精神疾患の治療には、継続的な通院や、時には入院が必要となる場合があります。それに伴う医療費は、患者本人や家族にとって大きな経済的負担となり得ます。浜松市では、こうした負担を軽減し、市民が安心して治療に専念できる環境を整えるため、複数の医療費助成制度を設けています。
この記事では、浜松市が提供する精神障害者向けの主要な医療費助成制度である「入院医療費助成」と「重度心身障害者医療費助成」について、対象者、助成内容、申請方法などを分かりやすく解説します。
浜松市の精神障害者向け医療費助成制度の概要
浜松市では、精神障害を持つ市民を対象とした医療費助成制度として、主に2つの制度が用意されています。どちらの制度を利用できるかは、障害の程度(精神障害者保健福祉手帳の等級)や治療形態(入院か通院か)によって異なります。
1. 入院医療費助成制度
この制度は、精神疾患が理由で1ヶ月以上の入院治療が必要となった方を対象としています。手帳の等級に関わらず、入院にかかる医療費の自己負担分を軽減することを目的としています。経済的な理由で入院治療をためらうことがないよう支援する、セーフティネットとしての役割を担っています。
2. 重度心身障害者医療費助成制度
この制度は、精神障害者保健福祉手帳1級をお持ちの方など、重度の障害がある方を対象としています。入院だけでなく、通院や薬局での費用も助成の対象となる、より包括的な支援制度です。ただし、利用には所得制限が設けられています。
ポイント:「入院医療費助成」は入院に特化した制度、「重度心身障害者医療費助成」は手帳1級の方が通院・入院・薬局で利用できる包括的な制度です。ご自身の状況に合わせて、どちらの制度が利用可能か確認することが重要です。
制度詳細①:入院医療費助成
「入院医療費助成」は、こころの病による長期入院の経済的負担を和らげるための制度です。手帳の有無や等級にかかわらず、特定の条件を満たすことで利用できます。
対象者
以下の条件をすべて満たす方が対象となります。
- 浜松市内に住所を有していること
- 精神の障がいによって、同一の病院へ1ヶ月以上入院していること
年齢や所得に関する明確な制限は設けられていませんが、個別の状況により判断される場合があります。詳しくは市の窓口にご確認ください。
助成内容
保険診療による医療費の自己負担分について、1ヶ月あたり10,000円を上限として助成されます。例えば、1ヶ月の医療費自己負担額が30,000円だった場合、10,000円が助成され、実質的な自己負担は20,000円となります。
この助成は、高額療養費制度などを利用した後の最終的な自己負担額に対して適用されます。
制度詳細②:重度心身障害者医療費助成
「重度心身障害者医療費助成」は、重度の障害を持つ方の医療アクセスを保障するための重要な制度です。精神障害者保健福祉手帳1級の方が対象となり、日常生活における医療費負担を大幅に軽減します。
対象者
精神障害分野では、主に精神障害者保健福祉手帳1級の交付を受けている方が対象です。ただし、以下の注意点があります。
- 所得制限:世帯の所得が市の定める限度額以下である必要があります。
- 年齢要件の注意:原則として、65歳以上で新規に精神障害者保健福祉手帳を取得した場合、入院分の医療費は助成の対象外となります(通院は対象)。
助成内容と自己負担額
この制度を利用すると、「重度心身障害者医療費助成金受給者証」が交付されます。医療機関の窓口で健康保険証と共に提示することで、自己負担額が軽減されます。助成方式は、受診する医療機関が市内か市外かによって異なります。
市内医療機関での受診(現物給付方式)
窓口での支払いが、以下の自己負担上限額までとなります。
- 通院:1医療機関につき月額500円
- 入院:1日あたり500円(月額上限5,000円)
- 薬局:自己負担0円
例えば、同じ月にA病院で1,000円、Bクリニックで800円の自己負担が発生した場合、支払う額はA病院で500円、Bクリニックで500円の合計1,000円となります。
市外医療機関での受診(自動償還払方式)
静岡県内の市外医療機関で受診した場合、窓口では一旦、保険診療の自己負担額(通常1〜3割)を支払います。後日、上記の自己負担上限額を差し引いた金額が、指定した口座へ自動的に振り込まれます。
県外医療機関での受診など(償還払申請)
県外の医療機関を受診した場合や、治療用装具を購入した場合は、自動での振り込みは行われません。領収書などを添えて、別途市の窓口で払い戻しの申請(償還払申請)をする必要があります。
申請手続きと必要書類
各制度を利用するためには、所定の窓口での手続きが必要です。申請窓口は、お住まいの区の区役所内または行政センター内にある各福祉事業所社会福祉課となります。
入院医療費助成の申請
入院治療が確定したら、以下の書類を準備して申請します。
- 浜松市精神障害者医療費助成申請書:医療機関による入院期間などの証明が必要です。
- 健康保険証:申請者(入院者本人)のもの。
- 振込先口座がわかるもの:通帳やキャッシュカードなど、申請者本人名義のもの。
- 住所が確認できるもの
申請期限にご注意:申請の有効期限は、助成対象となる入院月の翌月15日から起算して1年以内です。期限を過ぎると助成を受けられなくなるため、早めの手続きを心がけましょう。
重度心身障害者医療費助成の申請
この制度を利用するには、まず「重度心身障害者医療費助成金受給者証」の交付を受ける必要があります。精神障害者保健福祉手帳1級が交付された後、以下のものを持参して申請してください。
- 精神障害者保健福祉手帳(1級)
- 健康保険証
- マイナンバーがわかるもの
- 所得課税証明書(浜松市に転入した場合など)
受給者証が交付されたら、医療機関の窓口で提示することで助成が適用されます。県外受診分など、別途申請が必要な場合は、領収書原本などを保管しておきましょう。
よくある質問(FAQ)
- Q1. 受給者証を忘れて受診してしまいました。どうすればいいですか?
- A1. 一旦、通常の自己負担額を支払い、後日、領収書を持参して市の窓口(各福祉事業所社会福祉課)で払い戻しの手続きを行ってください。
- Q2. 受給者証を紛失してしまいました。
- A2. 再交付の手続きが必要です。身分証明書などを持参し、市の窓口で再交付申請をしてください。
- Q3. 65歳以上ですが、制度は利用できますか?
- A3. 「入院医療費助成」は年齢に関わらず利用可能です。「重度心身障害者医療費助成」については、65歳以上で新規に手帳を取得した場合、入院費が助成対象外となるなど条件が変わるため、注意が必要です。詳しくは窓口でご相談ください。
まとめと問い合わせ先
浜松市では、精神障害を持つ方々が経済的な心配をせずに適切な医療を受けられるよう、手厚い助成制度を整備しています。ご自身の状況に応じて「入院医療費助成」または「重度心身障害者医療費助成」を活用することで、治療に専念しやすくなります。
制度の詳細は複雑な部分もあるため、不明な点や自身が対象になるかどうかの確認は、下記の担当窓口へ気軽に相談することをお勧めします。
【問い合わせ先】
浜松市 健康福祉部 障害保健福祉課
電話番号:053-457-2212または、お住まいの区の各福祉事業所 社会福祉課
(中央区、浜名区、天竜区の各区役所・行政センター内)
詳細は浜松市公式サイトにてご確認ください。


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