浜松市における障がい者向けガソリン割引・助成制度完全ガイド【2025年最新版】

ガソリン代の「割引」ではなく「助成」制度

「障がい者手帳があればガソリン代が割引になる？」という疑問をお持ちの方は少なくありません。結論から言うと、障がい者手帳を提示するだけでガソリンスタンドで直接割引が受けられる、という全国一律の制度は存在しません。しかし、多くの自治体が障がいのある方の社会参加と移動の負担軽減を目的として、自動車燃料費（ガソリン代）を助成する制度を設けています。

障がい者手帳だけではガソリン代は安くなりません。自動車燃料費助成の申請を行う必要があります。これは、自治体が主体となって行う福祉サービスの一つです。

この記事では、静岡県浜松市に焦点を当て、ガソリン代の助成制度である「外出支援助成券」について、対象者、助成内容、申請方法から、他の自動車関連支援制度との比較まで、詳しく解説していきます。

浜松市のガソリン代助成制度「外出支援助成券」とは？

浜松市では、障がいのある方の外出を支援するため、「外出支援助成券」という制度を設けています。これは、複数の選択肢の中から希望する助成券を1種類選んで交付を受けるものです。その選択肢の一つとして「ガソリン券」が含まれています。

ただし、このガソリン券は浜松市内の特定の地域にお住まいの方のみが対象となる点に、最大の注意が必要です。

• バス・電車共通カード
• タクシー利用券
• 天竜浜名湖鉄道乗車券引換券
• 地域バス乗車券
• 鍼灸マッサージ券
• ガソリン券（一部地域限定）

利用者は、これらの6種類の中から、自身のライフスタイルに合ったものを毎年1つだけ選択します。

対象者と重要な注意点

浜松市でガソリン券の交付を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。

1. 対象地域に在住していること：
   ガソリン券の交付対象は、旧天竜市の一部、引佐町の一部、春野町、佐久間町、水窪町、龍山町にお住まいの方に限られます。これらの地域は、公共交通機関の便が比較的少ない中山間地域が中心です。
2. 対象となる手帳を所持していること：
   身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳のいずれかをお持ちの方が対象です。
3. 自動車税・軽自動車税の減免を受けていないこと：
   これが最も重要な条件です。後述する自動車税（種別割）または軽自動車税（種別割）の減免制度を利用している場合、このガソリン券を含む外出支援助成券は交付されません。申請時には、手帳に「（軽）自動車税減免申請済」のスタンプが押されていないか確認されます。
4. 継続して市内に住所を有していること：
   毎年度4月1日から交付申請時まで、継続して浜松市内に住所があることが条件です。

助成内容：年間7,000円分のガソリン券

上記の条件を満たす方がガソリン券を選択した場合、年間7,000円分の助成券が交付されます。この券は、市と協定を結んでいるガソリンスタンドで利用することができます。

申請方法と必要なもの

浜松市の外出支援助成券（ガソリン券）を申請する際の手続きと必要書類について解説します。

申請手続きの流れ

申請は、お住まいの区の区役所社会福祉課または行政センターで受け付けています。浜松市では、毎年度、交付日程と会場が定められており、指定された期間内に手続きを行う必要があります。日程や会場の詳細は、年度初めに市のウェブサイトや広報で公開されるため、必ず確認しましょう。

交付日程・会場は添付のPDFファイル等で確認でき、いずれの会場でも交付を受けることが可能です。

申請に必要な書類一覧

申請時には、主に以下のものが必要となります。不備がないよう、事前に準備しておきましょう。

• 外出支援助成券交付申請書：窓口で入手できます。
• 認印
• 障害者手帳：身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳のいずれか。前述の通り、自動車税減免のスタンプがないことが確認されます。
• マイナンバーカードまたは通知カード（本人確認のため）

代理人が申請する場合は、委任状や代理人の本人確認書類が別途必要になることがあります。詳細は申請前に管轄の窓口にご確認ください。

【重要】どの制度を選ぶ？ガソリン券と自動車税減免の比較

浜松市では、ガソリン券（外出支援助成券）と自動車税・軽自動車税の減免は併用できません。そのため、自家用車を利用する方は、どちらの制度を利用する方がメリットが大きいかを慎重に判断する必要があります。

自動車税・軽自動車税の減免制度

障がいのある方が所有する自動車（一定の条件あり）にかかる税金が減免される制度です。静岡県の場合、減免額は以下のようになっています。

• 自動車税（種別割）：最大で45,000円が減免されます。排気量が2,500ccを超える車の場合、45,000円を引いた差額分が課税されます。
• 軽自動車税（種別割）：全額免除されます。
• 自動車税（環境性能割）：取得価額300万円を上限として減免されます。

対象となる障がいの範囲は、手帳の種類や等級、運転者（本人か、生計を同一にする家族か）によって細かく定められています。例えば、下肢機能障がいの場合、本人が運転する場合は1級から6級までが対象ですが、家族が運転する場合は1級から3級までが対象となります。

減免制度は各都道府県で定めています。県外へ転居される場合は、転居先の都道府県に改めてお問い合わせください。

あなたに最適な選択は？

どちらの制度を選ぶべきか、判断のポイントは以下の通りです。

結論として、自家用車を所有し、自動車税減免の対象となる方のほとんどは、減免制度を選択する方が経済的なメリットが大きくなります。ガソリン券は、減免制度の対象外となる方や、対象地域にお住まいで車を所有していない方が他の助成券（タクシー券など）と迷う場合に検討する選択肢と言えるでしょう。

全国の主要都市との比較：浜松市の制度の特徴

自動車燃料費の助成制度は、全国の自治体で内容が大きく異なります。浜松市の制度を客観的に理解するため、他の主要都市の制度と比較してみましょう。

グラフからわかるように、助成額は自治体によって年間数千円から5万円以上と大きな差があります。東京都港区のように高額な助成を行う都市もあれば、浜松市のように特定の条件下での助成となる場合もあります。また、多くの自治体では所得制限が設けられていますが、浜松市の外出支援助成券には所得に関する明確な制限は見当たりません（ただし自動車税減免との選択制が実質的な調整機能を果たしています）。

浜松市の制度の最大の特徴は、やはり「一部地域限定」かつ「他の外出支援や税減免との選択制」という点にあります。

ガソリン代以外も！自動車関連の障がい者支援制度

ガソリン代の助成以外にも、障がい者手帳をお持ちの方が利用できる自動車関連の支援制度があります。これらはガソリン券や税減免と併用可能なものも多いので、ぜひご確認ください。

有料道路（高速道路）料金の割引

NEXCOなどが管轄する有料道路の通行料金が50%割引になる制度です。これは全国共通の制度です。

• 対象者：
  • 身体障害者手帳をお持ちの方（本人が運転）
  • 重度の身体障がい（第1種）または重度の知的障がい（療育手帳A）の方が同乗し、家族などが運転する場合
• 注意点：精神障害者保健福祉手帳は現在のところ対象外です。
• 手続き：事前に市区町村の福祉担当窓口で、手帳と車検証に割引を受けるための登録手続きが必要です。ETCを利用する場合は、ETCカードとETC車載器の情報も必要になります。

自動車改造費・運転免許取得費の助成

障がいのある方が社会参加のために自動車を運転する場合、その費用の一部を助成する制度も自治体によっては設けられています。

• 身体障がい者用自動車改造費助成：手動運転装置の取り付けや、車いす収納装置の設置など、運転に必要な改造費用の一部が助成されます。
• 自動車運転免許取得費助成：免許取得にかかる教習費用などの一部が助成されます。

これらの制度は、対象となる障がいの内容や所得制限などが定められています。浜松市での利用を検討される方は、市の障害福祉課へ直接お問い合わせください。

【独自情報】浜松市内の障がい者に優しいガソリンスタンド

セルフサービスのガソリンスタンドが増える中、給油作業に不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。浜松市内には、障がいのある方や高齢者に対して、特別な配慮を提供しているガソリンスタンドがあります。

スズキグループの「スズキビジネス」が運営する一部のガソリンスタンドでは、セルフ価格のままスタッフが給油や精算を行ってくれるサービスを実施しています。

対象者： 65歳以上の方、障がい者の方、女性の方
サービス時間： 平日（月～金）の13:00～17:00限定
内容： お客様は車から降りることなく、スタッフが給油作業を代行します。料金はセルフ価格のままです。（初回に簡単な申込みが必要）

このサービスは、「R-1 浜松セルフSS」や「プラザ湖西セルフSS」などで提供されています。給油に不安がある方は、こうしたサービスを活用するのも一つの方法です。

まとめ：最適な支援を見つけるために

この記事では、浜松市における障がい者向けのガソリン代助成制度を中心に解説しました。最後に重要なポイントをまとめます。

• 浜松市のガソリン代助成は「外出支援助成券」の一つで、年間7,000円分。ただし、対象は一部の中山間地域在住者に限定されます。
• この助成券は、自動車税・軽自動車税の減免制度（最大45,000円）との併用ができません。ほとんどの場合、税の減免を選ぶ方が経済的メリットは大きくなります。
• 有料道路の50%割引など、併用可能な制度も存在します。
• どの制度が自分にとって最適か判断に迷う場合は、お住まいの区役所社会福祉課や行政センターの窓口に相談することが最も確実です。

利用できる制度を正しく理解し、賢く活用することで、日々の生活の負担を軽減することができます。この記事が、その一助となれば幸いです。