。事業所に通いながら、ビジネスマナー、PCスキル、コミュニケーション能力など、働くために必要な知識やスキルを身につける訓練を行います。また、職場探しや実習、就職後の定着支援まで、一貫したサポートを受けられるのが特徴です。浜松市内にも多くの事業所があり、それぞれに特色があります。

就労継続支援(A型・B型):自分のペースで働く

すぐに一般企業で働くのが難しい場合でも、働く機会はあります。就労継続支援は、支援を受けながら生産活動などを行うサービスです。

  • A型:事業所と雇用契約を結び、給料(最低賃金以上)を得ながら働きます。より一般就労に近い形です。
  • B型:雇用契約は結ばず、比較的簡単な作業などを自分のペースで行い、生産物に応じた「工賃」を受け取ります。近年では、イラスト制作や動画編集などクリエイティブな活動ができるB型事業所も増えています。

浜松市の就労支援ニーズの傾向

浜松市では、どのような障害福祉サービスが多く利用されているのでしょうか。ある調査によると、日常生活の支援を行う「生活介護」や、自分のペースで軽作業などを行う「就労継続支援B型」の利用が多く、日常生活や軽作業を通じた支援へのニーズが高いことがうかがえます。これは、すぐに一般就労を目指すだけでなく、まずは安定した生活基盤を築き、自分に合ったペースで社会参加をしたいと考える方が多いことを示唆しています。

浜松市で利用できるその他の就労支援リソース

相談支援センターのほかにも、就労に関する専門的な支援を提供する機関やイベントがあります。これらを併せて活用することで、より多角的なサポートが受けられます。

浜松市障害者就労支援センター「ふらっと」

は、浜松市からの委託を受け、病気や障がいがある方の仕事に関する相談や支援を専門に行う機関です。これから就職を目指す方だけでなく、すでに働いている方の職場定着支援や生活面の相談にも対応しています。就職の斡旋は行いませんが、働く上での具体的な課題解決をサポートしてくれます。

ハローワーク浜松と静岡障害者職業センター

ハローワーク浜松には、障がいのある方のための専門窓口があり、求人情報の提供や職業相談を行っています。一方、静岡障害者職業センターは、より専門的な職業能力の評価や、職場に適応するための「ジョブコーチ支援」などを提供する国の機関です。ハローワークと連携し、専門的な立場から就職をバックアップします。

「ともにはたらくフェア」などのイベント

浜松市では、毎年という大規模な就労支援イベントが開催されています。市内の就労移行支援や就労継続支援の事業所、障がい者雇用に積極的な企業などが多数出展し、直接話を聞いたり相談したりできる絶好の機会です。一度に多くの情報を得られるため、具体的な事業所の雰囲気を知りたい場合に非常に役立ちます。

まとめ:一人で悩まず、まずは一歩を踏み出そう

障がいのあるご家族の就労への道は、決して平坦ではないかもしれません。しかし、浜松市には、その道を共に歩み、支えてくれる多くの公的機関や専門家がいます。何から始めればいいか分からず立ち止まってしまう前に、まずはこの記事で紹介したお住まいの地域の「障がい者相談支援センター」に連絡してみてください。

その一本の電話が、ご本人らしい「はたらく」未来を見つけるための、確かな第一歩となるはずです。家族だけで抱え込まず、ぜひ専門家の力を借りて、最適な道筋を一緒に探していきましょう。

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