障害者雇用促進法の改正により、民間企業の法定雇用率は2024年4月に2.5%、さらに2026年7月には2.7%へと段階的に引き上げられることが決まっています。これに伴い、障害のある方の就労機会は大きく広がっており、安定した雇用を求める上で公務員という選択肢への関心も高まっています。
浜松市では、国の動きに先駆けてを策定し、障害のある職員がその能力を最大限に発揮できる環境づくりと、積極的な採用活動に取り組んでいます。この記事では、浜松市役所での就職を目指す方に向けて、最新の採用情報から働きやすい環境づくりの実態、そして市が提供する多様なサポート体制までを網羅的に解説します。
浜松市役所の障害者雇用状況:データで見る現状と課題
浜松市は、障害者雇用の状況を任命権者(市長事務部局、教育委員会など)ごとに公表しています。最新のデータを見ると、市全体の取り組みの状況と今後の方向性が見えてきます。
上のグラフは、主要な3つの部局における過去4年間(各年度6月1日時点)の実雇用率と、国が定める法定雇用率の推移を示したものです。ここから以下の点が読み取れます。
- 市長事務部局と上下水道部は、法定雇用率の引き上げに対応し、概ね達成基準を満たしてきましたが、令和5年度には両部局ともわずかに法定雇用率を下回りました。
- 一方、教育委員会は、継続して法定雇用率を大きく下回っており、特に令和5年度には35.5人分の不足が生じています。これは市全体の大きな課題として認識されています。
この状況は、裏を返せば、浜松市、特に教育委員会において採用ニーズが非常に高いことを示唆しています。市は「障害者活躍推進計画」の中で、法定雇用率の達成を明確な目標として掲げており、今後も採用活動を強化していくことが予想されます。求職者にとっては、挑戦の機会が広がっていると捉えることができるでしょう。
あなたに合うのはどちら?正規職員と会計年度任用職員
浜松市役所の障害者採用には、大きく分けて2つの道があります。長期的なキャリア形成と安定性を重視する「正規職員(第Ⅴ類行政職員)」と、より柔軟な働き方が可能な「会計年度任用職員」です。それぞれの特徴を理解し、ご自身のライフプランや希望に合った選択をすることが重要です。
| 項目 | 正規職員(第Ⅴ類行政職員) | 会計年度任用職員 |
|---|---|---|
| 雇用形態 | 常勤の地方公務員 | 非常勤の地方公務員(パートタイム) |
| 身分保障 | 定年まで安定した身分が保障される | 任期は原則1会計年度(4月1日~翌年3月31日)。勤務実績等により再度の任用あり |
| 主な仕事内容 | 企画、税務、福祉、窓口業務など市政運営全般。ジョブローテーションあり | 定型的な事務補助業務が中心 |
| 勤務時間 | 原則週38時間45分(フルタイム) | 原則週30時間勤務 |
| 給与・待遇 | 給料表に基づき支給。昇給、期末・勤勉手当(ボーナス)、退職手当あり | 報酬として支給。期末手当あり(一定の要件を満たす場合) |
| 応募窓口 | 人事委員会事務局 | 人事課 |
キャリアアップを目指し、市の様々な業務に挑戦したい方は正規職員、まずは自分のペースで公務の仕事を経験してみたい、あるいはプライベートとの両立を重視したい方は会計年度任用職員が適しているかもしれません。
【正職員】第Ⅴ類行政職員 採用選考ガイド(令和8年4月1日採用)
ここでは、安定した身分とキャリアパスが魅力の正規職員(第Ⅴ類行政職員)の採用選考について、令和7年度に実施される試験(令和8年4月1日採用予定)の情報を中心に詳しく解説します。
職務内容
採用後は、行政事務職員として、本人の希望や適性を考慮の上、市役所本庁や区役所、その他の出先機関に配属されます。具体的な業務は多岐にわたります。
- 戸籍、住民登録、国民健康保険、年金などの窓口業務
- 税務、福祉、都市計画、環境、産業振興など、施策の企画立案から実施
- その他、市政運営に関わる一般行政事務全般
定期的な人事異動(ジョブローテーション)を通じて、多様な分野の業務を経験し、キャリアを積んでいくことができます。
受験資格
受験するには、以下の要件をすべて満たす必要があります。詳細は必ず最新の採用選考案内で確認してください。
- 国籍等要件:日本国籍を有する人、永住者、特別永住者など。
- 年齢要件:平成2年4月2日から平成20年4月1日までに生まれた人(令和8年度採用試験の場合)。
- 手帳要件:次のいずれかの手帳等の交付を受けている人。
- 身体障害者手帳
- 療育手帳(またはそれに準ずる判定書)
- 精神障害者保健福祉手帳
注意点:申込時点で手帳の交付を受けている必要があります。申請中の場合は申し込みできません。また、地方公務員法第16条に定める欠格条項に該当しないことが条件となります。
選考日程と内容
選考は、一次選考と二次選考の2段階で行われます。例年のスケジュールを参考にすると、おおむね以下の流れで進みます。
- 採用試験案内配布:8月上旬頃
- 受験申込受付:8月上旬~9月上旬頃
- 第1次選考:9月下旬~10月上旬頃(内容:教養試験、作文試験、口述試験)
- 第2次選考:11月上旬頃(内容:面接試験)
- 最終合格発表:11月下旬頃
一次選考の教養試験は、社会、人文、自然に関する一般知識や、文章理解、判断推理などの能力を問う内容です。口述試験や面接では、浜松市が求める「変化を先取りし、市民の目線で考え、果敢に行動する職員」という人物像に合致するかが評価されます。
勤務条件・待遇
浜松市職員の勤務条件は、市の条例に基づいて定められており、安定した働きやすい環境が整っています。
初任給は、右のグラフの通り学歴によって異なり、大学卒で約236,000円(地域手当等含む)が目安です。職歴等がある場合は、一定の基準に基づいて加算されます。さらに、期末・勤勉手当(ボーナス)が年間で給料月額等の4.6ヶ月分支給されます(採用初年度は在職期間に応じて変動)。
勤務時間は原則として午前8時30分から午後5時15分までで、土日祝日は休日です。休暇制度も充実しており、年間20日の年次有給休暇のほか、夏季休暇、結婚・出産休暇、育児休業、介護休暇などが取得可能です。
また、定期健康診断や各種がん検診、ストレスチェックなどの健康管理、静岡県市町村職員共済組合による各種給付・助成、住宅資金等の貸付制度といった福利厚生も手厚く整備されています。
応募手続き
受験の申し込みは、所定の期間内に必要な書類を浜松市人事委員会事務局へ提出します。手続きの概要は以下の通りです。
- 受付期間:例年8月上旬から9月上旬。
- 入手方法:採用試験案内や申込書は、浜松市職員採用ホームページからダウンロードできるほか、市役所、区役所、人事委員会事務局などで配布されます。
- 提出先:浜松市人事委員会事務局(〒430-0929 浜松市中央区中央一丁目12-7)
詳細は必ず当該年度の採用試験案内で確認してください。
【非正規】会計年度任用職員 採用ガイド
フルタイム勤務に不安がある方や、まずは公務の仕事を経験してみたいという方には、会計年度任用職員という選択肢があります。正規職員とは異なる募集・選考プロセスとなるため注意が必要です。
- 募集職種:事務補助など(障害のある方を対象とした募集枠)
- 勤務形態:原則として週30時間勤務
- 応募資格:身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳のいずれかの交付を受けている人
- 選考内容:書類選考、筆記選考、作文選考、面接選考
- 受付期間:直近の例では、令和7年12月5日(金)から12月26日(金)まででした。
- 選考日:令和8年1月9日(金)
- 応募窓口:浜松市役所 総務部人事課(正規職員の人事委員会とは異なります)
応募には市所定の応募用紙や履歴書が必要となります。これらの書類は市のウェブサイトからダウンロードするか、人事課や各区役所の窓口で受け取ることができます。募集情報は市のウェブサイトで随時更新されるため、定期的にチェックすることをお勧めします。
安心して働き続けるために:浜松市のサポート体制と合理的配慮
浜松市では、採用後の職員が安心して能力を発揮できるよう、に基づき、様々なサポート体制と環境整備を進めています。
採用から配属までの支援
採用選考の段階から、個々の障害特性に応じた配慮が行われます。例えば、面接時の座席位置の調整や、必要に応じた筆談対応などです。採用後は、本人の希望や能力、適性を踏まえて配属先が決定されます。配属先の職員に対しては、事前に障害特性や必要な配慮について対面や書面での研修が実施され、円滑な受け入れ体制が整えられます。
働きやすい職場環境と合理的配慮
浜松市はを定め、職員が提供すべき合理的配慮を具体的に示しています。職場における配慮の例としては、以下のようなものがあります。
- 物理的環境:車いすで移動しやすい通路の確保、机の高さ調整、休憩用の椅子の用意など。
- 業務の進め方:本人の希望に応じた業務量の調整、時間単位での年次有給休暇の利用促進、補助具の使用許可など。
- 情報保障・コミュニケーション:会議資料の事前提供や電子データでの共有、筆談や手話通訳者による対応、指示内容をメモで渡すなどの工夫。
これらの配慮は、本人の申し出に基づき、過重な負担にならない範囲で提供されます。自分の状況を伝え、相談しやすい環境が整備されています。
キャリア形成と相談体制
市は、職員一人ひとりの長期的なキャリア形成を支援しています。採用時には面談を通じて本人の希望を把握し、その後の人事異動や研修の参考にします。また、年に1回以上の定期的な面談が義務付けられており、業務の状況や体調、今後のキャリアに関する希望などを相談する機会が確保されています。
さらに、各職場には「障害者職業生活相談員」が選任されており、専門的な知識を持った職員にいつでも相談できる体制が整っています。
市役所だけじゃない!浜松市が提供する多様な就労支援ネットワーク
公務員試験は選択肢の一つですが、民間企業への就職も視野に入れている方も多いでしょう。浜松市は、障害のある方の就労を市全体で支えるための強力な支援ネットワークを構築しています。
「公務員試験の準備と並行して、民間企業の情報も集めたい」「自分にどんな仕事が向いているか、専門家と一緒に考えたい」——そんな時は、市の就労支援サービスを積極的に活用しましょう。
- 浜松市障害者就労支援センター「ふらっと」:市の委託を受けた総合相談窓口。就職に関するあらゆる相談に応じ、最適な支援機関へ繋ぐナビゲーターの役割を担います。無料で利用できます。
- ハローワーク浜松:障害のある方向けの専門窓口があり、求人紹介から職業相談まで一貫したサポートを提供しています。
- 就労移行支援事業所:一般企業への就職を目指すための「学校」のような場所。PCスキルやビジネスマナーの訓練、企業での職場実習、応募書類の添削や面接練習、そして就職後の定着支援まで、最長2年間にわたり手厚いサポートを受けられます。
- 障害者就業・生活支援センター:就労面と生活面の両方から一体的な支援を行い、「働くこと」と「暮らすこと」を両輪で支えます。
また、浜松市は表彰制度などを通じて、障害者雇用に積極的な企業を後押ししています。これらの支援機関や制度を活用することで、市役所だけでなく、自分に合った多様な働き方を見つけることが可能です。
まとめ:自分に合った働き方を見つけるための第一歩
浜松市役所は、障害のある方々にとって、安定したキャリアを築くための有力な選択肢です。正規職員として市政の幅広い業務に挑戦する道、会計年度任用職員として柔軟に働く道、どちらも用意されています。特に、一部の部局では法定雇用率が未達成であることから、今後も積極的な採用が期待されます。
重要なのは、ご自身の希望や障害特性、ライフプランに合った働き方を見つけることです。そのためには、まず正確な情報を集めることが不可欠です。
- 市の公式情報を確認する:浜松市職員採用ホームページを定期的にチェックし、最新の試験案内や募集要項を確認しましょう。
- 相談窓口を活用する:市役所の採用だけでなく、民間企業への就職や働き方そのものに悩みがある場合は、一人で抱え込まずに浜松市障害者就労支援センター「ふらっと」などの専門機関に相談してみましょう。
この記事が、あなたが浜松市で自分らしく働くための第一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。


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