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はままつ就労支援情報「きょうだい児」という言葉を聞いたことはありますか?きょうだい児とは、障害のある兄弟姉妹を持つ子どものことを指します。英語では「Sibling(シブリング)」と呼ばれ、近年ようやく日本でも注目され始めた概念です。
きょうだい児は、家庭の中で障害のある兄弟姉妹と共に成長します。その過程で独自の経験や感情を抱えることが多く、周囲からは「しっかりしている子」と見られがちです。しかし実際には、年齢に見合わない我慢や役割を担っていることが少なくありません。
厚生労働省の調査によると、日本には身体・知的・精神障害者を合わせて約964万人の障害者がいるとされています。その多くに兄弟姉妹がいることを考えると、きょうだい児の数は数百万人規模に上ると推定されます。にもかかわらず、きょうだい児への支援体制はまだ十分とは言えません。
この記事では、「障害者のきょうだい児にどんな支援が必要なのか」「実際にどんな制度や相談先があるのか」を網羅的にお伝えします。きょうだい児本人はもちろん、保護者や支援者の方にも役立つ内容です。ぜひ最後までお読みください。
きょうだい児の支援を考える前に、まずは彼らがどのような悩みを抱えているのかを正しく理解することが大切です。ここでは代表的な悩みを7つに分けてご紹介します。
障害のある子どもは医療・療育・教育など多くのケアが必要です。その結果、親の時間やエネルギーが障害児に集中しやすくなります。きょうだい児は「自分は後回しにされている」と感じ、深い孤独感を抱くことがあります。
ある調査では、きょうだい児の約60%が「親にもっと自分を見てほしかった」と回答しています。この孤独感は大人になっても続くケースが報告されています。
きょうだい児は、幼い頃から障害のある兄弟姉妹の世話を手伝うことがあります。食事の介助、着替えの手伝い、外出時の見守りなど、本来は大人が担うべき役割を子どもが引き受けている場合があります。
これはヤングケアラーの問題と重なります。2021年の国の実態調査では、中学生の約5.7%がヤングケアラーに該当すると報告されました。きょうだい児はその中でも大きな割合を占めていると考えられます。
きょうだい児は障害のある兄弟姉妹に対して、愛情を感じる一方で、怒り・嫉妬・罪悪感といった複雑な感情を持つことがあります。「こんなことを思ってはいけない」と自分を責めてしまう子も多く、感情を表に出せないまま成長するケースもあります。
同じ学校に障害のある兄弟姉妹が通っている場合、からかいやいじめの対象になることがあります。また、家庭での役割が大きいために、宿題や部活動に十分な時間を確保できないこともあります。友人関係においても「うちの事情を話せない」と感じ、距離を置くきょうだい児は少なくありません。
きょうだい児の中には、将来の進路を選ぶ際に「親亡き後、障害のある兄弟姉妹の面倒を見なければ」という思いから、自分の夢よりも現実的な選択を優先する人がいます。進学先を地元に限定したり、福祉系の仕事を「義務感」で選んだりするケースが報告されています。
大人になったきょうだい児が直面する大きな課題の一つが、結婚やパートナーシップです。「相手の家族に障害者がいることをどう伝えるか」「将来の介護負担をパートナーに押し付けてしまわないか」といった不安を抱える方は非常に多いです。
保護者が高齢になったとき、障害のある兄弟姉妹の生活支援を誰が引き継ぐのか。この「親亡き後」問題は、きょうだい児にとって長期的かつ深刻なテーマです。成年後見制度やグループホームの利用など、早い段階から情報を集めて備えることが重要になります。
近年、きょうだい児支援が急速に注目されるようになりました。その背景にはいくつかの社会的動向があります。
2024年に「子ども・若者育成支援推進法」の改正によりヤングケアラーの定義が法律に明記されました。きょうだい児はヤングケアラーの典型的なケースの一つであり、法的な支援の枠組みが整備され始めています。
2023年4月に発足したこども家庭庁は、子どもの権利を包括的に守る司令塔として機能しています。きょうだい児を含むすべての子どもが適切なケアを受けられる社会の実現に向け、施策が進んでいます。
NPO法人しぶたね、全国障害者とともに歩む兄弟姉妹の会(きょうだいの会)など、きょうだい児支援に特化した団体の活動が活発化しています。これらの団体は啓発活動やピアサポートを通じて、きょうだい児の声を社会に届けています。
アメリカやイギリス、オーストラリアでは、きょうだい児支援のプログラムが以前から確立されています。例えばアメリカの「Sibshop(シブショップ)」は、きょうだい児同士が楽しみながら交流し、自分の気持ちを安全に表現できるワークショップです。日本でもこのプログラムを導入する自治体や団体が増えています。
きょうだい児やその家族が利用できる支援制度・サービスを一覧でまとめます。知っているだけで選択肢が広がる情報ばかりですので、ぜひチェックしてください。
| 支援の種類 | 具体的なサービス・制度 | 対象・特徴 |
|---|---|---|
| 相談支援 | 市区町村の子ども家庭支援センター | 18歳未満の子ども・家族。無料で相談可能 |
| 相談支援 | 児童相談所 | 養育困難・虐待リスクがある場合も対応 |
| ピアサポート | きょうだいの会・しぶたね等の当事者団体 | 同じ立場の仲間と交流・情報交換ができる |
| レスパイト | 障害児の短期入所(ショートステイ) | 障害児を一時的に預け、家族の休息を確保 |
| レスパイト | 放課後等デイサービス | 障害児の放課後支援。家族の負担軽減につながる |
| 心理支援 | スクールカウンセラー | 学校に配置。きょうだい児の心のケアに対応 |
| 心理支援 | 自治体の子ども向け心理相談 | 無料または低額で専門家に相談できる |
| 経済的支援 | 特別児童扶養手当・障害児福祉手当 | 家族全体の経済的負担を軽減 |
| 将来の備え | 成年後見制度・障害者信託 | 親亡き後の兄弟姉妹の生活を法的に保護 |
きょうだい児支援で特に重要なのがレスパイト(休息)ケアです。障害児を一時的に専門施設に預けることで、きょうだい児と親がゆっくり過ごす時間を確保できます。
「障害のある子どもを預けるのは申し訳ない」と感じる保護者の方もいますが、レスパイトケアは家族全員の心身の健康を守るための大切な仕組みです。短期入所は各自治体の障害福祉課で申請できます。
障害のある子どもが放課後等デイサービスを利用すると、きょうだい児は放課後の時間を自分のために使えるようになります。友達と遊んだり、習い事をしたり、「普通の子ども時代」を過ごすために非常に有効です。
支援制度を利用するだけでなく、家庭の中でできるケアも非常に大切です。保護者がすぐに実践できる7つのポイントをご紹介します。
週に一度、30分でも構いません。障害のある子どもと離れて、きょうだい児と1対1で過ごす時間を意識的に作りましょう。「あなたのことも大切に思っている」というメッセージを、行動で示すことが重要です。
きょうだい児が「お兄ちゃん(お姉ちゃん)のことが嫌い」と言ったとき、叱ってしまいたくなるかもしれません。しかし、ネガティブな感情も含めて受け止めることが大切です。「そう思うこともあるよね」と共感してあげてください。
障害のある兄弟姉妹について、きょうだい児の年齢に合わせて正確な情報を伝えましょう。「なぜ弟は話せないの?」「お姉ちゃんの病気はうつるの?」といった疑問に、誠実に答えることが安心感につながります。
「お兄ちゃんなんだからしっかりして」「お姉ちゃんの面倒を見てあげて」といった言葉は、きょうだい児に大きなプレッシャーを与えます。手伝いをお願いするときは、あくまでも「お願い」として伝え、断れる余地を残しましょう。
障害のある子どもの「できた!」に注目しがちですが、きょうだい児の頑張りにも同じかそれ以上の関心を向けてください。テストの点数や運動会の結果だけでなく、日常の小さな行動も褒めることが自己肯定感を育みます。
きょうだい児にとって、親以外に気持ちを話せる大人の存在は大きな安心材料になります。祖父母、叔父叔母、担任の先生、地域のボランティアなど、信頼できる大人のネットワークを意識的に作っておきましょう。
「親亡き後」について、きょうだい児が中高生になったら少しずつ話し合いを始めることをおすすめします。「あなたに全部を背負わせるつもりはない」と明確に伝えることが、きょうだい児の安心につながります。成年後見制度やグループホームなど、具体的な選択肢を一緒に調べるのもよいでしょう。
「どこに相談すればいいかわからない」という方のために、きょうだい児支援に関する主な相談窓口と支援団体をまとめました。
相談することに抵抗を感じる方もいるかもしれません。しかし、「相談すること」自体が支援の第一歩です。まずは気軽に電話やメールで問い合わせてみてください。
きょうだい児支援を考えるうえで、当事者の声に耳を傾けることは欠かせません。ここでは、実際のきょうだい児の体験談をもとにしたエピソードをご紹介します(プライバシー保護のため、内容は一部編集しています)。
Aさんは自閉スペクトラム症の弟がいます。幼い頃から「お姉ちゃんなんだからしっかりしなさい」と言われて育ちました。学校では成績優秀で、先生からも「手のかからない子」と評価されていました。
しかし大学生になった頃、突然涙が止まらなくなる日が続きました。心療内科を受診したところ、適応障害と診断されました。「ずっと我慢していた感情が溢れ出た」とAさんは振り返ります。
その後、きょうだいの会に参加したことで「同じ思いをしている人がいる」と知り、少しずつ回復していきました。「もっと早く、こういう場所があることを知りたかった」というのがAさんの思いです。
Bさんは重度知的障害のある姉がいます。子どもの頃から姉の通院や療育の付き添いをしていた経験から、自然と福祉の道に進みました。
現在は障害者支援施設で働いていますが、「本当にこの仕事がやりたかったのか、義務感で選んだのか、今でもわからない」と語ります。一方で、「姉のおかげで人の痛みがわかるようになった」という思いもあり、感情は常に複雑だと話しています。
ダウン症の妹がいるCくんは、学校で「妹が変」とからかわれた経験があり、妹のことを友達に話すのが怖くなっていました。
地域のNPOが開催するシブショップに参加したところ、同じ境遇の子どもたちと出会い、「自分だけじゃなかった」と安堵したそうです。今では妹のことを「自慢の妹」と友達に紹介できるようになりました。
これらの体験談が示しているのは、きょうだい児には「話せる場」と「つながり」が必要だということです。支援の形は一つではありませんが、まずは孤立させないことが最も大切です。
きょうだい児支援は、家庭だけの課題ではありません。学校の教員、保育士、福祉専門職、地域のボランティアなど、子どもと関わるすべての大人が意識すべきテーマです。
大切なのは、きょうだい児を「支援の対象」としてだけでなく、「一人の子ども」として尊重する姿勢です。特別扱いするのではなく、その子が安心して自分らしくいられる環境を整えることが求められます。
この記事では、障害者のきょうだい児が抱える悩みと、利用できる支援制度・相談窓口について詳しく解説しました。最後に、要点を整理します。
きょうだい児は「かわいそうな子」ではありません。障害のある兄弟姉妹と共に育つ中で、豊かな共感力やレジリエンス(回復力)を身につけている人も多くいます。大切なのは、きょうだい児が一人で悩みを抱え込まず、必要なときに適切な支援にアクセスできる社会を作ることです。
まずは今日からできる一歩として、身近なきょうだい児に「最近どう?」と声をかけることから始めてみませんか。
きょうだい児とは、障害のある兄弟姉妹を持つ子どものことです。英語では「Sibling(シブリング)」と呼ばれます。障害のある兄弟姉妹と共に育つ中で、孤独感や過度な責任感、複雑な感情を抱えることがあり、適切な支援が求められています。
代表的な悩みとして、親の関心が障害児に集中することへの孤独感、年齢に不相応な介護・世話の負担(ヤングケアラー問題)、障害のある兄弟姉妹への複雑な感情(愛情と怒りの共存)、学校でのいじめや友人関係の困難、進路や結婚への影響、親亡き後の不安などがあります。
市区町村の子ども家庭支援センターや児童相談所での相談支援、障害児の短期入所(ショートステイ)や放課後等デイサービスなどのレスパイトケア、スクールカウンセラーによる心理支援、当事者団体(しぶたね、きょうだいの会など)のピアサポート、特別児童扶養手当などの経済的支援があります。
きょうだい児と1対1で過ごす特別な時間を週に一度でも確保すること、ネガティブな感情も含めて受け止めること、障害について年齢に応じた正確な情報を伝えること、過度な役割を押し付けないこと、きょうだい児の成果をしっかり認めること、親以外の信頼できる大人とのつながりを作ること、将来についてオープンに話し合うことが大切です。
全国対応の窓口として、よりそいホットライン(0120-279-338)やチャイルドライン(0120-99-7777)があります。きょうだい児支援に特化した団体としてはNPO法人しぶたね、全国障害者とともに歩む兄弟姉妹の会があります。地域の窓口としては、市区町村の障害福祉課や子ども家庭支援センター、基幹相談支援センターに相談できます。
シブショップ(Sibshop)は、アメリカで開発されたきょうだい児向けのワークショップです。きょうだい児同士がゲームや活動を通じて楽しみながら交流し、自分の気持ちを安全に表現できるプログラムです。日本でもNPO法人しぶたねなどが各地で開催しており、参加した子どもからは『自分だけじゃないとわかって安心した』という声が多く寄せられています。
障害のある兄弟姉妹の世話や介助を日常的に担っているきょうだい児は、ヤングケアラーに該当する可能性があります。2024年の法改正でヤングケアラーの定義が法律に明記され、支援体制の整備が進んでいます。きょうだい児が過度な負担を抱えている場合は、市区町村の相談窓口や学校のスクールカウンセラーに相談することをおすすめします。
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