身体障害のある方へ。浜松市の就労移行支援でバリアフリーな職場を探す方法

身体に障害のある方が就職活動を行う際、「職場の物理的な環境はどうか」「必要な配慮は得られるか」といった不安はつきものです。しかし、適切なサポートを活用することで、自分らしく、そして安心して働ける「バリアフリーな職場」を見つけることは十分に可能です。その強力な味方となるのが「就労移行支援」サービスです。

この記事では、浜松市で身体障害のある方が就労移行支援を活用し、自分に合ったバリアフリーな職場を見つけるための具体的な方法と、役立つ情報を網羅的に解説します。

浜松市における障害者雇用の現状と市の目標

近年、障害のある方の就労意欲は高まりを見せており、浜松市においても一般企業で働く人の数は年々増加しています。一方で、就労にあたってきめ細やかな支援を必要とする方も増えており、特に一般就労を目指すための「就労移行支援」は、需要に対して供給が追いついていない「不足傾向」にあると指摘されています。。

このような状況を受け、浜松市は「第4次浜松市障がい者計画」の中で、福祉施設から一般就労への移行を重要な目標として掲げています。。市は、国の基本指針に基づき、具体的な数値目標を設定し、障害のある方の自立と社会参加を積極的に推進しています。

浜松市は、障がいのある人の自立支援の観点から、地域生活への移行や就労支援といった課題に対応するため、目標値を設定し、障がいのある人の自立と社会参加を推進します。 (浜松市公式サイトより引用)

以下のグラフは、浜松市が掲げる令和8年度(2026年度)末までの就労支援施設からの一般就労への移行者数の目標値です。特に、就労移行支援からの移行者数を大幅に増やす計画であることがわかります。

「就労移行支援」とは?身体障害のある方が活用するメリット

就労移行支援とは、障害者総合支援法に基づく福祉サービスの一つです。一般企業への就職を目指す65歳未満の障害のある方を対象に、就職に必要な知識やスキルの向上、求職活動のサポート、職場定着支援などを、原則2年間の利用期間内で行います。。

身体障害のある方にとって、このサービスを活用するメリットは多岐にわたります。

  • 専門的なスキル習得: PCスキルやビジネスマナーなど、希望する職種に応じた訓練を受けられます。
  • 自己理解の深化: 専門の支援員との面談を通じて、自身の得意なこと、苦手なこと、必要な配慮などを客観的に整理できます。
  • バリアフリー環境での求職活動: 支援事業所が企業との間に入り、職場の物理的なバリア(段差、トイレなど)や、働き方の柔軟性(在宅勤務、時短勤務など)について事前に確認・交渉してくれます。
  • 職場実習の機会: 実際に興味のある企業で働く「職場実習」を通じて、仕事内容や職場の雰囲気が自分に合うかを確かめることができます。
  • 就職後の定着支援: 就職後も、仕事上の悩みや人間関係について相談できる「就労定着支援」というサービスがあり、長く働き続けるためのサポートを受けられます。

ステップで解説!浜松市でバリアフリーな職場を見つける具体的な方法

では、具体的にどのように就労移行支援を活用してバリアフリーな職場を探せばよいのでしょうか。ここでは4つのステップに分けて解説します。

ステップ1:自分に合った就労移行支援事業所を探す

最初の重要な一歩は、自分に合った事業所を見つけることです。浜松市内には、様々な特色を持つ就労移行支援事業所があります。。

事業所を探す際は、以下の点を確認しましょう。

  • 事業所自体のバリアフリー設備: まずは自分が通う事業所が通いやすい環境かを確認します。ポータルサイトなどでは「車椅子受け入れ」「エレベータ設置」「バリアフリートイレあり」といった条件で絞り込み検索が可能です。。
  • 支援プログラムの内容: PC訓練、コミュニケーション訓練、軽作業など、提供されるプログラムが自分の希望と合っているか。
  • 就職実績: どのような企業や職種への就職実績があるか。特に身体障害のある方の支援実績が豊富かどうかも重要なポイントです。
  • 雰囲気と支援員の対応: 見学や体験利用を活用し、事業所の雰囲気や支援員との相性を確かめましょう。多くの事業所で見学や相談を無料で受け付けています。。

ステップ2:事業所での訓練と「合理的配慮」の整理

事業所の利用を開始したら、就職に向けた訓練と並行して、自分が働く上で必要な「合理的配慮」を整理していきます。合理的配慮とは、障害のある人が他の人と同じように働けるよう、職場が提供するべき配慮のことです。2024年4月からは、民間企業に対してもこの合理的配慮の提供が法的に義務化されました。。

支援員との面談を通じて、以下のような具体的な配慮事項を洗い出します。

  • 物理的環境: スロープの設置、机の高さ調整、車椅子で移動しやすい通路の確保など。
  • 働き方: 通院のための休暇取得、ラッシュ時を避けた時差出勤、在宅勤務の導入など。
  • 業務内容: 身体的な負担が少ない業務への配置、補助具の使用許可など。
  • 情報保障: 会議での筆談対応や資料の事前共有など。

これらを明確にしておくことで、就職活動の際に企業へ具体的な希望を伝えやすくなります。

ステップ3:企業見学・実習で職場環境を確認

就労移行支援の大きな利点の一つが、企業見学や職場実習の機会が豊富なことです。書類や面接だけではわからない、実際の職場の環境を自分の目で確かめることができます。

実習の際には、事前に整理した「合理的配慮」のチェックリストを基に、以下の点を確認しましょう。

  • 通勤経路と建物の入口: 公共交通機関からのアクセス、スロープや自動ドアの有無。
  • 執務スペース: デスク周りの広さ、他の社員との距離、コンセントの位置。
  • 共用スペース: トイレ(多目的トイレの有無)、休憩室、食堂へのアクセス。
  • 職場の雰囲気: 社員の方々がどのように働いているか、コミュニケーションの様子。

実習を通じて得た経験は、自分に合う職場を見極めるための貴重な判断材料となります。

ステップ4:ハローワークや支援機関と連携した就職活動

実際の応募段階では、就労移行支援事業所だけでなく、地域の様々な支援機関と連携して活動を進めます。。

  • ハローワーク浜松: 障害のある方向けの専門窓口があり、求人紹介や面接のセッティングを行ってくれます。事業所の支援員が面接に同行してくれることもあります。。
  • 浜松市障害者就労支援センター ふらっと: 浜松市が委託する支援機関で、就職に関する総合的な相談に応じてくれます。。
  • 障害者就職面接会: 浜松市などが主催するイベントで、複数の企業と一度に面接できる機会です。

これらの機関と事業所がチームとなって、応募書類の添削から面接対策、採用条件の交渉まで、一貫してサポートしてくれます。

浜松市で利用できる!障害者就労支援の相談窓口一覧

就職に関してどこに相談すればよいか迷った際は、以下の公的な窓口に連絡することから始めてみましょう。就労移行支援事業所の紹介も含め、様々な情報提供やサポートを受けることができます。

  1. 浜松市障害者就労支援センター ふらっと
    • 内容:浜松市の委託による就労支援機関。就職活動や就職後の悩み、職業訓練の相談など総合的に対応。
    • 所在地:浜松市中央区中郡町474
    • 電話番号:053-589-3028
    • 公式情報
  2. 障害者就業・生活支援センター だんだん
    • 内容:国・県の委託事業。就職や職場定着、日常生活の助言など、仕事と生活の両面から一体的な支援を提供。
    • 所在地:浜松市浜名区中条1844
    • 電話番号:053-545-3150
    • 公式情報
  3. ハローワーク浜松(浜松公共職業安定所)
    • 内容:障害のある方向けの専門窓口(専門援助部門)があり、求人紹介や職業相談を実施。
    • 所在地:浜松市中央区浅田町50-2
    • 電話番号:代表 053-457-5151
    • 管轄情報
  4. 静岡障害者職業センター
    • 内容:ハローワークと連携し、職業評価や職業準備支援など、より専門的な支援を提供。
    • 所在地:静岡市駿河区曲金3-1-30
    • 電話番号:054-280-3500
    • 公式サイト

まとめ:あなたらしい働き方への第一歩を

身体に障害があっても、自分に合った環境で能力を発揮し、やりがいを持って働くことは十分に可能です。浜松市には、その挑戦を支える「就労移行支援」という心強いサービスと、連携する多くの支援機関が存在します。

重要なのは、一人で抱え込まず、専門家のサポートを積極的に活用することです。まずは見学や相談から、あなたらしい働き方を見つけるための第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。このサイトが、そのきっかけとなれば幸いです。

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