「働きたいけれど、何から始めればいいかわからない」「自分に合った仕事を見つけ、長く続けたい」——。障害や難病を抱えながら就職を目指す浜松市在住のあなたへ。その思いを具体的な「就職」へとつなげる公的サービスが「就労移行支援」です。
利用を決めた後、実際にどのようなステップで就職まで進んでいくのか、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。この記事では、浜松市で就労移行支援の利用を開始した後の具体的な流れを、「就職準備」「スキル習得」「就職活動」の3つのステップに分けて、詳しく解説します。
就労移行支援は、障害者総合支援法に基づく福祉サービスです。一般企業への就職を希望する65歳未満の方を対象に、就職に必要な知識やスキル向上のための訓練、就職活動のサポート、そして就職後の定着支援までを一貫して行います。
就労移行支援の全体像:個別支援計画からはじまる「あなただけのロードマップ」
就労移行支援のプロセスは、画一的なものではありません。まず、支援員との面談を通じて、あなたの希望や目標、得意なこと、そして課題を共有し、「個別支援計画」を作成することから始まります。これは、あなただけの就職に向けたオーダーメイドのロードマップです。
利用期間は原則として最長2年間ですが、多くの方は6ヶ月から1年半ほどで就職しています。あなたのペースに合わせて、焦らず着実にステップアップしていくことが可能です。
【ステップ1】就職準備期:生活リズムを整え、働くための土台を作る
最初のステップは、働くための心と体の土台を築く「就職準備期」です。特に、ブランクがある方や体調が不安定な方にとっては非常に重要な期間となります。
目標:安定した通所と自己理解
この段階での主な目標は、安定して事業所に通えるようになることです。多くの事業所では、週2〜3日の短時間利用からスタートし、徐々に日数や時間を増やしていく柔軟な対応をしています。生活リズムを整えながら、まずは「通う」習慣を身につけます。
同時に、様々なプログラムを通じて「自己理解」を深めます。自分の障害特性や、得意・不得意、ストレスの原因と対処法などを客観的に把握することで、自分に合った働き方を見つけるための基礎を固めます。
具体的なプログラム例
浜松市内の事業所では、この段階で以下のようなプログラムが提供されています。
- 生活リズムの構築:規則正しい生活習慣を身につけるための勤怠管理や健康管理。
- ストレスコントロール:自分のストレスパターンを理解し、対処法を学ぶ。
- 自己理解ワーク:自分の強みや課題、価値観などを整理するグループワークや個人ワーク。
- 基礎コミュニケーション:挨拶や報告・連絡・相談(報連相)など、働く上での基本を学ぶ。
【ステップ2】スキル習得・実践期:自分に合った仕事を見つけるためのスキルアップ
生活リズムが安定し、働く準備が整ってきたら、次のステップは具体的なスキルを身につける「スキル習得・実践期」です。自分の興味や適性に合わせて、就職の選択肢を広げていきます。
目標:専門スキルの習得と職場体験
この段階では、希望する職種で役立つ専門的なスキルを習得します。また、「企業実習(インターンシップ)」も積極的に行われます。実際に企業で働く体験をすることで、仕事内容への理解を深め、職場の雰囲気を感じ、自分に合うかどうかを確かめることができます。これは、就職後のミスマッチを防ぐ上で極めて重要です。
就労移行支援は、精神障害、発達障害、身体障害、知的障害、難病など、様々な障害のある方が利用しています。そのため、プログラムも個々の特性やニーズに合わせて多様なものが用意されています。
浜松市で学べる多様なスキル
浜松市内の事業所では、時代のニーズに合わせた多様なスキルを学ぶことができます。
- PCスキル:WordやExcelなどのMOS資格対策、IllustratorやPhotoshopなどのデザインソフト、プログラミング(HTML, Javaなど)まで、レベルに応じた学習が可能です。
- 事務・軽作業スキル:データ入力、ピッキング、チラシ折りなど、事務職や軽作業で求められる実践的な訓練を行います。
- コミュニケーションスキル:SST(ソーシャルスキルトレーニング)やグループワークを通じて、職場での円滑な人間関係を築く力を養います。
- 資格取得支援:履歴書に書ける資格の取得をサポートし、就職活動を有利に進めます。
【ステップ3】就職活動期:支援員と二人三脚で内定を目指す
必要なスキルが身につき、働く自信がついてきたら、いよいよ最終ステップである「就職活動期」です。一人で進めるのではなく、経験豊富な支援員と二人三脚で内定獲得を目指します。
目標:応募から内定獲得まで
この段階の目標は、もちろん「自分に合った企業から内定を獲得すること」です。事業所は、ハローワークや地域の企業と連携し、豊富な求人情報を提供します。その中から、あなたの希望や特性に合った企業を一緒に探していきます。
具体的なサポート内容
就職活動における不安を解消するため、万全のサポート体制が整っています。
- 書類作成サポート:強みや経験が伝わる履歴書・職務経歴書の作成を丁寧に添削・指導します。
- 模擬面接:本番を想定した面接練習を繰り返し行い、自信を持って臨めるようにします。オンライン面接の対策も可能です。
- 企業探しとマッチング:あなたの希望条件や障害特性への配慮などを企業側に伝え、最適なマッチングを実現します。
- 面接同行:希望に応じて支援員が面接に同行し、緊張を和らげたり、伝えきれない部分を補足したりします。
- 企業実習先の開拓:LITALICOワークスでは4,500社以上のインターン先があるなど、多くの事業所が企業開拓に力を入れています。
就職後も安心:最長3年半の「就労定着支援」とは
就職はゴールではなく、新たなスタートです。就職後も長く安心して働き続けるために、「就労定着支援」というサービスがあります。
これは、就職後6ヶ月が経過した方を対象に、最長3年間、職場での悩みや生活面の課題についてサポートを提供する制度です。支援員が定期的に職場を訪問したり、面談を行ったりして、企業とあなたの橋渡し役となり、職場環境の調整や問題解決を支援します。これにより、職場定着率の向上が期待できます。(例:アクセスジョブ浜松田町では職場定着率100%の実績も報告されています※2021-2025年6月時点)
浜松市で利用できる公的サポートと情報収集
就労移行支援の利用を検討するにあたり、浜松市が提供する様々なサポートや情報を活用することができます。
- 相談窓口:お住まいの区役所の福祉事業所(社会福祉課)や、浜松市障害者就労支援センター「ふらっと」が専門的な相談に応じてくれます。
- イベント:浜松市では毎年のようなイベントが開催され、市内の事業所や企業と直接話せる機会があります。
- 交通費助成:事業所への通所にかかる交通費の一部を助成する制度があり、経済的な負担を軽減できます。
- 事業所一覧:浜松市の公式サイトや、LITALICO仕事ナビなどのポータルサイトで市内の事業所を探すことができます。
まとめ:自分らしい「働く」を見つけるために、最初の一歩を
浜松市の就労移行支援は、利用開始から就職、そしてその後の定着まで、一人ひとりのペースに合わせた一貫したサポートを提供する心強い味方です。今回ご紹介した3つのステップは、あなたが自分らしい働き方を見つけ、社会で活躍するための確かな道のりを示しています。
もし少しでも興味を持ったら、まずは気になる事業所の見学や相談会に参加してみることをお勧めします。多くの事業所が無料で相談や体験利用を受け付けています。あなたに合った支援と出会い、未来への扉を開くための第一歩を踏み出してみませんか。
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