統合失調症と向き合いながら働く。浜松市の就労移行支援ができること

  1. 「働きたいけど、自信がない…」統合失調症を抱えるあなたの悩みと希望
  2. 統合失調症の方が仕事で直面する「困りごと」とは?
    1. 症状に起因する困難
    2. 環境に起因する困難
    3. 自己理解と他者への伝達の難しさ
    4. キーポイント:仕事上の困難は複合的な要因から生じる
  3. 「働く」を実現するための選択肢と支援制度
    1. 働き方の種類を知る:一般雇用と障害者雇用
    2. あなたを支える公的な就労支援サービス
  4. 【核心】あなたの「働きたい」を形にする就労移行支援とは?
    1. 目的:就職から「職場定着」まで、伴走するパートナー
    2. 具体的な支援内容:自分を知り、自信をつける5つのステップ
    3. 利用の流れと料金:安心して一歩を踏み出すために
      1. 利用までの一般的なステップ
      2. 利用料金について
  5. 【浜松市】であなたに合う就労移行支援事業所を見つけよう
    1. 事業所選びの3つのポイント
    2. 浜松市の就労移行支援事業所(例)
    3. 浜松市の就労移行支援事業所ピックアップ
      1. LITALICOワークス 浜松
      2. アクセスジョブ 浜松駅前
    4. まずはここから!浜松市の相談窓口
  6. 一歩を踏み出すあなたへ:利用者の声と未来への展望
    1. 利用者の体験談(事例紹介)
      1. ケース1:不安から自信へ。生活リズムの再建から事務職へ(20代・女性・うつ病/統合失調症の併記例を参考に作成)
      2. ケース2:自己理解を深め、自分に合った働き方を実現(30代・男性)
    2. まとめと行動喚起:小さな一歩が未来を変える
    3. この記事の最終まとめ

「働きたいけど、自信がない…」統合失調症を抱えるあなたの悩みと希望

「社会に出て働きたいという気持ちはある。でも、また体調を崩してしまうかもしれない」「職場の人間関係に馴染めるだろうか」「そもそも、今の自分にできる仕事なんてあるのだろうか…」。統合失調症と向き合いながら、あなたは今、そんな不安や葛藤を抱えているかもしれません。

「働きたい」という意欲と、症状や体力、将来への自信のなさとの間で、心が揺れ動くのは決してあなた一人ではありません。多くの当事者の方が、同じような悩みを抱えながら、社会参加への一歩を踏み出せずにいます。症状の波によって集中力が続かなかったり、疲れやすさを感じたり、あるいは陰性症状によって何かを始める気力が湧きにくかったりすることは、病気の特性であり、あなたの意欲が低いわけではないのです。

就労は、単にお金を得るための手段ではありません。安定した収入は生活の基盤を築きますが、それ以上に、仕事は私たちに社会的な役割やアイデンティティを与えてくれます。同僚との関わりは社会的なつながりを生み、日々の業務をこなすことは達成感や自己肯定感を育みます。そして、決まった時間に働き、休息するというサイクルは、生活リズムを整え、心身の安定にも繋がります。研究によれば、就労は生活の質(QoL)と密接に関連しており、精神的な回復を象徴する重要な要素であるとされています。

この「働きたい」という前向きな気持ちを、どうすれば具体的な一歩に変えられるのでしょうか。その答えの一つが、この記事で詳しく解説する**「就労移行支援」**という公的な福祉サービスです。

この記事は、統合失調症と向き合いながら「自分らしく働く」という目標を実現するために、あなたを一人にしない、心強い選択肢についてお伝えするために書かれました。特に、ここ静岡県浜松市で利用できる具体的なサポートに焦点を当て、不安を希望に変えるための道筋を一緒に探っていきます。あなたのペースで、あなたに合った働き方を見つける旅を、ここから始めましょう。

統合失調症の方が仕事で直面する「困りごと」とは?

「働きたい」という気持ちを具体的な行動に移すとき、統合失調症の特性が様々な「困りごと」として現れることがあります。これらの困難は、本人の努力や能力不足が原因なのではなく、病気の症状や、それを取り巻く環境との相互作用によって生じるものです。まずは、どのような困難があるのかを正しく理解することが、対策を考える上での第一歩となります。

症状に起因する困難

統合失調症の症状は、仕事のパフォーマンスに直接的な影響を与えることがあります。これらは大きく「陽性症状」「陰性症状」「認知機能障害」に関連する困難に分けられます。

  • 体調・体力の波と疲れやすさ
    統合失調症を抱える方の多くが、疲れやすさや体調の波を経験します。日によって集中力や作業効率が大きく変動することがあり、自分ではコントロールが難しい場合があります。「今日は調子が良い」と思っても、翌日には強い倦怠感に襲われることも少なくありません。このため、毎日決まった時間に同じレベルのパフォーマンスを維持することが求められる職場環境では、大きな負担を感じることがあります。
  • 陽性症状の影響(幻覚・幻聴など)
    幻覚や幻聴といった陽性症状は、本人の意思とは関係なく現れ、仕事への集中を著しく妨げる可能性があります。例えば、静かなオフィスで作業中に声が聞こえてきたり、誰もいないはずの場所に人の気配を感じたりすると、目の前の業務に意識を向けることが困難になります。これらの症状はストレスによって悪化することもあり、職場環境が合わないと症状が強く出てしまうという悪循環に陥ることもあります。
  • 陰性症状の影響(意欲・気力の低下)
    感情の平板化や意欲の低下といった陰性症状は、「やる気が出ない」「何もする気が起きない」といった状態を引き起こします。これは怠けているのではなく、病気の症状によるものです。朝、時間通りに起き上がって出勤の準備をすることや、新しい仕事に取り組むこと自体に、非常に大きなエネルギーが必要となる場合があります。周囲からは「意欲がない」と誤解されやすいのも、この症状のつらい点です。
  • 認知機能障害の影響(記憶・注意・計画など)
    統合失調症では、記憶力、注意力、計画を立てて実行する能力(遂行機能)などの認知機能に障害が見られることがあります。これにより、「指示された内容をすぐに忘れてしまう」「複数の作業を同時に進められない」「仕事の段取りを立てるのが苦手」といった困難が生じます。これらの問題は、仕事のミスに繋がりやすく、自信を失う原因にもなり得ます。

環境に起因する困難

本人の症状だけでなく、職場環境が「困りごと」を生み出す大きな要因となります。特に、病気への理解が不足している環境では、様々な壁に直面します。

  • 対人関係のストレスと孤立
    統合失調症の方の中には、対人関係に苦手意識を持つ方や、コミュニケーション自体が大きなストレスとなる方が少なくありません。他者の視線や評価に過敏になったり、相手の意図を誤解してしまったりすることもあります。職場で必要な「報告・連絡・相談」がうまくできなかったり、雑談の輪に入れなかったりすることで、周囲から孤立し、ストレスを溜め込んでしまうケースは少なくありません。
  • 障害への無理解とスティグマ(偏見)
    残念ながら、精神障害に対する社会的な偏見(スティグマ)は未だ根強く残っています。世界保健機関(WHO)も指摘するように、スティグマは差別や社会的排除につながり、当事者が医療、教育、そして雇用の機会を得る上での大きな障壁となります。病気のことを打ち明けると不当な扱いを受けるのではないかという不安から、障害を隠して(クローズで)就職する方もいますが、その場合、必要な配慮を得られず、一人で困難を抱え込むことになりがちです。

自己理解と他者への伝達の難しさ

これらの困難を乗り越えるためには、「自分自身の特性を理解し、必要な配慮を職場に伝える」ことが重要になります。しかし、これが最も難しい課題の一つでもあります。

「自分は何が得意で、何が苦手なのか」「どのような環境であれば、能力を発揮しやすいのか」「具体的に、どのような手助けや配慮が必要なのか」。これらの点を客観的に分析し、整理して、採用面接の場や上司に分かりやすく説明することは、誰にとっても簡単なことではありません。自分の状態を正確に把握し、それを言語化するプロセス自体が、大きな挑戦となるのです。

キーポイント:仕事上の困難は複合的な要因から生じる

  • 統合失調症の仕事上の困難は、本人の能力や意欲の問題ではなく、症状・環境・自己理解という3つの要素が複雑に絡み合って生じます。
  • 症状による困難:体力の波、陽性・陰性症状、認知機能障害がパフォーマンスに影響します。
  • 環境による困難:対人関係のストレスや、障害への理解不足が孤立や負担を増大させます。
  • 自己理解の困難:自分の特性や必要な配慮を客観的に把握し、他者に伝えること自体が大きなハードルとなります。
  • これらの困難を一人で乗り越えようとせず、専門的なサポートを活用することが、安定した就労への鍵となります。

「働く」を実現するための選択肢と支援制度

統合失調症と向き合いながら働くためには、多様な選択肢の中から「今の自分に合った道」を見つけることが何よりも重要です。画一的な正解はなく、ご自身の体調や希望、スキルに応じて最適な働き方や支援は異なります。ここでは、主な働き方の種類と、あなたを力強く支える公的な就労支援サービスについて解説します。

働き方の種類を知る:一般雇用と障害者雇用

働く際の雇用形態は、大きく「一般雇用」と「障害者雇用」に分けられます。それぞれの特徴を理解し、どちらが自分にとってより良い選択肢かを考えてみましょう。

項目 一般雇用(クローズ就労) 障害者雇用(オープン就労)
対象 障害の有無に関わらず、誰でも応募可能。基本的に障害を開示しない。 障害者手帳を持つ方が対象。障害を開示して応募する。
求人の特徴 求人数や職種が非常に豊富。キャリアの選択肢が広い。 障害者雇用促進法に基づき、一定規模以上の企業に義務付けられている。求人数は一般雇用より少ないが、増加傾向にある。
合理的配慮 障害を開示していないため、法的な配慮義務はない。体調不良などを「個人の事情」として説明する必要があり、理解を得にくい場合がある。 法的に「合理的配慮」の提供が義務付けられている。通院への配慮、業務量の調整、休憩の取り方、指示方法の工夫など、働きやすくなるための具体的な相談が可能。
勤務条件 フルタイム勤務が中心。柔軟な働き方が可能な求人は限られる傾向。 時短勤務や週3〜4日勤務など、柔軟な勤務形態の求人が比較的多い。体調に合わせて働きやすい。
メリット ・職種や企業の選択肢が広い
・キャリアアップの可能性が高い
・障害に対する偏見を気にせず働ける
・症状や特性への理解と配慮を得やすい
・安定して長く働きやすい
・通院や体調管理との両立がしやすい
デメリット ・必要な配慮を得られず、無理をしがち
・体調が悪化しても相談しにくい
・孤立感を抱えやすい
・求人数や職種が一般雇用に比べて限定的
・給与水準が比較的低い傾向がある場合も
・障害を開示することへの心理的抵抗

大切なのは、「どちらが良いか」という二元論で考えるのではなく、「今の自分にとって、どちらがより安心して、能力を発揮できるか」という視点です。症状が安定しており、職場のサポートが期待できる場合は一般雇用も選択肢になりますが、まずは無理なく社会復帰を目指したい、専門的な支援を受けながら働きたいという場合は、障害者雇用からスタートすることが有効な戦略となり得ます。

あなたを支える公的な就労支援サービス

日本には、障害のある方の「働きたい」という気持ちをサポートするための、様々な公的サービスが整備されています。これらのサービスは、一人で就職活動を行うのが難しいと感じる方にとって、頼れる道しるべとなります。

  • 就労移行支援事業所
    この記事で中心的に解説するサービスです。一般企業への就職を目指す障害のある方(原則18歳〜64歳)が対象です。就職に必要なスキルのトレーニング、職場探し、就職活動のサポート、そして就職後の職場定着支援まで、一貫したサポートを提供します。いわば「就職と、その後の安定した職業生活のための準備校」のような場所です。
  • 就労継続支援事業所(A型・B型)
    現時点では一般企業で働くことに不安がある方や、より手厚いサポートが必要な方のための福祉サービスです。
    A型: 事業所と雇用契約を結び、給与(最低賃金以上)を受け取りながら働きます。比較的、一般就労に近い形です。
    B型: 雇用契約は結ばず、生産活動に対する「工賃」を受け取ります。自分のペースで、比較的簡単な作業から始めたい方に適しています。体力に自信がない方や、まずは社会参加に慣れることから始めたい方にとって、無理なく働ける大切な場所です。
  • ハローワーク(公共職業安定所)
    各地域のハローワークには、障害のある方のための専門窓口が設置されています。専門の相談員が、障害の特性や希望に合わせた職業相談や求人紹介を行ってくれます。就労移行支援事業所とも連携しており、就職活動において中心的な役割を担います。
  • 地域障害者職業センター
    ハローワークと連携し、より専門的な職業リハビリテーションを提供する機関です。職業能力の評価、職業準備支援、職場適応援助者(ジョブコーチ)の派遣など、専門性の高い支援を行っています。
  • 障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)
    就業面と生活面の両方から一体的な支援を行う、身近な地域の相談機関です。仕事の悩みだけでなく、金銭管理や健康管理といった生活上の課題についても相談でき、安定した職業生活を総合的に支えてくれます。

これらの支援機関は、それぞれ役割が異なりますが、互いに連携し合ってあなたをサポートするネットワークを形成しています。どの窓口に相談すればよいか分からない場合でも、まずは最寄りの市区町村の障害福祉担当窓口やハローワークに問い合わせてみることで、適切な支援に繋がることができます。

【核心】あなたの「働きたい」を形にする就労移行支援とは?

数ある支援サービスの中でも、一般企業への就職を具体的に目指す上で、最も強力なパートナーとなるのが「就労移行支援」です。ここでは、その目的、具体的な支援内容、利用方法について深く掘り下げていきます。

目的:就職から「職場定着」まで、伴走するパートナー

就労移行支援の最大の目的は、単に「就職先を見つけること(就職活動)」だけではありません。その本質は、利用者が自分自身の強みと課題を深く理解し、必要なスキルを身につけ、自分に合った職場を見つけ、そして就職後も安定して長く働き続けること(職場定着)にあります。LITALICOワークスのような大手事業所では、この「職場定着」をゴールに据えた一貫したサポート体制を強みとしています。

一人での就職活動では、自分の弱点ばかりに目が行きがちですが、就労移行支援では専門の支援員が客観的な視点からあなたの「強み」や「可能性」を引き出してくれます。そして、苦手なことに対しては、具体的な対処法(スキル)や必要な配慮(環境調整)を一緒に考え、準備を進めていきます。このプロセスを通じて、あなたは自信を持って就職活動に臨み、就職後も困難に直面したときに対処できる力を養うことができるのです。

具体的な支援内容:自分を知り、自信をつける5つのステップ

就労移行支援事業所が提供するサポートは、一人ひとりの状況や目標に合わせてカスタマイズされますが、一般的には以下の5つのステップで進められます。

  1. 自己分析と目標設定(就職準備)
    支援は、まず「自分を知る」ことから始まります。LITALICOワークス浜松の事例にもあるように、最初は週2〜3日の短時間通所からスタートし、生活リズムを整えることから始める方も少なくありません。専門スタッフとの定期的な面談を通じて、これまでの経験、自分の好きなこと・得意なこと、逆に苦手なことやストレスを感じる状況などを丁寧に振り返ります。この対話を通じて、自分の障害特性を客観的に理解し、「どのような働き方がしたいか」「働く上でどのような配慮が必要か」といった具体的な目標と計画を立てていきます。
  2. スキルアップ(トレーニング)
    目標が定まったら、それに応じたスキルを習得するためのトレーニングを受けます。プログラムは事業所によって多様ですが、多くの場所で以下のような講座が提供されています。

    • PCスキル:Word、Excel、PowerPointなど、事務職で必須となる基本的なPC操作から、専門的なソフトウェアまで。初心者でも安心して学べるカリキュラムが組まれています。
    • ビジネスマナー:挨拶、電話応対、名刺交換、報告・連絡・相談など、社会人としての基礎を学びます。
    • ストレスコントロール:自分のストレスサインに気づき、適切に対処する方法を学びます。アンガーマネジメントやリラクゼーション法などが含まれます。
    • コミュニケーション訓練(SST):SST(ソーシャルスキルトレーニング)と呼ばれる、職場での円滑な人間関係を築くための実践的な訓練です。ロールプレイングなどを通じて、依頼、断り方、意見の伝え方などを学びます。
  3. 職場体験(企業インターン)
    ある程度スキルが身につき、自信がついてきたら、実際の企業で仕事を体験する「企業実習(インターンシップ)」に進みます。これは、就職後のミスマッチを防ぐ上で非常に重要なステップです。パンフレットや求人票だけでは分からない職場の雰囲気、業務内容、人間関係などを肌で感じることができます。また、企業側にとっても、あなたの人柄や仕事ぶりを知る良い機会となります。実習を通じて、「この会社なら働けそう」「この仕事は自分に合っている」という確信を得たり、逆に「思っていたのと違った」という気づきを得たりすることができます。
  4. 就職活動サポート
    いよいよ本格的な就職活動の段階です。ここでも支援員がマンツーマンでサポートします。

    • 求人探し:ハローワークや提携企業などから、あなたの希望や特性に合った求人情報を一緒に探します。
    • 応募書類の作成:自己分析や実習で明確になった自分の強みを効果的にアピールできる、履歴書や職務経歴書の作成を支援します。
    • 模擬面接:本番で落ち着いて話せるように、繰り返し面接の練習を行います。想定される質問への回答を準備し、伝え方について具体的なフィードバックを受けられます。
    • 面接同行:希望に応じて、支援員が面接に同行し、あなたの緊張を和らげたり、伝えきれなかった点を補足説明したりすることもあります。
  5. 職場定着支援
    就職はゴールではなく、新たなスタートです。就労移行支援のサポートは、就職後も続きます。就職後6ヶ月間は「職場定着支援」として、その後も希望すれば最長3年間の「就労定着支援サービス」を利用できます。新しい環境では、誰でも戸惑いや悩みを抱えるものです。定期的に支援員が職場を訪問したり、あなたと面談したりして、仕事の悩みや人間関係の課題について相談に乗ります。必要であれば、支援員があなたと企業の間に入り、業務量の調整や職場環境の改善などを働きかけることもあります。この継続的なサポートが、安心して働き続けるための大きな支えとなります。

利用の流れと料金:安心して一歩を踏み出すために

「自分も利用してみたい」と思った方のために、具体的な利用開始までの流れと、気になる料金について説明します。

利用までの一般的なステップ

  1. 問い合わせ・相談・見学:まずは気になる事業所に電話やウェブサイトから連絡し、相談や見学の予約をします。利用を前提としなくても、話を聞くだけでも大丈夫です。
  2. 体験利用:実際に事業所のプログラムを体験します。雰囲気や内容が自分に合うかを確認する大切な機会です。
  3. 市区町村への申請:利用したい事業所が決まったら、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口(浜松市の場合は各区役所の社会福祉課)で利用申請を行います。
  4. サービス等利用計画案の作成:相談支援事業所の相談支援専門員が、あなたの希望や目標をヒアリングし、「サービス等利用計画案」を作成します。
  5. 受給者証の交付:申請内容と計画案に基づき、市区町村から「障害福祉サービス受給者証」が交付されます。
  6. 利用契約・利用開始:受給者証を持って事業所と契約を結び、いよいよ利用開始となります。

利用料金について

就労移行支援は障害者総合支援法に基づく福祉サービスのため、利用料金が法律で定められています。自己負担額は、前年度の世帯収入によって決まりますが、多くの方が自己負担なし(0円)で利用しています。金銭的な心配をせずに、安心してサポートを受けることができます。

就労移行支援の利用者負担上限月額(参考)
所得区分 世帯の収入状況の目安 負担上限月額
生活保護 生活保護受給世帯 0円
低所得 市町村民税非課税世帯(※1) 0円
一般1 市町村民税課税世帯(所得割16万円未満)(※2) 9,300円
一般2 上記以外 37,200円

※1: 3人世帯で障害基礎年金1級受給の場合、収入が概ね300万円以下の世帯が対象。
※2: 収入が概ね670万円以下の世帯が対象。

一歩を踏み出すあなたへ:利用者の声と未来への展望

ここまで、統合失調症を抱えながら働く上での困難や、それを乗り越えるための就労移行支援という選択肢について詳しく見てきました。理論や制度を理解することも大切ですが、実際にサービスを利用して社会復帰を果たした方々の「生の声」は、何よりの希望となるはずです。

利用者の体験談(事例紹介)

ここでは、就労移行支援を利用して新たな一歩を踏み出した方々の事例を、参考資料を基に再構成してご紹介します。

ケース1:不安から自信へ。生活リズムの再建から事務職へ(20代・女性・うつ病/統合失調症の併記例を参考に作成)

利用前の状況:
大学卒業後に入社した会社で体調を崩し、退職。その後、自宅での療養生活が続き、昼夜逆転。体力やコミュニケーション能力が著しく低下し、「もう一度社会で働くなんて無理だ」と自信を完全に失っていました。

利用のきっかけとプロセス:
主治医の紹介でLITALICOワークスの存在を知り、「まずは話だけでも」と見学へ。スタッフの温かい対応に後押しされ、週2日の短時間通所からスタート。生活リズムを整えるプログラムや、軽い運動で体力を回復させることから始めました。スタッフとの面談を重ねる中で、自分が几帳面で、コツコツと作業することが得意であるという「強み」を再発見。PCスキル講座でWordやExcelを学び、自信をつけていきました。

就職と現在:
利用開始から約1年後、企業インターンを経て、メーカーの労務管理部門に障害者雇用で就職。現在は、時短勤務で無理のない範囲で働きながら、安定した日々を送っています。「一人では絶対にここまで来られなかった。自分のペースを尊重し、強みを見つけてくれた支援員さんには感謝しかありません」と語っています。

ケース2:自己理解を深め、自分に合った働き方を実現(30代・男性)

利用前の状況:
これまで複数の職を経験しましたが、いずれも人間関係のストレスや症状の悪化で長続きしませんでした。障害があることを隠して(クローズで)働いていたため、誰にも相談できず、一人で抱え込んでいました。「仕事が続かないのは自分のせいだ」と自分を責め続けていました。

利用のきっかけとプロセス:
ハローワークの専門窓口で就労移行支援を勧められ、アクセスジョブの体験利用に参加。個別支援のスタイルが自分に合っていると感じ、利用を開始しました。ストレスコントロールのプログラムを通じて、自分がどのような状況でストレスを感じやすいのか、その時どう対処すれば良いのかを学びました。また、SST(ソーシャルスキルトレーニング)で、上司への報告や同僚への依頼の仕方など、具体的なコミュニケーションスキルを練習。支援員との面談で、「静かな環境で、自分のペースで進められる仕事」が向いていること、そして「体調が悪い時に休みやすい配慮」が必要であることを整理しました。

就職と現在:
自分の特性と必要な配慮をまとめた「自己紹介シート」を準備し、障害を開示して(オープンで)就職活動に挑戦。IT企業のデータ入力の仕事に就職が決まりました。就職後も定着支援を利用し、月に一度、支援員と面談。職場での小さな悩みもすぐに相談できるため、安心して働き続けられています。「自分のことを理解し、それを伝える準備ができたことが一番の収穫でした。今は安定して働けることが何より嬉しいです」と話しています。

まとめと行動喚起:小さな一歩が未来を変える

統合失調症と向き合いながら働くことは、決して不可能なことではありません。むしろ、適切な治療とサポートがあれば、多くの人が自分の能力を活かし、充実した職業生活を送っています。国際的な研究でも、個別最適な支援(IPSモデルなど)が、統合失調症を持つ方々の就労に大きな効果を上げることが証明されています。

その成功の鍵は、「一人で抱え込まないこと」、そして「自分に合ったサポートを積極的に活用すること」です。この記事で紹介した「就労移行支援」は、まさにそのための心強いパートナーです。

この記事の最終まとめ

  • 働くことは可能であり、価値がある:就労は経済的自立だけでなく、自己肯定感や社会とのつながりをもたらす、回復の重要なステップです。
  • 困難には理由がある:仕事上の困難は、症状や環境が原因であり、あなたの能力不足ではありません。正しい理解と対策が重要です。
  • 就労移行支援は強力な味方:自己分析、スキルアップ、職場体験、就職活動、そして就職後の定着まで、専門家があなたと伴走し、トータルでサポートします。
  • 浜松市には選択肢がある:あなたのニーズに応える多様な事業所や相談窓口が浜松市には存在します。まずは情報を集め、足を運んでみることが大切です。

この記事を読んで、「少し話を聞いてみたい」「見学だけでもしてみようか」と少しでも感じたなら、それはあなたの未来に向けた、とても大きな一歩です。不安や迷いがあるのは当然です。しかし、その一歩を踏み出さなければ、何も変わりません。

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