浜松市の障害者雇用優良企業を紹介!「障害者就労応援団」登録企業リスト

自分に合った職場を見つけるために

障害のある方が就職活動を行う際、「自分に合った仕事が見つかるだろうか」「職場で必要な配慮を得られるだろうか」といった不安を感じることは少なくありません。しかし、浜松市には障害者雇用に積極的に取り組み、誰もがその人らしく能力を発揮できる環境づくりを進めている「優良企業」が数多く存在します。

この記事では、そうした企業の目印となる「静岡県障害者就労応援団」の制度を紹介するとともに、浜松市で活躍する具体的な企業事例を深掘りします。これらの情報を知ることは、あなたの就職活動における新たな選択肢や希望を見つけるきっかけとなるはずです。自分らしい働き方を実現するため、まずはどのような企業があるのかを知ることから始めてみましょう。

企業の取り組みを知る鍵:「静岡県障害者就労応援団」とは?

障害者雇用に前向きな企業を見つける上で、非常に参考になるのが「静岡県障害者就労応援団」登録制度です。これは、静岡県が障害者雇用に実績のある企業等を登録し、そのノウハウを他の企業や地域に広げていくことを目的とした制度です。

静岡県では、障害者雇用に実績のある企業等に「静岡県就労応援団」として登録していただき、職場見学や職場実習の受入れ、又は、障害者雇用を検討している企業からの採用・職場定着に関する相談、福祉施設からの授産製品の販売に関する相談等に対する助言などの活動にご協力いただいています。

応援団の役割と活動内容

応援団に登録された企業は、自社の経験を活かして、以下のような社会貢献活動を行います。

  • 障害者雇用を検討している企業への助言や職場見学の受け入れ
  • 就労支援機関に所属する障害のある方の職場実習の受け入れ
  • 県が実施する障害者雇用促進セミナーへの講師派遣
  • 福祉施設の製品(ふじのくに福産品)の販売促進に関する協力

これらの活動は、県全体の障害者雇用のレベルを引き上げる上で重要な役割を担っています。

応援団の登録要件

応援団として登録されるためには、厳しい要件をクリアする必要があります。県の要綱によると、主要な条件は以下の通りです。

  • 報告義務のある企業:過去3年間、法定雇用障害者数を満たしていること。
  • 報告義務のない企業:過去3年間、1人以上の障害のある人を雇用していること。

つまり、「静岡県障害者就労応援団」に登録されている企業は、長期間にわたり安定して障害者雇用を継続し、法律で定められた基準を上回る実績を持つ企業であることの証と言えます。

浜松市の障害者雇用を取り巻く現状

優良企業を見ていく前に、まずは浜松市全体の障害者雇用の状況を把握しておきましょう。静岡県全体では、民間企業における障害者の実雇用率は12年連続で過去最高を更新し、令和6年(2024年)には2.43%に達しています。特に精神障害者の雇用が大きく伸びているのが特徴です。

一方で、公的機関に目を向けると、課題も見えてきます。

市の機関における雇用率の課題

浜松市が公表している障害者任免状況によると、市長事務部局では法定雇用率を概ね達成しているものの、特に教育委員会では長年にわたり法定雇用率を下回る状況が続いています。

令和6年度のデータでは、浜松市教育委員会の実雇用率は1.57%であり、法定雇用率の2.70%に対して41.0人分の不足が生じています。この状況は改善が見られず、静岡労働局から3年連続で適正実施勧告を受けているとの報道もあります。

このような状況は、障害のある方が活躍できる場が一部ではまだ不足していることを示唆しています。だからこそ、法定雇用率を大きく超え、さらに障害のある社員が働きやすい環境づくりに積極的に取り組む「優良企業」の存在が、地域にとって、そして就職を目指す当事者にとって、非常に大きな意味を持つのです。

浜松市の障害者雇用をリードする優良企業事例

ここでは、「静岡県障害者就労応援団」に登録されている浜松市内の企業の中から、特に参考となる取り組みを行っている3社をピックアップしてご紹介します。これらの企業は、浜松市からも「障がい者雇用優良事業所」として表彰されるなど、高い評価を受けています。

【農業】京丸園株式会社:誰もが活躍できる「ユニバーサル農業」の実践

浜松市中央区に拠点を置く京丸園株式会社は、「農福連携」のトップランナーとして全国的に知られています。同社は「農業経営における幸せの追求」を掲げ、障害の有無や年齢に関わらず多様な人材が活躍する「ユニバーサル農園」を目指しています。

京丸園の取り組みの特色は、単なる「人手不足対策」ではなく、障害のある方を経営を支える重要な「パートナー」と位置づけている点です。具体的な取り組みとして、以下のような点が挙げられます。

  • 作業の細分化と機械化:「京丸ナビゲーションマップ」という独自の表を作成し、難しい作業もシンプルな工程に分解。さらに自社開発の機械を導入することで、一人ひとりの特性に合った仕事を見つけ出しています。
  • 継続的な雇用と成長支援:「1年に1人ずつ」障害者を新規雇用することを続け、現在では雇用率が40%を超えるまでに至っています。スキルアップに応じた賃金アップの仕組みも整えられています。
  • 多機関連携:家族や地域の支援機関、医療機関、ハローワークなどと密に連携し、働く本人の生活全体を見守る支援体制を構築しています。

「障害者が働ける現場は、誰にとっても働きやすい現場」という同社の考え方は、多くの企業にとってのモデルとなっています。

【サービス業】株式会社レンティック中部:人を育てる教育と挑戦の機会提供

株式会社レンティック中部は、リネンサプライや介護用品レンタルなどを手掛ける企業です。同社は早くから障害者雇用に積極的に取り組み、浜松市から優良事業所として表彰された際には、「さまざまな教育等を通して、障害者を働くひとりの戦力として育て、いろいろなことに挑戦させている」点が評価されました。

同社は障害者雇用をさらに推進するため、特例子会社「株式会社中部リネンサポート」を設立しており、組織として障害者雇用に取り組む強い意志がうかがえます。また、地域の障害者雇用促進セミナーで事例発表を行うなど、そのノウハウを地域に還元する活動も行っています。

【製造業】三実精工株式会社:「人となり」を重んじる多様性と共生の職場づくり

浜松市浜名区にある三実精工株式会社は、精密金属加工を手掛けるメーカーです。同社は「静岡県障害者就労応援団」の登録企業であり、障害者雇用促進セミナーを開催するなど、積極的な活動で知られています。

同社の理念は「多様性と共生の職場づくり」。国籍や雇用形態、障害の有無に関わらず、個々の「人となり」を重んじる採用方針を掲げています。障害のある社員も、軽作業から専門的な金属加工のオペレーターまで、本人の向上心や適性に応じて様々な業務に取り組んでいます。

どんなに立派な設備やシステムがあっても、それを活かすのは人に他なりません。だから三実精工は、人物重視の採用方針と入社後のひとづくりに力を入れています。(三実精工株式会社 採用サイトより引用)

支援機関や支援学校との定期的な連携によるサポート体制を整え、着実に技術を身につけながら社会人として成長できる環境を提供している点は、製造業での就職を目指す方にとって大きな魅力となるでしょう。

優良企業への就職を目指すためのサポート体制

紹介したような優良企業で働くためには、どのような準備やステップが必要なのでしょうか。幸い、浜松市には就職を目指す障害のある方を支える多様なサービスや機関が存在します。これらを活用することが、希望の職場への近道となります。

就労移行支援事業所:専門的な訓練と就職活動のパートナー

就労移行支援は、一般企業への就職を目指す障害のある方(原則18歳~64歳)が、就職に必要な知識やスキルを身につけるための訓練やサポートを受けられる福祉サービスです。浜松市内にも、多くの就労移行支援事業所があります。

これらの事業所では、以下のような多岐にわたるサポートを提供しています。

  • 個別支援計画の作成:一人ひとりの希望や特性に合わせた目標設定と訓練プログラムを作成します。
  • ビジネスマナーやPCスキルの習得:仕事で必要となる基本的なスキルを学びます。
  • 職場体験(実習):実際に企業で働く体験を通じて、自分に合った仕事や職場環境を見つけます。
  • 就職活動のサポート:履歴書の添削や面接練習、求人探しなどを専門スタッフが支援します。
  • 就職後の定着支援:就職後も職場に定着できるよう、定期的な面談や企業との調整を行います。

浜松市内には、やなど、特色ある多くの事業所が存在します。まずは見学や相談から始めて、自分に合った事業所を探すことが重要です。

浜松市の公的支援機関と独自の取り組み

就労移行支援事業所に加えて、浜松市には公的な相談窓口や独自の支援事業も充実しています。

  • ハローワーク浜松:専門の職員が職業相談や紹介を行っています。
  • 浜松市障害者就労支援センター ふらっと:就業に関する相談から就職後のアフターフォローまで、総合的な支援を提供しています。
  • 障害者就業・生活支援センター だんだん:就労面だけでなく、生活面も含めた一体的な相談支援を行っています。
  • 企業伴走型障害者雇用推進事業:市の専門アドバイザーが企業を訪問し、障害者雇用の受け入れ体制整備などを支援する浜松市独自の事業です。これにより、企業側の理解を深め、雇用の拡大を目指しています。

これらの機関は互いに連携しており、一人ひとりの状況に応じた最適なサポートを提供してくれます。どこに相談すればよいか分からない場合でも、まずは一つの窓口に連絡してみることをお勧めします。

まとめ:最初の一歩を踏み出す勇気

この記事では、浜松市における障害者雇用の現状と、「静岡県障害者就労応援団」に代表される優良企業の存在、そして就職を支えるサポート体制について解説しました。

京丸園やレンティック中部、三実精工のような企業は、障害のある方を単なる「支援の対象」ではなく、共に会社を成長させる「価値ある人材」として捉えています。こうした企業が増えることは、障害の有無にかかわらず誰もが働きやすい社会の実現につながります。

就職活動は一人で抱え込むと、不安が大きくなりがちです。しかし、浜松市にはあなたの「働きたい」という気持ちを応援してくれる企業と、そこへ繋いでくれる専門の支援機関が数多くあります。就労移行支援事業所などの専門機関に相談することは、自分に合った職場を見つけるための、そして自分らしく働き続けるための、最も確実な一歩です。ぜひ勇気を出して、相談の扉を叩いてみてください。

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