はじめに:障害者手帳の更新はなぜ重要か
障害者手帳は、障害のある方が様々な福祉サービスや支援を受けるために不可欠な証明書です。手帳には「身体障害者手帳」「療育手帳」「精神障害者保健福祉手帳」の3種類があり、それぞれ対象となる障害や支援内容が異なります。これらの手帳を利用することで、医療費の助成、税金の控除・減免、公共交通機関の割引など、生活を支える多くの支援を受けられます。
しかし、手帳の種類によっては有効期限や再判定の時期が定められており、期限が切れるとこれらのサービスが利用できなくなってしまうことがあります。そのため、定められた時期に更新(再判定)の手続きを正しく行うことが重要です。この記事では、障害者手帳の種類ごとの更新要件や手続きの流れを、2026年時点の一般的な情報に基づいて分かりやすく解説します。
※手帳制度は、全国共通のルールと、お住まいの自治体ごとの運用(再判定の時期、必要書類、窓口など)が混在します。本記事は一般的な内容の解説であり、具体的な手続きは必ずお住まいの市区町村の障害福祉担当窓口でご確認ください。
手帳の種類別・更新の要否とタイミング
障害者手帳の更新ルールは、手帳の種類によって大きく異なります。ご自身がお持ちの手帳の種類を確認し、適切なタイミングで手続きを行いましょう。
身体障害者手帳:原則更新不要
身体障害者手帳は、障害の状態が永続することが前提のため、原則として有効期限はなく、更新手続きも不要です。一度交付されれば、原則として継続して有効です。
ただし、リハビリによる機能回復など、将来的に障害の程度に変化が見込まれる場合は、手帳交付時に「再認定」の時期が指定されることがあります。その場合は、指定された時期に改めて医師の診断を受け、等級の見直しを行う必要があります。また、障害の程度が変わった場合には、等級変更の申請を行うこともできます。
療育手帳:定期的な再判定が必要
療育手帳は、知的障害のある方の状態に合わせて適切な支援を行うため、定期的な「再判定」が必要です。手帳には次回の判定時期(「次期判定年月」など)が記載されていることが多く、この時期が更新の目安となります。
- 通知:自治体によっては、再判定の時期が近づくとお知らせが届く場合があります。ただし通知の有無や時期は自治体によって異なります。
- 判定年齢の目安:一定の年齢の節目(例:児童期の数年ごとなど)で再判定が行われることが多いですが、再判定の時期・間隔・有無は自治体によって大きく異なります。ある程度の年齢(35歳前後など)以降は再判定が不要になる自治体も多くあります。
お知らせが届いたら、あるいは手帳記載の判定時期が近づいたら、速やかに窓口へ確認・手続きを進めましょう。療育手帳は自治体によって「愛の手帳」「みどりの手帳」などの名称の場合もあります。
精神障害者保健福祉手帳:2年ごとの更新が必須
精神障害者保健福祉手帳の有効期間は2年間です。継続してサービスを利用するためには、2年ごとに更新手続きを行う必要があります。手帳は自動更新されないため、ご自身で手続きをしなければなりません。
- 更新申請期間:有効期限の3ヶ月前から申請が可能です。
- 有効期限の考え方:更新が認定されると、新しい有効期限は「更新前の有効期限の翌日から2年後」となります。早めに申請しても、その分だけ有効期間が短くなることはありません。安心して早めに手続きを進められます。
- 注意点:審査には時間がかかるため(新しい手帳の交付まで、おおむね1〜2か月程度かかることが多いです)、有効期限が切れる前に余裕を持って手続きを開始することが推奨されます。
ポイント:手帳の種類によって更新ルールは全く異なります。特に精神障害者保健福祉手帳は、2年ごとの更新を忘れないように注意が必要です。スマートフォンのリマインダーなどを活用するとよいでしょう。
【種類別】更新・再判定手続きの流れ
ここでは、手帳の種類別に一般的な手続きの流れを解説します。具体的な必要書類や窓口は自治体によって異なるため、事前に確認してください。
手続きの共通事項(窓口・基本の持ち物)
どの手帳の手続きも、基本的な申請窓口と必要なものはおおむね共通しています。
- 申請窓口:お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口(障害福祉課、福祉事務所など)が窓口です。
- 基本の持ち物(例):
- 申請書(窓口で配布、または自治体ウェブサイトからダウンロード可能なことが多い)
- 写真1枚(タテ4cm×ヨコ3cm、1年以内に撮影した上半身・脱帽・正面のもの)
- 現在お持ちの障害者手帳
- マイナンバー(個人番号)が確認できる書類
- 身元確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 印鑑(自治体や申請方法により不要な場合もあります)
※必要書類は自治体・申請内容によって異なります。写真は、更新で手帳に有効期限の記入欄が残っている場合など、不要となるケースもあります。
1. 身体障害者手帳(再認定が必要な場合)
手帳に再認定の時期が記載されている場合の手続きです。
- 診断書用紙の入手:窓口で「身体障害者手帳用の診断書・意見書」の用紙を受け取ります。
- 指定医師の診断:身体障害者福祉法第15条の規定に基づく指定医師に診断を依頼し、診断書を作成してもらいます。かかりつけ医が指定医かどうかは、事前に自治体の指定医師名簿で確認するか、医療機関に問い合わせてください。
- 窓口へ申請:診断書と基本の持ち物を揃え、障害福祉担当窓口に提出します。
- 審査・交付:自治体の審査機関で審査が行われ、等級が認定されると、後日手帳が交付されます。
2. 療育手帳(再判定)
次回の判定時期に基づく再判定の手続きです。
- 窓口へ申請:判定時期が近づいたら(またはお知らせが届いたら)、基本の持ち物を持参し、障害福祉担当窓口に再判定の申請をします。
- 判定日の調整:後日、判定機関から連絡があり、面接の日程を調整します。判定を担当する機関は、一般に18歳未満の方は児童相談所、18歳以上の方は知的障害者更生相談所です。
- 判定面接:指定された判定機関で、本人と保護者(成育歴のわかる方)が面接を受けます。知能検査や日常生活に関する聞き取りが行われます。
- 手帳の交付:判定結果に基づき、新しい情報が記載された手帳が交付されます(交付までの期間は自治体により異なります)。
3. 精神障害者保健福祉手帳(更新)
有効期限の3ヶ月前から手続きを開始できます。
- 必要書類の準備:以下のいずれかを準備します。
- 医師の診断書:精神科の主治医に「精神障害者保健福祉手帳用の診断書」の作成を依頼します。この診断書は、精神障害に係る初診日から6ヶ月以上経過した日以降に作成されたものである必要があります。
- 障害年金の証書等の写し:精神障害を理由に障害年金や特別障害給付金を受給している場合、診断書に代えて年金証書等の写しで申請でき、診断書を省略できることがあります。
- 窓口へ申請:準備した書類と基本の持ち物を揃え、障害福祉担当窓口に提出します。郵送での申請を受け付けている自治体もありますが、手帳の受け取りは窓口で行うのが一般的です。
- 審査・交付:都道府県等の精神保健福祉センターで審査が行われます。認定されると、交付や受け取りの通知が届きます。
- 手帳の受け取り:通知に記載された持ち物を持参し、申請した窓口で新しい手帳を受け取ります。
自立支援医療(精神通院医療)を利用している方は、手帳の更新と同時に申請手続きができる場合があります。一度で済むため、同時申請が可能か窓口で確認するとよいでしょう。
よくある質問(FAQ)
更新(再判定)を忘れたらどうなりますか?
精神障害者保健福祉手帳の場合、有効期限が切れると、それまで受けていた福祉サービスや割引が一時的に利用できなくなることがあります。ただし、多くの自治体では、有効期限が過ぎた後でも「更新申請」を行うことが可能です(新規申請ではなく更新扱いで対応されることが多いです)。とはいえ、手続きから交付までの間はサービスが途切れる期間が生じてしまうため、期限内(3か月前から)の手続きが重要です。まずは手帳に記載された担当窓口に連絡し、指示に従いましょう。
申請から交付までの期間はどのくらいですか?
手帳の種類や自治体の審査状況により異なりますが、精神障害者保健福祉手帳ではおおむね1〜2か月程度かかることが多いです。診断書の準備期間なども考慮し、余裕を持って手続きを進めましょう。正確な目安はお住まいの自治体の窓口で確認できます。
診断書はどの医師でも作成できますか?
手帳の種類によって異なります。
- 身体障害者手帳:都道府県知事等が指定した「第15条指定医師」でなければ作成できません。
- 精神障害者保健福祉手帳:精神障害の診断・治療に従事する医師(主治医など)が作成します。必ずしも特定の指定医である必要はありませんが、初診日から6ヶ月以上経過した日以降の診断書が必要です。
- 療育手帳:医師の診断書ではなく、児童相談所または知的障害者更生相談所での判定に基づいて交付・再判定が行われます。
住所や氏名が変わった場合は?
更新手続きとは別に、「記載事項変更届」などの手続きが必要です。住所が変わった場合や氏名が変更になった際は、現在お持ちの手帳を持参のうえ、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口で手続きを行ってください。他の市区町村へ転居した場合の手続きは自治体によって扱いが異なるため、転居先の窓口に確認しましょう。
まとめ
障害者手帳の更新(再判定)は、安定した生活を送り、必要な支援を受け続けるために欠かせない手続きです。特に、療育手帳の「再判定」と精神障害者保健福祉手帳の「2年ごとの更新」は、期限管理が重要となります。
- 身体障害者手帳:原則更新不要(再認定が指定される場合あり)
- 療育手帳:定期的な再判定が必要(時期・間隔・有無は自治体により大きく異なる)
- 精神障害者保健福祉手帳:2年ごとの更新が必須(有効期限の3か月前から申請可能)
手続きは複雑に感じられるかもしれませんが、各自治体には障害福祉の相談窓口が設置されています。この記事を参考に、ご自身の手帳の種類と更新(再判定)時期を確認し、不明な点があれば早めに窓口へ相談することをお勧めします。余裕を持った準備と手続きで、安心してサービスを利用し続けられるようにしましょう。なお、必要書類・様式・手続きの詳細は自治体によって異なり、改定されることもあるため、実際の手続き前には必ずお住まいの市区町村の公式情報や窓口で最新の内容をご確認ください。

