あなたの「働きたい」を支える制度、正しく理解していますか?
「一般企業で働きたいけど、少し不安がある」「自分にどんな仕事が向いているかわからない」——。浜松市にお住まいで、障害や難病を抱えながら「働く」ことについて、このような悩みを抱えていませんか?
国には、そうした方々の「働きたい」という思いを支えるための心強い制度があります。それが、障害者総合支援法に基づく就労支援サービスです。中でも中心的な役割を担うのが「就労移行支援」「就労継続支援A型」「就労継続支援B型」という3つのサービスです。
しかし、多くの方が「名前は似ているけど、何が違うの?」「自分はどのサービスを利用できるんだろう?」といった疑問を感じているのが実情です。サービスの名前が似ているため、その目的や内容の違いが分かりにくいという声は、専門機関にも多く寄せられています。この違いを正しく理解しないままサービスを選んでしまうと、「思っていた支援と違った」「自分には合わなかった」ということになりかねません。あなたの大切な一歩を確かなものにするためには、まず、それぞれの制度を正確に知ることが不可欠です。
この記事は、まさにそうした方々のために生まれました。特に「浜松市」で就労支援サービスの利用を検討している当事者の方、そしてそのご家族や支援者の皆様に向けて、制度の基本的な仕組みから、あなたに最適なサービスの具体的な見つけ方、利用開始までのステップまで、必要となる情報を網羅した完全ガイドです。
この記事を最後までお読みいただくことで、複雑に見える制度の全体像がクリアになり、あなたに合ったサービスを見つけるための具体的な道筋が見えてきます。漠然としていた不安が「まずは相談してみよう」という次の一歩を踏み出すための確信に変わることをお約束します。
【最重要】一目でわかる!就労移行支援・A型・B型の決定的な違い
まず結論からお伝えします。これら3つのサービスの最も大きな違いは、その「目的」にあります。この根本的な目的の違いが、対象者や支援内容、利用期間、収入の有無といった具体的な違いにつながっています。
- 就労移行支援:一般企業などへの就職を目指すための「訓練・準備の場」です。
- 就労継続支援(A型・B型):支援を受けながら実際に「働く場」です。
この「訓練の場」か「働く場」かという視点を持つだけで、制度の理解が格段に進みます。就労移行支援はゴールが「就職」であるのに対し、就労継続支援は「働くことそのもの」が目的の中心となります。以下の比較表で、それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
網羅的な比較表
| 項目 | 就労移行支援 | 就労継続支援A型 | 就労継続支援B型 |
|---|---|---|---|
| 目的 | 一般企業への就職と職場定着 | 雇用契約に基づき、支援のある環境で働く | 非雇用で、体調に合わせて自分のペースで働く |
| 位置づけ | 就職準備スクール(訓練の場) | 福祉的なサポートのある職場(働く場) | リハビリテーションを兼ねた活動の場(働く場) |
| 雇用契約 | なし | あり | なし |
| 収入 | 原則なし (一部、作業工賃あり) |
給料(最低賃金以上が保障) 全国平均月収:約8.3万円 |
工賃(生産活動への対価) 全国平均月収:約1.7万円 |
| 対象者 | 一般就労を希望する原則18歳~65歳未満の方 | 一般就労が困難で、雇用契約に基づく就労が可能な方 | 一般就労やA型での就労が困難な方(年齢制限なし) |
| 利用期間 | 原則2年間 | 定めなし | 定めなし |
| 浜松市の利用者数 (令和4年度実績) |
約327人 | 約687人 | 約1,401人 |
比較のポイント解説
- 雇用契約の有無:これがA型と他の2つのサービスを分ける最大の分岐点です。A型は「労働者」として雇用されるため、労働基準法が適用されます。
- 収入の違い:A型は最低賃金が保証された「給料」ですが、B型は生産活動の収益から分配される「工賃」であり、金額は事業所や作業内容によって大きく異なります。移行支援は訓練が目的なので、原則収入はありません。
- 利用期間:移行支援には「2年以内」という明確なゴール設定があります。これは、期間内に就職を目指すという目的を反映しています。一方、継続支援には期間の定めがなく、長期的な利用が可能です。
- 浜松市の利用者数:データを見ると、自分のペースで働けるB型の利用者が最も多く、次いで安定収入のあるA型、そして就職準備を行う移行支援の順となっています。これは、多様なニーズが存在することを示しています。
浜松市の現状:データで見る各サービスの利用者数
浜松市が公表している障害福祉計画のデータを見ると、各サービスの利用者数の推移と将来の見込みがわかります。これにより、浜松市における就労支援の需要動向を客観的に把握することができます。
浜松市では全ての就労支援サービスの利用者数が増加傾向にあります。特に、自分のペースで働ける就労継続支援B型の需要が最も高く、利用者数も突出しています。また、就労継続支援A型も着実に増加しており、安定した雇用を求めるニーズの高さがうかがえます。就労移行支援の利用者数も増加しており、一般企業への就職意欲を持つ方が増えていることを示唆しています。市は、令和8年度に向けてさらに多くの利用を見込んでおり、支援体制の拡充を進めていることがわかります。
【深掘り解説①】就労移行支援とは?|一般就職を目指すための「就職準備スクール」
サービスの定義と目的
就労移行支援とは、障害者総合支援法に基づいた福祉サービスの一つです。一言で表すなら、障害や難病のある方が一般企業へ就職するために必要な準備を、専門家のサポートを受けながら行う「就職準備スクール」のような場所です。
単に仕事を紹介(斡旋)する場所ではありません。利用者が自分の力で就職し、長く働き続けることができるように、スキル習得、自己理解、体調管理、就職活動、職場定着までを一貫してサポートすることを目的としています。浜松市内にも多くの事業所があり、一人ひとりの特性や希望に合わせた多様なプログラムを提供しています。
具体的な支援内容
就労移行支援事業所では、就職というゴールに向けて、多岐にわたるサポートが提供されます。これらは大きく4つのカテゴリーに分けられます。
1. 職業準備訓練(スキルアップ)
仕事で直接役立つ実践的なスキルを学びます。多くの事業所では、個人のレベルに合わせて基礎から応用まで学ぶことができます。
- PCスキル:Wordでの文書作成、Excelでのデータ入力や表計算、PowerPointでの資料作成など、事務職で必須となるスキル。
- ビジネスマナー:挨拶、言葉遣い、電話応対、名刺交換など、社会人としての基本的な振る舞い。
- コミュニケーション:報告・連絡・相談(報連相)の練習や、グループワークを通じて、職場での円滑な人間関係を築くためのスキル。
- 軽作業訓練:部品の組み立てや検品、ピッキングなど、製造業や物流業を想定した作業を通じて、集中力や持続力を養います。
2. 自己理解と体調管理(セルフマネジメント)
安定して働き続けるためには、自分自身を理解し、コンディションを整えることが不可欠です。
- 障害特性の理解:自分の得意なこと・苦手なことを客観的に把握し、職場にどのような配慮を求めるか(合理的配慮)を整理します。
- ストレスマネジメント:ストレスの原因を理解し、自分に合った対処法(コーピング)を見つけることで、心の健康を保ちます。
- 勤怠の安定:決まった時間に事業所に通うこと自体が、生活リズムを整え、安定した勤怠を確立するための重要な訓練となります。
3. 就職活動サポート
専門の支援員がマンツーマンで、就職活動のあらゆる段階をサポートします。
- 自己分析と適職探し:これまでの経験や自分の強みを整理し、どのような仕事や職場が向いているかを一緒に考えます。
- 応募書類の作成支援:履歴書や職務経歴書の添削を行い、採用担当者に魅力が伝わる書類を作成します。
- 模擬面接:本番を想定した面接練習を繰り返し行い、自信を持って臨めるようにします。事業所によっては、面接への同行支援も行っています。
- 職場実習(インターンシップ):興味のある企業で実際に数日間~数週間働く「職場実習」の機会を提供します。仕事内容や職場の雰囲気との相性を確認できる貴重な機会です。
4. 就職後の定着支援
就職はゴールではなく、スタートです。就労移行支援の大きな特徴は、就職後もサポートが続く点にあります。
- 職場定着支援:就職後6ヶ月間は、就労移行支援事業所が定期的に本人や企業と連絡を取り、職場での悩みや課題解決をサポートします。
- 就労定着支援サービス:希望に応じて、就職後7ヶ月目からは「就労定着支援」という別のサービスに切り替えることができます。最長3年間、職場での悩み相談や企業との調整を行ってくれるため、安心して働き続けることができます。
対象者と利用期間・費用
公的なサービスだからこそ、利用のしやすさも大きな特徴です。
対象者:以下の条件に当てはまる方が主な対象です。
- 精神障害、発達障害、身体障害、知的障害、あるいは指定難病のある方
- 原則として18歳以上65歳未満の方
- 一般企業への就職を希望している方
重要なポイントとして、障害者手帳の所持は必須ではありません。医師の診断書や意見書があり、自治体(浜松市)がサービスの必要性を認めれば利用できる場合があります。手帳の有無で悩んでいる方も、まずは相談してみることが大切です。
利用期間:原則として24ヶ月(2年間)です。この限られた期間の中で、自分のペースに合わせて就職準備を進めることになります。この「期限」があるからこそ、目標を明確にして集中的に取り組むことができます。
費用:国の制度であるため、費用の9割は国と自治体が負担します。利用者の自己負担は1割ですが、前年の世帯所得に応じて月ごとの負担上限額が定められています。実際には、利用者の約9割が自己負担0円(無料)でサービスを利用しています。金銭的な心配をせずに、就職準備に専念できる環境が整っていると言えるでしょう。(※世帯所得は、18歳以上の場合は本人と配偶者の所得が対象となり、親の収入は含まれません。)
【深掘り解説②】就労継続支援A型とは?|雇用契約を結び、安定して働く「職場」
サービスの定義と目的
就労継続支援A型は、一般企業で働くことは難しいものの、支援があれば雇用契約を結んで働くことが可能な方のための「働く場所」です。就労移行支援が「訓練」の場であるのに対し、A型は実際に働きながらスキルアップや安定した生活を目指すことを目的としています。利用者と事業所が「雇用契約」を結ぶ点が最大の特徴です。
最大の特徴:雇用契約と給料
A型事業所の核心は「雇用」にあります。これにより、利用者は単なる「利用者」ではなく「労働者」として、法的に守られた立場で働くことができます。
- 給料の保証:雇用契約を結ぶため、労働基準法が適用されます。これにより、静岡県の最低賃金(2025年11月時点)以上の「給料」が保証されます。安定した収入は、経済的な自立と生活の安定に直結します。
- 社会保険の適用:勤務時間や日数などの条件を満たせば、雇用保険や社会保険(健康保険・厚生年金)に加入することができます。これにより、将来への備えや万が一の際のリスクヘッジが可能になります。
全国の平均賃金は月額で約8.3万円(令和4年度)となっており、B型と比較して高い水準にあることがわかります。
対象者と働き方
対象者:A型事業所の利用対象者は、障害や難病により一般企業での就労は困難であるものの、適切な支援があれば雇用契約に基づく就労が可能な方です。具体的には、以下のような方が利用できます。
- 就労移行支援事業を利用したが、企業での就労に結びつかなかった方
- 特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが、企業での就労に結びつかなかった方
- 一度は就労経験があるが、現在は離職している方
原則として18歳以上65歳未満の方が対象ですが、条件を満たせば65歳以上でも継続して利用可能です。
働き方:一般企業のように週5日・1日8時間フルタイムで働くケースは少なく、利用者の体力や体調に配慮した勤務体系が組まれていることがほとんどです。一般的には、週3~5日、1日あたり4~6時間程度の勤務が多くなっています。利用期間に定めはないため、長期的に安定して働き続けることが可能です。
- 最低賃金以上の安定した収入を得たい人
- 支援のある環境で、一般就労に近い形で働きたい人
- 将来的に一般就労を目指しているが、まずは働くリズムを確立したい人
- 社会保険に加入し、将来に備えたい人
【深掘り解説③】就労継続支援B型とは?|自分のペースで働く「リハビリの場」
サービスの定義と目的
就労継続支援B型は、年齢や体力、障害の特性などから、企業やA型事業所のように雇用契約を結んで働くことが困難な方が、自分のペースで軽作業などの生産活動を行う「福祉的就労」の場です。目的は、働くことを通じて生活リズムを整えたり、社会とのつながりを維持したり、あるいはリハビリテーションの一環として活動することにあります。「働く体験を通じて生活リズムを整えることや社会とつながるきっかけを提供する」という側面が強いサービスです。
特徴:雇用契約なしと工賃
B型の最も大きな特徴は、A型とは対照的に「雇用契約を結ばない」点です。これにより、様々な柔軟性が生まれます。
- 工賃:雇用契約がないため、労働の対価は「給料」ではなく「工賃」として支払われます。工賃は、事業所が行う生産活動(製品の販売など)で得た収益から、必要経費を差し引いたものが利用者に分配される仕組みです。そのため、最低賃金の適用はなく、金額は事業所の収益や個人の作業量によって変動します。
- 柔軟な利用:労働者ではないため、労働基準法に縛られません。これにより、体調に合わせて「週1日だけ」「1日1時間だけ」といった非常に柔軟な通所が可能です。まずは家から出て活動することに慣れたい、という方にとって最適な選択肢となり得ます。
全国の平均工賃は月額約1.7万円(令和4年度)ですが、これはあくまで平均値です。浜松市内にも、時給制で高い工賃を目指す事業所や、独自の製品開発で収益を上げている事業所など、様々です。
対象者と働き方
対象者:B型事業所は、以下のような方が対象となり、年齢制限がないのも大きな特徴です。
- 企業やA型事業所での就労経験があるが、年齢や体力の面で雇用されることが困難となった方
- 50歳に達している方、または障害基礎年金1級を受給している方
- 体調に波があり、安定した勤務が難しい方
- まずは短時間から働くことに慣れていきたい方
働き方と作業内容:B型の魅力は、その働き方と作業内容の多様性にあります。浜松市内でも、事業所ごとに特色ある活動が行われています。
- 軽作業:部品の組み立て、検品、袋詰め、シール貼りなど。
- PC作業:データ入力、テープ起こし、アンケート集計など。
- 農福連携:農園での野菜の栽培、収穫、加工、販売。
- 食品製造・販売:パンやクッキー、お弁当などの製造と、店舗やイベントでの販売。
- 清掃・環境整備:施設や公園の清掃、除草作業など。
- クリエイティブ活動:アクセサリーや雑貨の制作、イラスト作成など。
これらの活動を通じて、利用者は社会参加の実感を得ながら、自分のペースでスキルや体力を向上させていくことができます。
- 体調や体力に不安があり、ごく短時間から始めたい人
- まずは生活リズムを整え、社会参加の第一歩を踏み出したい人
- 収入よりも、日中の居場所や活動の機会を求めている人
- 将来的にA型や一般就労を目指すためのステップとして利用したい人
【浜松市版】自分に合った事業所を見つけるための実践ガイド
3つのサービスの違いを理解したら、次は「自分に合った事業所をどう探すか」というステップに進みます。幸い、浜松市には豊富な選択肢があります。
浜松市の現状と選択肢の多さ
2025年11月現在、浜松市内には就労移行支援事業所が約30ヶ所、就労継続支援A型・B型事業所が合わせて95ヶ所以上存在します。これは、多様なニーズに応えられるだけの選択肢があることを意味します。
また、浜松市は第7期障害福祉計画の中で、福祉施設から一般就労への移行を推進する目標を掲げています。令和8年度には年間242人を一般就労へ移行させるという目標は、令和3年度実績(176人)から約1.37倍の増加を目指すものであり、市全体として就労支援に力を入れていることがわかります。これは、利用者にとって追い風と言えるでしょう。
事業所選びの3つの重要チェックポイント
数多くの事業所の中から最適な場所を見つけるために、以下の3つのポイントを必ずチェックしましょう。
1. プログラム内容と専門性
「何を学びたいか」「どんなスキルを身につけたいか」が、事業所選びの最も重要な軸になります。
- 目指す職種との合致:事務職を目指すならPCスキル訓練が充実しているか、専門職を目指すならIT・Webデザインなどの専門コースがあるか(例:ランプ浜松)、軽作業を希望するならどんな作業内容か、などを確認します。
- 障害特性への専門性:発達障害の特性に配慮したプログラムや、精神障害のある方のための心理プログラムなど、自分の障害に特化した支援ノウハウがあるかも重要なポイントです。
2. 就職実績と定着支援
就職はゴールではなく、スタートです。本当に大切なのは、就職した職場で長く安定して働き続けることです。
- 「就職者数」と「職場定着率」:単に何人就職させたかだけでなく、就職した人がその後も働き続けられているかを示す「職場定着率」は非常に重要な指標です。アクセスジョブ浜松駅前やウェルビーなどは高い定着率を公表しており、これは就職後のサポートが手厚い証拠です。
- 定着支援の内容:就職後、どのような頻度で、どのようなサポート(本人との面談、企業との連携など)をしてくれるのか、具体的に確認しましょう。この支援が、安心して働き続けるための生命線となります。
3. 事業所の雰囲気と通いやすさ
これから長期間通う場所だからこそ、自分との相性も大切です。
- 雰囲気:スタッフは親身に相談に乗ってくれそうか、他の利用者はどのような様子か、活気があるか、落ち着いているかなど、自分に合った環境かを感じ取ることが重要です。
- 通いやすさ:自宅からのアクセス(交通手段、所要時間)は、継続して通う上で現実的な問題です。浜松駅周辺にはLITALICOワークス浜松やウェルビー浜松駅前センターなど多くの事業所が集中していますが、郊外にも特色ある事業所があります。後述する市の交通費助成も考慮に入れつつ、無理なく通える範囲で探しましょう。
アクションプラン:Webサイトやパンフレットの情報だけで判断せず、必ず複数の事業所の「見学」や「体験利用」を行いましょう。実際に自分の目で見て、肌で感じることで、最適な「パートナー」となる事業所を見つけることができます。
【浜松市版】利用開始までの完全ロードマップ|相談から契約までの5ステップ
「利用したいサービスや事業所の候補が見つかった!」となっても、すぐに利用を開始できるわけではありません。障害福祉サービスを利用するには、お住まいの市区町村から「障害福祉サービス受給者証」を交付してもらう必要があります。手続きは少し複雑に思えるかもしれませんが、専門家がサポートしてくれるので心配ありません。ここでは、浜松市での手続きの流れを5つのステップで分かりやすく解説します。
Step 1:相談する
すべての始まりは「相談」です。一人で悩まず、まずは専門機関にあなたの「働きたい」という気持ちや困っていることを話してみましょう。浜松市には、あなたの悩みを聞き、適切なサポートへ繋いでくれる専門の窓口が複数あります。
浜松市の主な相談窓口リスト
- お住まいの区の社会福祉課(区役所・行政センター内)
最も身近な公的相談窓口です。障害福祉サービス全般に関する相談や、利用申請手続きの最初の窓口となります。浜松市の公式サイトでも、まずここへの相談が案内されています。- 中央福祉事業所(中央区役所内): 053-457-2058
- 浜名福祉事業所(浜名区役所内): 053-585-1697 など
- ハローワーク浜松(職業安定所)
障害のある方向けの専門窓口があり、求人情報の提供や職業相談を行っています。 - 浜松市障害者就労支援センター「ふらっと」
障害のある方の「就労」に特化した相談支援センターです。就職を目指す方から既に働いている方まで、幅広く相談に乗ってくれます。(電話:053-589-3028) - 各相談支援事業所
市内に多数ある「指定特定相談支援事業所」では、サービス利用計画の作成を含め、中立的な立場からあなたに合ったサービス探しを手伝ってくれます。
Step 2:事業所を見学・体験する
相談窓口で情報を得たり、インターネットで調べたりして、気になる事業所が見つかったら、積極的に見学や体験利用を申し込みましょう。前述の通り、複数の事業所を比較検討することが、ミスマッチを防ぐ鍵です。
Step 3:利用を申請する
通いたい事業所が固まったら、サービスの利用を正式に申請します。
- 申請窓口:お住まいの区の社会福祉課です。
- 必要なもの(一例):一般的に以下の書類が必要となります。
- 支給申請書(窓口で受け取ります)
- 障害者手帳の写し(お持ちの方)
- 医師の診断書(手帳がない場合など)
- マイナンバーが確認できる書類
- 本人確認書類
Step 4:サービス等利用計画案を作成する
申請と並行して、「サービス等利用計画案」を作成します。これは、「どのような目標で、どのサービスを、どれくらい利用したいか」をまとめた、支援の設計図となる重要な書類です。通常、市の指定を受けた「指定特定相談支援事業所」の相談支援専門員が、あなたと面談しながら無料で作成を手伝ってくれます。どの相談支援事業所に依頼すればよいかわからない場合も、区役所の窓口で紹介してもらえます。
Step 5:受給者証の交付と契約
申請書類とサービス等利用計画案が市に提出されると、内容の審査が行われます。場合によっては市の職員による聞き取り調査(アセスメント)が行われることもあります。審査の結果、サービスの支給が決定されると、あなたの自宅に「障害福祉サービス受給者証」が郵送で届きます。この受給者証を持って、利用したい事業所と正式に契約を結び、いよいよサービスの利用開始となります。
【浜松市在住者必見】知っておきたい費用と市の独自助成制度
新しいことを始めるにあたり、費用の心配はつきものです。しかし、障害福祉サービスは公的な制度であるため、経済的な負担が最小限に抑えられる仕組みが整っています。特に浜松市には、利用者にとって非常に有益な独自の助成制度があります。
利用料の基本:約9割が自己負担0円
まず大前提として、就労移行支援、A型、B型いずれのサービスも、利用料は国の制度によって定められています。前年の世帯所得に応じて自己負担の上限月額が設定されており、それを超える費用はかかりません。前述の通り、利用者の約9割は自己負担額0円(無料)でサービスを利用しています。負担が発生する場合でも、多くは月額9,300円が上限となります。詳しい所得区分については、申請時に窓口で確認できます。
浜松市独自の交通費助成制度
利用料以外で考慮すべき費用として「交通費」があります。自宅から事業所へ通うためのバス代や電車代は、原則として自己負担です。しかし、浜松市にはこの負担を軽減するための素晴らしい制度があります。
これは、浜松市が独自に行っている制度で、障害福祉サービス事業所へ通所する方に対し、交通費の一部を助成するものです。
- 助成内容:バスや電車などの公共交通機関を利用して通所した場合にかかる交通費を、年間最大7,000円まで助成します。(出典:浜松市資料)
- 対象サービス:就労移行支援、就労継続支援A型・B型などが対象です。
- 申請方法:この制度の便利な点は、利用者本人が直接市役所に出向く必要がないことです。通常、通所している事業所が必要な書類を準備し、代理で申請手続きを行ってくれます。利用者は、事業所の指示に従って通所証明などの書類に記入するだけです。
この制度は、浜松市に住む利用者にとって大きなメリットです。事業所を選ぶ際には、「市の交通費助成制度は利用できますか?」と必ず確認してみましょう。また、事業所によっては、この市の制度とは別に、独自の交通費補助や昼食提供を行っている場合もありますので、併せて確認することをお勧めします。
まとめ:最適なサービスを選び、あなたの「働きたい」を実現しよう
この記事では、浜松市で就労支援サービスの利用を検討している方に向けて、「就労移行支援」「就労継続支援A型」「就労継続支援B型」の3つのサービスの違いから、自分に合った事業所の見つけ方、利用開始までの具体的な手続きまでを詳しく解説してきました。
- 3つのサービスは「目的」が違う。就労移行支援は「訓練の場」、継続支援A型・B型は「働く場」。
- A型は「雇用契約あり・給料制」で安定収入を目指せ、B型は「雇用契約なし・工賃制」で自分のペースで活動できる。
- 浜松市には約30の移行支援事業所、95以上のA型・B型事業所があり、選択肢が豊富。プログラム内容、実績、雰囲気を比較し、見学・体験することが重要。
- 利用手続きは複雑に思えるが、区役所の社会福祉課や相談支援事業所が無料でサポートしてくれるので安心。
- 浜松市在住者なら、通所にかかる交通費が年間最大7,000円助成される独自の制度を活用できる。
どのサービスが自分に合っているか、どの事業所が良いか、一人で悩んでいても答えはなかなか見つからないかもしれません。大切なのは、まず第一歩を踏み出すことです。
あなたの「働きたい」という気持ちは、決して一人で抱えるものではありません。浜松市には、その思いを受け止め、形にするための専門家と制度が整っています。まずは、お住まいの区役所の社会福祉課や、少しでも気になった事業所に、「相談」の電話を一本入れてみることから始めてみませんか。その小さな一歩が、あなたの新しいキャリアを切り拓く、大きなきっかけになるはずです。

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