【浜松市】就労移行支援は「お金をもらえる」?収入と費用を徹底解説!

  1. その不安、この記事がすべて解消します
  2. 「お金はもらえる」は本当?就労移行支援における収入の真実
      1. 結論
  3. 【最重要】訓練中の生活を支える5つの公的制度と収入源
    1. 1. 障害年金:最も安定的で重要な収入基盤
      1. 専門家への早期相談が鍵
    2. 2. 雇用保険(失業手当):離職者にとっての力強い味方
      1. 【重要】障害のある方は「就職困難者」として給付が手厚くなる可能性
    3. 3. 傷病手当金:療養中の生活を支える制度
      1. 【最重要注意喚起】失業手当と傷病手当金の同時受給はできません
    4. 4. 生活保護:最終的なセーフティネット
    5. 5. 就職促進給付:早期の再就職を後押しする手当
  4. 支出を徹底解剖!浜松市の就労移行支援は実質いくらかかる?
    1. なぜ約9割が自己負担0円なのか?
    2. 【超重要ポイント】所得を判断する「世帯」の範囲
      1. 所得算定の対象となる「世帯」の定義
  5. 【浜松市在住者必見】交通費助成と独自の支援策
    1. 浜松市障害者施設通所支援事業(交通費助成)
      1. 具体的なアクション
    2. 事業所独自の交通費補助
    3. その他の浜松市の関連支援
  6. 【結論】浜松市で就労移行支援を利用し、お金の不安を解消する具体的アクションプラン
    1. 1. あなたが使える制度はどれ?まずは全体像を把握
    2. 2. 【実践編】失業手当(雇用保険)の申請ステップ
      1. ステップ1:事前準備(ハローワークへ行く前に)
      2. ステップ2:ハローワーク浜松での手続き
    3. 3. 【実践編】浜松市の利用料・交通費助成の手続き
      1. ステップ1:相談
      2. ステップ2:申請と計画案作成
      3. ステップ3:支給決定・受給者証の交付
      4. ステップ4:事業所との契約と交通費助成の確認
    4. よくある質問(Q&A)
  7. 【補足情報】2025年10月から始まる新制度「就労選択支援」とは?
      1. 今後の流れ
  8. まとめと相談窓口のご案内

その不安、この記事がすべて解消します

「障害や病気を抱えながらも、もう一度働きたい」——。

遠州のからっ風が新たな挑戦を後押しするこの浜松市で、社会復帰への道を模索し、「就労移行支援」という選択肢にたどり着いたあなた。しかし、その希望と同時に、心の中に大きな不安がよぎってはいないでしょうか。

「訓練に通っている間、生活費はどうすればいいのだろう?」
「貯金が底をついてしまったら、訓練を続けられないかもしれない…」
「そもそも、利用するのにお金がかかるのでは?」
「お金をもらいながら通える、と聞いたけれど本当だろうか?」

このような経済的な懸念は、新たな一歩を踏み出そうとする意欲にブレーキをかけ、時にその挑戦自体を諦めさせてしまうことさえある、極めて現実的で切実な問題です。特に、就労移行支援の利用中は原則として働くことができないため、収入が途絶えることへの不安は計り知れません。

この記事は、そうした「お金」に関するあらゆる不安や疑問を解消するために生まれました。私たちは、就労移行支援という制度を公平かつ多角的な視点から徹底的に分析し、あなたが本当に知りたい情報を網羅的にお届けします。本記事の目的は、単に制度を解説することではありません。「お金」というフィルターを通して就労移行支援の全体像を正しく理解し、経済的な不安を具体的な知識で乗り越え、あなた自身が納得して次のステップへと進むための羅針盤となることです。

本稿では、以下の構成で、浜松市で就労移行支援を利用する際の「お金」のすべてを解き明かしていきます。

  • 収入の真実:「お金はもらえるのか?」という問いへの明確な答え。
  • 生活を支える公的制度:訓練中の生活を支える具体的な収入源。
  • 実際にかかる費用:利用料の仕組みと、なぜ多くの人が無料で利用できるのか。
  • 浜松市独自の支援:交通費助成など、浜松市民だからこそ活用できる制度。

曖昧な期待や根拠のない不安からあなたを解放し、安心して未来への投資(=訓練)に集中できる環境を整えるための情報が、ここにあります。

「お金はもらえる」は本当?就労移行支援における収入の真実

多くの人が抱く「就労移行支援はお金をもらいながら通えるのか?」という疑問。この問いに対する結論を、まず明確にお伝えします。

結論

原則として、就労移行支援事業所から直接、給料や工賃が支払われることはありません。

この事実は、一部で広まっている「お金をもらえる」というイメージとは異なるかもしれません。では、なぜ給料が出ないのでしょうか。その理由は、就労移行支援という制度の根本的な目的にあります。

就労移行支援は、障害者総合支援法に基づき、障害や難病のある方が一般企業へ就職し、自立した生活を送ることを支援する「訓練の場」です。いわば、社会人として働くためのスキルや知識を学ぶ「学校」のような存在と捉えることができます。学校で勉強することに対して給料が支払われないのと同様に、就労移行支援も訓練そのものから直接的な収入を得る場所ではないのです。

この点をより明確に理解するために、しばしば混同されがちな他の就労系福祉サービスと比較してみましょう。

上の図が示すように、「就労継続支援A型・B型」は、事業所という福祉的な環境の中で「働くこと」自体が目的の一つであり、その労働の対価として給料(A型)や工賃(B型)が支払われます。これらは「福祉的就労の場」と呼ばれます。

一方、就労移行支援のゴールは、あくまで「一般企業への就職」です。そのため、プログラムはPCスキル、ビジネスマナー、コミュニケーション、自己理解、就職活動対策といった、就職と職場定着に必要な能力開発に特化しています。

したがって、「お金をもらいながら通う」という認識は、制度の趣旨とは異なります。正しい理解は、「未来の安定した就労と収入のために、公的な生活支援制度を活用しながら、自己投資(=訓練)を行う場所」というものです。では、その「公的な生活支援制度」とは具体的に何を指すのでしょうか。次章で、その核心に迫ります。

【最重要】訓練中の生活を支える5つの公的制度と収入源

就労移行支援事業所から直接収入は得られない——。この事実を知り、不安を感じた方もいるかもしれません。しかし、ご安心ください。訓練に専念している間の生活が立ち行かなくなるわけではありません。日本の社会保障制度には、このような状況を支えるための、力強いセーフティネットが複数用意されています。

この章では、就労移行支援の利用者が実際に活用している代表的な5つの公的制度を、対象者や注意点を含めて具体的に解説します。ここが、あなたの経済的な不安を解消するための最も重要なパートです。

1. 障害年金:最も安定的で重要な収入基盤

障害年金は、病気やけがによって法律で定められた障害の状態になり、生活や仕事が制限される場合に支給される公的な年金です。これは就労移行支援の利用とは独立した制度であり、要件を満たせば受給できます。訓練期間中、定期的かつ安定的に得られる収入源として、多くの利用者にとって生活の大きな基盤となります。

  • 種類:初診日(障害の原因となった病気やけがで初めて医師の診療を受けた日)に加入していた年金制度によって、以下の2つに分かれます。
    • 障害基礎年金:初診日に国民年金に加入していた方などが対象。
    • 障害厚生年金:初診日に厚生年金に加入していた方が対象。障害基礎年金に上乗せして支給されます。
  • 対象:障害の原因となった病気やけがの初診日から1年6ヶ月が経過した日(障害認定日)などに、法令で定められた障害等級(1級~3級、または障害手当金)に該当する方。

専門家への早期相談が鍵

障害年金の申請は手続きが複雑で、必要書類も多岐にわたります。また、申請から受給決定までには数ヶ月単位の時間がかかることが一般的です。就労移行支援の利用を検討し始めた段階で、お近くの年金事務所や市区町村の年金担当窓口、あるいは社会保険労務士(社労士)などの専門家に早めに相談することを強くお勧めします。

2. 雇用保険(失業手当):離職者にとっての力強い味方

会社を退職して就労移行支援の利用を始める場合、雇用保険の基本手当(通称:失業手当)が大きな支えとなります。これは、再就職を目指す失業中の生活を保障し、安心して求職活動に専念できるようにするための制度です。

  • 対象:原則として、離職日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して12ヶ月以上ある方。
  • 手続き:お住まいの地域を管轄するハローワークで行います。退職した会社から交付される「離職票」などの書類が必要です。

【重要】障害のある方は「就職困難者」として給付が手厚くなる可能性

障害者手帳をお持ちの方や、その他一定の要件を満たす方は、ハローワークで「就職困難者」として認定される場合があります。この場合、通常の離職者に比べて給付日数が大幅に延長されるという大きなメリットがあります。

例えば、被保険者期間が1年以上あれば、年齢にかかわらず最大で300日または360日の給付を受けられる可能性があります。 これは、一般企業への就職準備に時間を要することを考慮した手厚い措置であり、就労移行支援の訓練期間(原則最長2年)の大部分をカバーできる可能性を秘めています。ハローワークでの手続きの際には、必ず障害がある旨を申し出ましょう。

3. 傷病手当金:療養中の生活を支える制度

傷病手当金は、在職中に加入していた健康保険(協会けんぽや組合健保など)から支給される手当金です。業務外の病気やけがの療養のために会社を休み、事業主から十分な給与が受けられない場合に、被保険者とその家族の生活を保障するために設けられています。

  • 対象:健康保険の被保険者で、療養のために働けず、連続して3日間休んだ後の4日目以降、仕事に就けなかった日に対して支給されます。
  • 支給期間:支給を開始した日から通算して1年6ヶ月まで受給可能です。これは、途中で一時的に復職し、再度同じ病気やけがで休職した場合でも、休んだ期間を合計して1年6ヶ月に達するまで支給されることを意味します。
  • ポイント:一定の要件を満たせば、退職後も継続して受給できる場合があります。そのため、在職中に傷病手当金を受給し始め、そのまま退職して就労移行支援を利用する、という方も少なくありません。支給額の目安は、給与のおおよそ3分の2です。

【最重要注意喚起】失業手当と傷病手当金の同時受給はできません

雇用保険の失業手当は「働ける状態にあるが、仕事がない」場合に支給されるのに対し、傷病手当金は「病気やけがで働けない」場合に支給されるものです。目的が異なるため、この2つの手当を同時に受け取ることはできません。

どちらの制度を利用すべきか、あるいはどのタイミングで切り替えるべきか(例:体調が回復し働ける状態になったら傷病手当金から失業手当へ)は、ご自身の状況によって異なります。判断に迷う場合は、必ずハローワークや加入していた健康保険組合、年金事務所などに相談し、最適な方法を確認してください。

4. 生活保護:最終的なセーフティネット

上記のような制度を利用してもなお、生活に困窮する場合には、生活保護制度を利用するという選択肢があります。これは、資産や能力などすべてを活用してもなお生活に困窮する方に対し、国が定める最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とした、社会保障の最終的なセーフティネットです。

  • 対象:世帯の収入が、国が定める基準(最低生活費)に満たない場合。預貯金や不動産などの資産状況、働く能力の活用、親族からの援助の可否なども総合的に判断されます。
  • ポイント:就労移行支援の利用は、自立に向けた活動の一環として認められており、生活保護を受給しながら訓練に通うことは可能です。実際に、生活保護を受給しながら就労を目指している利用者も多くいます。相談は、お住まいの区の福祉事業所(社会福祉課)が窓口となります。

5. 就職促進給付:早期の再就職を後押しする手当

これは、失業手当を受給している方が、給付期間を多く残して早期に再就職が決まった場合に支給される、いわば「お祝い金」のような制度です。就労移行支援を経て就職が決まった際にも対象となる可能性があります。

主に以下の3つの手当があります。

  1. 再就職手当:失業手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上ある状態で安定した職業に就いた場合に、まとまった額が支給されます。早く再就職するほど給付率が高くなります。
  2. 就業促進定着手当:再就職手当を受給した方で、再就職先での6ヶ月間の賃金が、離職前の賃金よりも低い場合に、その差額の一部が補填されます。新しい職場への定着を支援する目的があります。
  3. 常用就職支度手当:障害のある方など、ハローワークが定める「就職困難者」に該当する方が安定した職業に就いた場合に支給される手当です。再就職手当の対象とならない場合(支給残日数が3分の1未満など)でも、こちらの要件に該当すれば受給できる可能性があります。就労移行支援の利用者にとって特に関連が深い支援策と言えるでしょう。

これらの制度の詳細は、ハローワークで確認することができます。就職活動を始める段階で、自分がどの手当の対象になりそうか相談しておくと良いでしょう。

支出を徹底解剖!浜松市の就労移行支援は実質いくらかかる?

収入面の不安が少し和らいだところで、次に関心が向くのは「支出」、つまり利用料金でしょう。「福祉サービスとはいえ、毎日通ったら高額になるのでは?」と心配される方もいますが、結論から言うと、ほとんどの方が自己負担なく、あるいは非常に低額で利用しています。その仕組みを詳しく見ていきましょう。

就労移行支援の利用料は、国が定めた基準に基づいて計算されます。サービス提供にかかる費用のうち、9割は国や浜松市などの自治体が公費で負担し、利用者は原則として1割を負担します。しかし、この1割負担が青天井にならないよう、非常に重要なセーフティネットが設けられています。それが「負担上限月額」制度です。

これは、利用者の世帯の所得状況に応じて、1ヶ月に支払う利用者負担額に上限を設ける仕組みです。ひと月に何日サービスを利用したとしても、この上限額以上の負担は一切生じません。

上のグラフと下の表が、あなたの月々の負担額の上限を決定するすべてです。

区分 世帯の収入状況 負担上限月額
生活保護 生活保護受給世帯 0円
低所得 市町村民税非課税世帯 0円
一般1 市町村民税課税世帯(所得割16万円未満)※ 9,300円
一般2 上記以外(所得割16万円以上) 37,200円

※「一般1」は、収入が概ね600万円~670万円以下の世帯が対象の目安です。

なぜ約9割が自己負担0円なのか?

上の表を見ると一目瞭然ですが、「生活保護受給世帯」と「市町村民税非課税世帯」の方は、負担上限月額が0円です。つまり、就労移行支援をどれだけ利用しても、自己負担は一切発生しません。

厚生労働省の調査や多くの事業所の報告によると、障害福祉サービスの利用者のうち、実に9割以上がこの「負担上限0円」の対象となっています。 これが、「就労移行支援はほとんどの人が無料で使える」と言われる最大の理由です。

【超重要ポイント】所得を判断する「世帯」の範囲

ここで、多くの方が誤解しがちな、しかし非常に重要なポイントがあります。それは、利用料を算定する際の「世帯」の範囲です。

所得算定の対象となる「世帯」の定義

障害福祉サービスにおける「世帯」の範囲は、住民票上の世帯とは異なります。

  • 18歳以上の障害者の方: 本人とその配偶者のみ
  • 18歳未満の障害児の方: 保護者の属する住民基本台帳での世帯

つまり、あなたが18歳以上で独身の場合、たとえ親や兄弟と同居していても、所得区分の算定対象となるのは、あなた自身の前年の所得のみです。ご両親にどれだけ高い収入があっても、あなたの利用料には一切関係ありません。この点を正しく理解することが、費用の不安を解消する上で極めて重要です。

利用料以外の費用として、事業所に通うための「交通費」や「昼食代」は原則として自己負担となります。しかし、この負担を軽減するための方法も存在します。特に浜松市には、市独自の助成制度があり、これは必ず知っておきたい情報です。次の章で詳しく見ていきましょう。

【浜松市在住者必見】交通費助成と独自の支援策

利用料の心配はほぼなくなったものの、日々の通所にかかる交通費は、積み重なると決して小さくない負担になります。しかし、浜松市在住の方には、その負担を軽減するための心強い支援策が用意されています。

浜松市障害者施設通所支援事業(交通費助成)

浜松市では、市内の障害福祉サービス事業所等へ通所する障害のある方に対し、交通費の一部を助成する独自の制度を設けています。これが「浜松市障害者施設通所支援事業」です。

この制度のポイントは以下の通りです。

  • 対象者:浜松市に在住し、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳のいずれかを所持し、就労移行支援などの対象施設に公共交通機関等を利用して通所している方。
  • 助成金額:実際に通所にかかった交通費に応じて算出され、年度ごとに7,000円の上限が設けられています。
  • 申請方法:利用者本人が直接市役所に申請するのではなく、通所している就労移行支援事業所を通じて申請するのが一般的です。必要な書類や手続きの詳細は、事業所のスタッフが案内してくれます。

具体的なアクション

この制度は、浜松市に住む利用者にとって大きなメリットです。利用を検討している事業所が決まったら、見学や相談の際に「市の交通費助成制度は利用できますか?また、申請手続きはどのように行いますか?」と必ず確認しましょう。この質問に対して明確に答えてくれるかどうかも、事業所の信頼性を測る一つのバロメーターになります。

事業所独自の交通費補助

市の制度とは別に、就労移行支援事業所が独自に交通費の補助制度を設けている場合があります。補助の内容は事業所によって様々です。

  • 月額の上限(例:月10,000円まで)を決めて支給
  • 1日の通所につき一定額(例:1日500円)を支給
  • 定期券代の一部を補助

交通費補助の有無やその内容は、事業所選びにおける非常に重要な比較ポイントとなります。特に自己負担額が0円の方にとっては、交通費が実質的な唯一の出費となるケースも多いため、この補助があるかないかで経済的な負担は大きく変わります。各事業所の公式サイトを確認したり、見学時に直接質問したりして、積極的に情報を集めましょう。

その他の浜松市の関連支援

交通費以外にも、浜松市では障害のある方の就労を支える独自の事業を実施しています。

  • 重度障害者等就労支援特別事業:重度の障害がある方が働く上での課題を軽減するため、通勤時の移動支援(ヘルパー派遣など)や職場での身体介護などを提供する事業です。雇用施策と福祉施策が連携し、個別のニーズに応じたサポートを行います。
  • 浜松市移住・就業支援金(UIJターン補助金):東京圏(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)から浜松市に移住して就業等した方に対し、最大100万円を補助する制度です。対象となる可能性は限定的ですが、該当する方は大きな支援を受けられます。

【結論】浜松市で就労移行支援を利用し、お金の不安を解消する具体的アクションプラン

ここまで、就労移行支援にまつわる収入と支出の全体像、そして浜松市独自の支援策について解説してきました。漠然としていた「お金の不安」が、具体的な「知識」に変わってきたのではないでしょうか。この章では、それらの知識を元に、あなたが次に行うべき具体的な行動をステップバイステップで示します。

1. あなたが使える制度はどれ?まずは全体像を把握

まずは、これまで紹介した制度を整理し、自分に何が当てはまるのかを把握しましょう。

制度・支援の種類 目的 概要・金額の目安 主な窓口
【収入を得る】雇用保険(失業手当) 訓練中の生活費確保 離職前の給与等に基づき算出。障害のある方は給付日数が延長される場合も。 ハローワーク浜松
【収入を得る】障害年金 安定した生活基盤 障害等級により年金額が決定。 年金事務所、区役所
【支出を抑える】利用者負担上限月額 利用料の負担軽減 約9割が自己負担0円。課税世帯でも月9,300円または37,200円が上限。 区役所 福祉事業所
【支出を抑える】浜松市 交通費助成 通所費の負担軽減 公共交通機関の交通費に対し、年度上限7,000円を助成。 通所する就労移行支援事業所
【支出を抑える】事業所独自の交通費補助 通所費の負担軽減 事業所により内容・金額は様々(月1万円まで等)。 各就労移行支援事業所

2. 【実践編】失業手当(雇用保険)の申請ステップ

離職して利用を開始する方は、まず失業手当の手続きを進めましょう。

ステップ1:事前準備(ハローワークへ行く前に)

以下の書類を準備しましょう。不足があると手続きが二度手間になる可能性があります。

  • 雇用保険被保険者離職票(1・2)(退職した会社から受け取る)
  • マイナンバーカード(ない場合は通知カード+運転免許証などの身分証明書)
  • 証明写真2枚(縦3.0cm×横2.5cm)
  • 印鑑
  • 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
  • 障害者手帳(お持ちの方)

ステップ2:ハローワーク浜松での手続き

  • 場所:ハローワーク浜松(浅田庁舎:浜松市中央区浅田町50-2)
  • 流れ:
    1. 求職の申し込みと受給資格の決定
    2. 受給説明会への参加
    3. 失業の認定(原則4週間に1回)
    4. 手当の受給

ポイント:最初の申し込みの際に、障害があることを伝え、「就職困難者」に該当するかどうかを必ず確認してください。これにより給付日数が変わる可能性があります。

3. 【実践編】浜松市の利用料・交通費助成の手続き

利用料の決定や交通費助成は、就労移行支援の利用申請手続きと同時に進められます。

ステップ1:相談

まずは専門家に相談することから始めます。ここで全体像を掴み、自分に合った事業所を探す手助けをしてもらいます。

  • 窓口:お住まいの区の福祉事業所(社会福祉課)、または市内の相談支援事業所

ステップ2:申請と計画案作成

利用したい事業所が見つかったら、正式な申請に移ります。

  • 支給申請書や必要書類(収入証明、障害者手帳や医師の診断書など)を福祉事業所に提出します。
  • 並行して、相談支援事業所の専門員が面談を行い、あなたの希望に沿った「サービス等利用計画案」を作成します。

ステップ3:支給決定・受給者証の交付

提出された書類を基に浜松市が審査を行い、サービスの支給を決定します。決定されると、「障害福祉サービス受給者証」が交付されます。この受給者証に、あなたの利用者負担上限月額が記載されています。

ステップ4:事業所との契約と交通費助成の確認

受給者証を持って事業所と契約を結びます。この際、市の交通費助成を利用したい旨を伝え、申請方法について必ず確認しましょう。多くの事業所が手続きを代行またはサポートしてくれます。

よくある質問(Q&A)

Q1. 訓練を受けながらアルバイトはできますか?
A1. 自治体や事業所の判断によりますが、原則として訓練に専念することが求められます。特に、失業手当を受給している場合、アルバイトの収入や時間によっては手当が減額されたり、支給されなくなったりする可能性があります。無断で行うと不正受給と見なされるリスクもあるため、必ず事前にハローワークや事業所に相談してください。
Q2. 障害者手帳がなくても利用できますか?
A2. はい、利用できる場合があります。障害者手帳は必須ではありません。医師の診断書や意見書、あるいは自立支援医療受給者証などがあり、浜松市がサービスの必要性を認めることで利用可能です。実際に手帳なしで利用している方も多くいますので、まずは区役所の窓口にご相談ください。
Q3. どの事業所に通っても交通費助成の対象になりますか?
A3. 浜松市が定める市内の対象施設に通所する場合が対象です。ほとんどの就労移行支援事業所は対象となりますが、念のため、利用を検討している事業所が対象かどうか、見学時や契約時に確認することをお勧めします。

【補足情報】2025年10月から始まる新制度「就労選択支援」とは?

最後に、今後の制度変更に関する最新情報をお伝えします。2025年(令和7年)10月1日から、「就労選択支援」という新しい障害福祉サービスが始まります。

この制度は、就労移行支援や就労継続支援といったサービスを利用しようとする方が、利用開始前に、本人の希望や能力、適性を客観的に評価(アセスメント)し、どのサービスが最も自分に合っているかを支援者と一緒に考える機会を提供するものです。

今後の流れ

2025年10月以降、新たに就労移行支援などを利用する場合は、原則として、まずこの「就労選択支援」を利用して、自分に合った支援の方向性を確認してから、各サービスの利用申請に進むという流れになります。

これは、利用者と支援サービスのミスマッチを防ぎ、より効果的な就労支援に繋げることを目的としています。これから就労移行支援の利用を検討する方は、このような新しい動きがあることも頭の片隅に置いておくと良いでしょう。

まとめと相談窓口のご案内

本記事では、浜松市で就労移行支援を利用する際の「お金」に関する不安を解消するため、収入、費用、そして各種支援制度について多角的に解説してきました。

重要なポイントを改めて振り返ります。

  • 収入の確保:事業所から給料は出ませんが、「障害年金」や「雇用保険(失業手当)」などの公的制度を組み合わせることで、訓練中の生活を支えることができます。
  • 支出の抑制:利用料は所得に応じた上限額が定められており、約9割の方が自己負担0円で利用しています。所得算定は「本人と配偶者のみ」が対象という点が重要です。
  • 浜松市独自の支援:通所にかかる交通費は、市の助成制度(年度上限7,000円)や事業所独自の補助を活用することで、負担を大幅に軽減できます。

漠然とした「お金の不安」が、具体的な「知識」と「アクションプラン」に変わった今、あなたの目の前には、安心して次の一歩を踏み出すための道筋が見えているはずです。一人で抱え込まず、まずは専門の窓口に気軽に相談してみることから始めてみませんか。

以下に、浜松市の主要な相談窓口をまとめました。あなたの状況に合った窓口に、ぜひ連絡してみてください。

  • 各区役所の福祉事業所(社会福祉課)制度全般の相談・利用申請の窓口です。何から始めればよいか分からない場合に、最初に訪れるべき場所です。
  • ハローワーク浜松雇用保険(失業手当)の手続きや、障害のある方向けの専門的な職業相談・紹介を行っています。
    ・浅田庁舎(職業相談・紹介): 浜松市中央区浅田町50-2
  • 障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)就職に関する相談だけでなく、金銭管理や健康管理といった日常生活の悩みについても一体的に支援してくれる身近な相談機関です。
    ・だんだん: 浜松市中央区三幸町201-4(053-415-8100)
  • 市内の各就労移行支援事業所具体的なプログラム内容や事業所の雰囲気を知るには、直接見学や体験利用をしてみるのが一番です。多くの事業所が無料で相談に応じてくれます。

あなたの「働きたい」という想いを、経済的な理由で諦める必要はありません。利用できる制度を最大限に活用し、自信を持って社会復帰への第一歩を踏み出してください。

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