浜松市は、障がいの有無にかかわらず、誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う「共生社会」の実現を基本理念に掲げています。この理念を具現化するため、市の行政組織の中で中心的な役割を担っているのが「障害保健福祉課」です。本記事では、浜松市障害保健福祉課が展開する多岐にわたる施策やサービスを深掘りし、市民がどのようにこれらの支援を活用できるのかを、最新の情報に基づいて包括的に解説します。
浜松市の障害福祉は、単なるサービスの提供に留まりません。相談支援体制の強化、就労機会の創出、そして地域全体で支える仕組みづくりを通じて、障がいのある方一人ひとりが希望する生活を実現できるよう、重層的な支援ネットワークを構築しています。
浜松市障害保健福祉課の役割と組織
障害保健福祉課は、浜松市における障害福祉施策の企画立案から実施までを担う「司令塔」です。市民からの各種申請の受付や相談対応、サービス提供事業者との連携・指導など、その業務は多岐にわたります。
組織概要と連絡先
市民が直接関わる窓口として、その情報は明確に公開されています。ただし、具体的な相談や申請は、お住まいの区役所・行政センター内にある「福祉事業所 社会福祉課」が担当します。担当課が不明な場合は、まずはお近くの福祉事業所か、市民コールセンターに問い合わせるのがスムーズです。
- 部署名: 浜松市 健康福祉部 障害保健福祉課
- 所在地: 〒430-8652 浜松市中央区元城町103番地の2 浜松市役所本館2階
- 電話番号:
- 障害福祉サービス・認定関連: 053-457-2034
- 事業者指定・報酬関連: 053-457-2860
- 市民コールセンター: 053-457-2111(担当課がわからない場合)
【主な相談・申請窓口】
各種手当の申請や福祉サービスの利用相談は、以下の各福祉事業所が担当しています。
- 中央福祉事業所 社会福祉課: 053-457-2057(中央区役所内)
- 浜名福祉事業所 社会福祉課: 053-585-1697(浜名区役所内)
- 天竜福祉事業所 社会福祉課: 053-922-0024(天竜区役所内)
- その他、各行政センター内にも窓口があります。
主な業務内容:個人支援と社会基盤整備
障害保健福祉課の業務は、大きく「個人への支援」と「社会基盤の整備」の2つの側面から成り立っています。
- 個人への支援: 障害者手帳の交付、障害福祉サービスの利用決定、各種手当や助成金の支給、専門的な相談対応など、障がいのある方やその家族の生活に直結する支援を行います。
- 社会基盤の整備: 障害福祉サービスを提供する事業所の指定や指導監督、地域生活支援拠点の整備、障がい者自立支援協議会の運営などを通じて、地域全体で障がいのある方を支えるための環境を整えます。
これらの業務は、「浜松市障がい者計画」に基づいて体系的に進められており、差別の解消、相談支援体制の充実、地域生活への移行促進などが重点施策として掲げられています。
市民の生活を支える多様な障害福祉サービス
浜松市では、障害者総合支援法に基づき、利用者のニーズに応じた多様なサービスを提供しています。これらのサービスを利用するには、申請と認定のプロセスを経る必要があります。
サービス利用までの流れ
障害福祉サービスの利用は、以下のステップで進められます。まずは、お住まいの地域を担当する福祉事業所社会福祉課への相談から始まります。
- 相談・申請: 各福祉事業所社会福祉課に相談し、サービス利用の申請を行います。
- 障害支援区分認定調査: 市の認定調査員が心身の状況について聞き取り調査を行います。
- 医師の意見書: 必要に応じて、主治医に意見書を作成してもらいます。
- 審査・判定: 調査結果と意見書をもとに、障害支援区分審査会が支援の必要度(障害支援区分)を判定します。
- 支給決定・受給者証の交付: 障害支援区分や本人の意向を踏まえ、利用できるサービスの種類と量が決定され、「障害福祉サービス受給者証」が交付されます。
- 事業者との契約・サービス利用開始: 利用者はサービス提供事業者と契約を結び、受給者証を提示してサービスの利用を開始します。利用者負担は原則1割ですが、所得に応じた上限額が設定されています。
生活を支える「介護給付」と自立を目指す「訓練等給付」
提供されるサービスは、大きく「介護給付」と「訓練等給付」に分類されます。
- 介護給付: 日常生活において介護を必要とする方を対象に、身体介護や家事援助、外出支援などを提供します。
- 生活介護: 日中の入浴、排せつ、食事の介護や、創作的・生産活動の機会を提供。
- 短期入所(ショートステイ): 介護者の病気などの際に、短期間施設で生活を支援。
- 同行援護・行動援護: 視覚障がいのある方の外出支援や、行動上著しい困難を有する方の危険回避を支援。
- 訓練等給付: 自立した日常生活や社会生活、そして就労を目指すための訓練や支援を提供します。
- 自立訓練(機能訓練・生活訓練): 身体機能や生活能力の向上のための訓練。
- 就労移行支援: 一般企業への就労を目指すための知識・能力向上の訓練。
- 就労継続支援(A型・B型): 一般企業での就労が困難な方へ、働く場を提供。
- 共同生活援助(グループホーム): 地域での共同生活の場で、相談や日常生活上の援助を提供。
- 就労選択支援(2025年10月開始予定): 本人に合った就労先や働き方を選択するための支援。
浜松市の強み:重層的な相談支援体制と地域生活への移行
浜松市の障害福祉施策における最大の特徴の一つが、「基幹相談支援センターを核とした重層的な相談支援体制」です。これにより、市民は身近な場所で専門的な支援を受けやすくなっています。
基幹相談支援センターを核としたネットワーク
この体制は、市全域を統括する「障がい者基幹相談支援センター」を司令塔とし、その下に市内各所に配置された委託相談支援事業所が連携する、明確な階層構造を持っています。これにより、市民は身近な窓口で相談でき、困難なケースには市全体で専門的に対応できる仕組みが構築されています。
このネットワークにより、福祉、医療、教育、就労といった縦割りの壁を越え、関係機関が一体となって一人の利用者を多角的に支える「パーソン・センタード」な支援が実現されています。
この強力な相談支援ネットワークは、特に「親なきあと」を見据えた地域生活への移行支援など、長期的な視点に立った支援において中心的な役割を果たしています。
地域生活への移行を支える居住系サービス
浜松市は、障がいのある方が施設から地域での自立した生活へ移行することを積極的に支援しています。その中心となるのが「共同生活援助(グループホーム)」です。市の計画では、グループホームの利用者数が年々増加しており、今後も需要の拡大が見込まれています。
グループホームの利用者数は2021年度の592人から、2026年度には903人へと大幅な増加が見込まれています。これは、地域での生活を望む障がいのある方が増えていること、そして市がその受け皿整備を計画的に進めていることの表れです。このほか、一人暮らしへの移行を支える「自立生活援助」や、地域に定着するための「地域定着支援」といったサービスも提供されており、一人ひとりの状況に応じた段階的な支援が行われています。
経済的自立を促進する支援制度
障がいのある方やその家族の生活を経済的に支えるため、浜松市では国や県の制度と連携し、様々な手当や減免制度を設けています。
各種手当・年金制度
障がいの程度や状況に応じて、以下のような手当が支給されます。所得制限があるため、詳細は窓口での確認が必要です。
- 特別障害者手当: 精神又は身体に著しく重度の障がいがあるため、日常生活において常時特別な介護を必要とする20歳以上の方に支給されます。月額29,590円です。
- 障害児福祉手当: 精神又は身体に重度の障がいがあるため、日常生活において常時介護を必要とする20歳未満の方に支給されます。月額16,100円です。
- 在宅重度障害者手当: 重度の障がいがあり、特定の要件を満たす方に支給されます。年額70,000円です。
これらの手当は、原則として年4回(2月、5月、8月、11月)に分けて支給されます。このほか、公的年金制度として「障害基礎年金」や「障害厚生年金」があり、これらは年金事務所が相談窓口となります。
税金・公共料金の減免制度
経済的な負担を軽減するため、様々な減免制度が利用できます。対象となる要件はそれぞれ異なります。
- 税金の控除・減免: 所得税、市・県民税の障害者控除や、自動車税(種別割・環境性能割)の減免などがあります。
- 公共料金の割引:
- NHK放送受信料の免除: 世帯全員が市民税非課税である場合などに全額または半額が免除されます。
- 有料道路通行料金の割引: 対象となる障害者手帳をお持ちの方が運転または同乗する場合、料金が半額になります。
- 携帯電話基本使用料の割引: 各携帯電話会社が独自の割引制度を設けています。
これらの制度を利用するには、多くの場合、障害者手帳の提示や事前の申請が必要です。詳細は各担当窓口や事業者に直接お問い合わせください。
まとめ:誰もが暮らしやすいまちを目指して
浜松市障害保健福祉課は、障害福祉サービスの提供、先進的な相談支援体制の構築、そして経済的支援策の実施を三本柱として、共生社会の実現に向けた取り組みを力強く推進しています。障がいのある方やそのご家族は、これらの制度や身近な相談窓口を積極的に活用することで、希望する生活の実現に向けた多角的なサポートを受けることができます。
サービスの内容や申請手続きは複雑な場合もありますが、一人で悩まずに、まずはお住まいの地域の「福祉事業所 社会福祉課」に相談することが、より良い生活への第一歩となります。浜松市が築き上げてきた手厚い支援ネットワークを最大限に活用し、一人ひとりが自分らしく暮らせる社会を共に創り上げていくことが期待されます。


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