ITスキル標準(ITSS)とは?まず基本を押さえよう
「ITスキル標準」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。IT業界で働く方やこれからIT分野を目指す方にとって、どんなスキルを身につければキャリアアップできるのかは大きな悩みです。
この記事では、ITスキル標準(ITSS)に対応した資格を一覧形式でわかりやすく整理しています。自分のレベルに合った資格が見つかるよう、分野別・レベル別に網羅しました。資格選びに迷っている方は、ぜひ最後までお読みください。
※本記事の合格率・受験者数・制度内容などは、調査時点や改定によって変わることがあります。受験や制度の詳細は、各実施機関やIPA・経済産業省の公式情報で最新の内容をご確認ください。
ITスキル標準(ITSS)の定義と目的
ITスキル標準(ITSS:IT Skill Standard)とは、経済産業省が策定したIT人材のスキル体系です。2002年に初版が公開されました。
ITSSの主な目的は以下の3つです。
- IT人材に求められるスキルを明確化すること
- 個人のスキルアップ指針を提供すること
- 企業の人材育成計画に活用してもらうこと
現在はIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が改訂・普及活動を担っています。IT業界における「共通のものさし」として、多くの企業で人材育成や評価の参考に使われています。
ITSSの7段階レベル体系
ITSSでは、IT人材のスキル熟達度をレベル1からレベル7までの7段階で定義しています。各レベルの概要は次のとおりです。
| レベル | 人材像 | 概要 |
|---|---|---|
| レベル1 | エントリー | 基本的な知識を有し、上位者の指導のもとで業務を遂行できる |
| レベル2 | ミドル | 一定の知識・技能を有し、上位者の指導のもとで独力で業務を遂行できる |
| レベル3 | ハイレベルミドル | 応用的な知識・技能を有し、独力で業務を遂行できる |
| レベル4 | ハイレベル | 高度な知識・技能を有し、プロフェッショナルとして業務をリードできる |
| レベル5 | シニア | 社内で技術のリーダーとして認められるレベル |
| レベル6 | プリンシパル | 国内で有数のプロフェッショナルとして認められるレベル |
| レベル7 | スーパーハイレベル | 世界で通用するプロフェッショナルとして認められるレベル |
レベル1〜3は知識・経験で到達可能とされますが、レベル4以上は実績や業界への貢献度も評価対象になります。資格試験でレベルの目安を測れるのは主にレベル1〜4であり、レベル5以上は実務実績による評価が中心です。
ITSSの11の職種と35の専門分野
ITSSでは、IT人材の職種を11種類に分類しています。さらに各職種は専門分野に細分化され、合計で35の専門分野が定義されています。
- マーケティング
- セールス
- コンサルタント
- ITアーキテクト
- プロジェクトマネジメント
- ITスペシャリスト
- アプリケーションスペシャリスト
- ソフトウェアデベロップメント
- カスタマサービス
- ITサービスマネジメント
- エデュケーション
自分が目指す職種・専門分野を特定することで、取得すべき資格が明確になります。
ITSSのレベルに対応する資格一覧【国家資格編】
ITSSのレベルに対応する代表的な資格として、まずIPAが実施する情報処理技術者試験があります。国家資格として広く認知されています。
なお、情報処理技術者試験のレベル(ITパスポート=レベル1など)は、正確にはIPAの「共通キャリア・スキルフレームワーク(CCSF)」のレベル1〜4に対応づけて整理されています。ITSSとCCSFは共通のレベル定義を用いているため、本記事では各試験のレベルをITSSのレベルの目安として扱います。
レベル1対応の国家資格
| 資格名 | レベル | 対象者 | 試験時期 |
|---|---|---|---|
| ITパスポート試験(iパス) | レベル1 | すべての社会人・学生 | 随時(CBT方式) |
ITパスポートは、IT分野の入門資格です。近年は年間の応募者数が30万人を超え、情報処理技術者試験で最も受験者数が多い試験です。ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系の3分野から出題され、ITの基礎知識を幅広く問われます。
新入社員研修の一環として取得を推奨する企業も多く、IT業界以外の方にもおすすめです。
レベル2対応の国家資格
| 資格名 | レベル | 対象者 | 試験時期 |
|---|---|---|---|
| 基本情報技術者試験(FE) | レベル2 | IT技術者の入門レベル | 随時(CBT方式) |
| 情報セキュリティマネジメント試験(SG) | レベル2 | 情報セキュリティ管理の実践者 | 随時(CBT方式) |
基本情報技術者試験は、ITエンジニアの登竜門として知られる資格です。CBT方式で通年受験が可能です。アルゴリズムやプログラミング、データベース、ネットワークなど幅広い知識が問われます。
情報セキュリティマネジメント試験は、2016年に新設された比較的新しい資格です。セキュリティポリシーの運用やリスク管理に携わる方に適しています。
レベル3対応の国家資格
| 資格名 | レベル | 対象者 |
|---|---|---|
| 応用情報技術者試験(AP) | レベル3 | 数年の実務経験を持つIT技術者 |
応用情報技術者試験は、IT技術者として一人前であることを示す資格です。午前試験は多肢選択、午後試験は記述式で、より深い理解と応用力が求められます。
この資格に合格すると、高度試験・支援士試験の午前I(現・科目A-1)試験が2年間免除されるメリットがあります。レベル4の高度試験を目指す方にとって、重要なステップアップ資格です。
レベル4対応の国家資格(高度情報処理技術者試験)
レベル4には、9つの高度情報処理技術者試験が対応しています。それぞれ専門分野に特化した内容です(試験時期は制度改定で変わることがあるため、最新はIPA公式でご確認ください)。
| 資格名 | 対応するITSS職種の例 | 合格率の目安 |
|---|---|---|
| ITストラテジスト試験(ST) | コンサルタント | 約15%前後 |
| システムアーキテクト試験(SA) | ITアーキテクト | 約15%前後 |
| プロジェクトマネージャ試験(PM) | プロジェクトマネジメント | 約14%前後 |
| ネットワークスペシャリスト試験(NW) | ITスペシャリスト | 約14%前後 |
| データベーススペシャリスト試験(DB) | ITスペシャリスト | 約17%前後 |
| エンベデッドシステムスペシャリスト試験(ES) | ソフトウェアデベロップメント | 約17%前後 |
| ITサービスマネージャ試験(SM) | ITサービスマネジメント | 約14%前後 |
| システム監査技術者試験(AU) | コンサルタント | 約15%前後 |
| 情報処理安全確保支援士試験(SC) | ITスペシャリスト | 約20%前後 |
高度試験の合格率は約14〜20%と低く、しっかりとした準備が必要です。特に午後II試験では論述式(2,000〜3,000字程度)が出題される試験もあり、論理的な文章力も求められます。
なお、情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)は、IPAが実施するIT系国家試験の中で唯一の「士業」に位置づけられる国家資格であり、合格後に登録することで「情報処理安全確保支援士」の名称を使用できます(名称独占)。年2回受験機会がある点も特徴です。
ITスキル標準に対応するベンダー資格一覧【民間資格編】
国家資格だけでなく、民間のベンダー資格も各レベルの目安に対応づけて語られることがあります。実務で役立つスキルを証明するうえで、ベンダー資格も重要です。
なお、以下のレベル対応は、IPAが公式に定めたものではなく、各資格の難易度や位置づけをもとにした一般的な目安です。参考としてご覧ください。
クラウド関連のベンダー資格
クラウドコンピューティングが主流となった現在、クラウド関連資格の需要は拡大しています。
| 資格名 | 提供元 | レベルの目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| AWS認定クラウドプラクティショナー | Amazon Web Services | レベル2相当 | AWSの基礎知識を問う入門資格 |
| AWS認定ソリューションアーキテクト アソシエイト | Amazon Web Services | レベル3相当 | AWSでのシステム設計能力を証明 |
| AWS認定ソリューションアーキテクト プロフェッショナル | Amazon Web Services | レベル4相当 | 高度なAWS設計スキルを証明 |
| Microsoft Azure Fundamentals(AZ-900) | Microsoft | レベル2相当 | Azureの基礎知識を問う入門資格 |
| Microsoft Azure Administrator(AZ-104) | Microsoft | レベル3相当 | Azureの管理・運用スキルを証明 |
| Google Cloud Associate Cloud Engineer | レベル3相当 | Google Cloudの構築・管理能力を証明 | |
| Google Cloud Professional Cloud Architect | レベル4相当 | Google Cloudの高度な設計能力を証明 |
クラウド移行が進む企業では、これらの資格を持つ人材の需要が高く、待遇面でも評価されやすい傾向があります。
ネットワーク・セキュリティ関連のベンダー資格
| 資格名 | 提供元 | レベルの目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| CCNA | Cisco Systems | レベル2〜3相当 | ネットワーク技術者の定番資格 |
| CCNP | Cisco Systems | レベル3〜4相当 | 上級ネットワーク技術を証明 |
| CompTIA Security+ | CompTIA | レベル2〜3相当 | ベンダーニュートラルなセキュリティ資格 |
| CISSP | ISC2 | レベル4相当 | 情報セキュリティの国際的な上位資格 |
| CISM | ISACA | レベル4相当 | セキュリティマネジメントに特化 |
特にCISSPは、世界的に高い評価を受けるセキュリティ資格です。認定には一定年数の実務経験が必要とされ、国内では保有者が比較的少なく、希少性の高い資格とされています。
データベース・開発関連のベンダー資格
| 資格名 | 提供元 | レベルの目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| Oracle Master Bronze | Oracle | レベル2相当 | Oracle DBの基礎スキルを証明 |
| Oracle Master Silver | Oracle | レベル3相当 | Oracle DBの運用管理スキルを証明 |
| Oracle Master Gold | Oracle | レベル3〜4相当 | Oracle DBの高度な技術力を証明 |
| Oracle Master Platinum | Oracle | レベル4相当 | Oracle DBの最上位資格 |
| OSS-DB Silver | LPI-Japan | レベル2〜3相当 | PostgreSQLの基本スキルを証明 |
| OSS-DB Gold | LPI-Japan | レベル3相当 | PostgreSQLの高度なスキルを証明 |
Oracle Masterは国内のデータベース関連資格として知名度が高く、特にSIer(システムインテグレーター)企業で評価される傾向があります。
プロジェクトマネジメント関連の資格
| 資格名 | 提供元 | レベルの目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| CAPM | PMI | レベル2〜3相当 | PM初心者向けの国際資格 |
| PMP | PMI | レベル3〜4相当 | 国際的に広く認知されるPM資格 |
| PRINCE2 Foundation | Axelos | レベル2〜3相当 | 英国発のPM方法論の基礎資格 |
| PRINCE2 Practitioner | Axelos | レベル3〜4相当 | PRINCE2の実践レベル資格 |
PMPは多くの国と地域で認知されているプロジェクトマネジメントの国際資格です。受験には一定時間以上のPM実務経験が必要なため、ある程度の実務経験を積んでからの挑戦となります。
ITSS職種別おすすめ資格ロードマップ
ここでは、主要な職種ごとにおすすめの資格取得順序をロードマップとして整理します。キャリアパスに合わせた資格選びの参考にしてください。
インフラエンジニアの資格ロードマップ
ITSSの「ITスペシャリスト」に対応するインフラエンジニアの推奨ロードマップの一例です。
- レベル1〜2:ITパスポート → 基本情報技術者試験 → CCNA または Linux技術者認定(LinuC/LPIC Level1)
- レベル2〜3:応用情報技術者試験 → AWS認定ソリューションアーキテクト アソシエイト → CCNP
- レベル3〜4:ネットワークスペシャリスト または 情報処理安全確保支援士 → AWS認定プロフェッショナル
インフラエンジニアはネットワーク・サーバー・クラウドの3領域をバランスよく学ぶことが重要です。近年はオンプレミスとクラウドのハイブリッド環境が主流のため、両方の知識が求められます。
アプリケーション開発エンジニアの資格ロードマップ
ITSSの「アプリケーションスペシャリスト」や「ソフトウェアデベロップメント」に対応する開発エンジニアの一例です。
- レベル1〜2:ITパスポート → 基本情報技術者試験 → Oracle Certified Java Programmer Silver
- レベル2〜3:応用情報技術者試験 → Oracle Master Silver → AWS認定デベロッパー アソシエイト
- レベル3〜4:データベーススペシャリスト または システムアーキテクト → PMP
開発エンジニアにとって資格は知識の体系的な整理に役立つ反面、実際のコーディングスキルやポートフォリオも同時に重視されます。資格取得と実践的な開発経験を並行して積むことが大切です。
セキュリティエンジニアの資格ロードマップ
- レベル1〜2:ITパスポート → 情報セキュリティマネジメント試験 → CompTIA Security+
- レベル2〜3:基本情報技術者試験 → 応用情報技術者試験
- レベル3〜4:情報処理安全確保支援士 → CISSP または CISM
セキュリティ分野は法規制や国際基準の知識も重要です。個人情報保護法やGDPR、ISO 27001などの知識も並行して身につけましょう。
プロジェクトマネージャーの資格ロードマップ
- レベル1〜2:ITパスポート → 基本情報技術者試験
- レベル2〜3:応用情報技術者試験 → CAPM → PMP
- レベル3〜4:プロジェクトマネージャ試験 → ITストラテジスト試験
マネジメント職を目指す方は、技術資格とマネジメント資格の両方を持っていると評価されやすくなります。
ITSS+・CCSF(共通キャリア・スキルフレームワーク)との関係
ITSSをさらに深く理解するために、関連するスキルフレームワークについても押さえておきましょう。
ITSS+(プラス)とは
ITSS+(プラス)は、2017年に策定されたフレームワークで、データサイエンス・アジャイル・IoTソリューション・セキュリティといった先端技術領域をカバーしています。第4次産業革命に向けたIT人材の”学び直し”の指針として位置づけられています。
ITSS+は、従来のITSSに統合するものではなく、学び直しの指針として別建てで整理されたものである点に注意が必要です。それぞれの領域で固有の整理が行われています。
CCSF(共通キャリア・スキルフレームワーク)とは
CCSF(Common Career Skill Framework)は、ITSS・ETSS(組込みスキル標準)・UISS(情報システムユーザースキル標準)といったスキル標準を、抽出可能なモデルとして共通の枠組みで扱えるように整理したフレームワークです。前述のとおり、情報処理技術者試験のレベルは、このCCSFのレベル1〜4に対応づけて整理されています。
CCSFにより、企業は自社の戦略に合わせて必要なスキル標準を組み合わせて活用しやすくなりました。
DX推進における新たなスキル定義(DSS)
DX(デジタルトランスフォーメーション)推進を見据えて、経済産業省とIPAは「デジタルスキル標準(DSS)」を公開しています。DSSは2022年12月に公開され、その後改訂が重ねられています。従来のITSSがIT専門人材向けであるのに対し、DSSはすべてのビジネスパーソンを対象としている点が特徴です。
DSSは以下の2つで構成されています。
- DXリテラシー標準:すべてのビジネスパーソン向け
- DX推進スキル標準:DXを推進する人材向け
今後のキャリアを考える際には、ITSSだけでなくDSSの観点も取り入れることをおすすめします。
ITスキル標準を活用した資格選びの5つのポイント
多くの資格がある中で、自分に最適な資格をどう選べばよいのでしょうか。実践的な5つの選び方のポイントを紹介します。
ポイント1:現在の自分のレベルを正しく把握する
まずはITSSのレベル定義を参考に、現在の自分のスキルレベルを客観的に評価しましょう。IPAが提供する「iコンピテンシ・ディクショナリ(iCD)」といったツールも、スキルの棚卸しに活用できます。
未経験者やIT業界への転職者は、レベル1(ITパスポート)から始めるのが無理のないアプローチです。
ポイント2:目指すキャリアパスから逆算する
「3年後にどのような職種・ポジションに就きたいか」を明確にし、そこから逆算して資格取得計画を立てましょう。
たとえばインフラエンジニアとしてクラウド分野のスペシャリストを目指すなら、AWS認定資格を中心に据えた計画が効率的です。漠然と資格を取るより、キャリアゴールから逆算する方が学習効率が高まります。
ポイント3:国家資格とベンダー資格を組み合わせる
国家資格(情報処理技術者試験)は体系的な知識の証明に優れ、ベンダー資格は特定技術の実践力の証明に優れています。両方をバランスよく取得することで、幅広いスキルをアピールしやすくなります。両方を持つ人材は、採用や社内評価で強みになりやすいと言えます。
ポイント4:市場価値の高い資格を優先する
求人市場での需要も資格選びの重要な判断材料です。近年、特に需要が高い分野は以下のとおりです。
- クラウド:AWS、Azure、Google Cloud関連資格
- セキュリティ:情報処理安全確保支援士、CISSP
- データ分析・AI:G検定、E資格、データサイエンティスト検定
- プロジェクトマネジメント:PMP、プロジェクトマネージャ試験
IT業界の転職サイトを定期的にチェックし、求人条件に多く挙がっている資格を把握しておくとよいでしょう。
ポイント5:資格の有効期限と更新要件を確認する
国家資格(情報処理技術者試験)は基本的に有効期限がありません。一方、多くのベンダー資格には有効期限があります。
| 資格 | 有効期限 | 更新方法 |
|---|---|---|
| 情報処理技術者試験(全般) | なし | 不要 |
| 情報処理安全確保支援士(登録後) | 更新講習が必要 | オンライン講習+実践(特定)講習 |
| AWS認定資格 | 3年 | 再認定 |
| CCNA | 3年 | 上位試験合格 または CE取得 |
| PMP | 3年 | 60PDU(継続教育単位)の取得 |
| CISSP | 3年 | CPE(継続教育クレジット)の取得 |
ベンダー資格は更新にコストと時間がかかるため、実務で必要な資格を厳選して取得することが大切です。
注目のIT資格とトレンド
IT業界は変化が激しく、新しい技術領域に対応した資格が次々と登場しています。注目すべき最新トレンドを紹介します。
AI・データサイエンス分野の資格
AI・データサイエンス分野の資格需要は伸びています。
| 資格名 | 提供元 | 概要 |
|---|---|---|
| G検定(ジェネラリスト検定) | 日本ディープラーニング協会(JDLA) | AIの基礎知識・活用能力を問う |
| E資格(エンジニア資格) | 日本ディープラーニング協会(JDLA) | ディープラーニングの実装スキルを問う(受験に認定講座の修了が必要) |
| データサイエンティスト検定(DS検定) | データサイエンティスト協会 | データサイエンスの基礎力を問う |
| 統計検定(2級以上) | 日本統計学会 | 統計学の知識を体系的に証明 |
| AWS認定 Machine Learning 関連 | Amazon Web Services | AWS上でのML実装能力を証明 |
G検定は累計合格者数が近年10万人を超え、AI系資格の中でも受験者が多い資格の一つです。
DX・アジャイル関連の資格
DX推進やアジャイル開発の普及に伴い、以下の資格も注目されています。
- 認定スクラムマスター(CSM):Scrum Allianceが認定するアジャイル開発の資格
- Professional Scrum Master(PSM):Scrum.orgが提供するスクラムマスター資格
- ITIL 4 Foundation:ITサービスマネジメントのベストプラクティス資格
- AWS認定 DevOps Engineer Professional:DevOps実践能力を証明
これらの資格は、ITSSの従来の枠組みだけでは完全にカバーしきれない領域ですが、ITSS+やデジタルスキル標準(DSS)と合わせて評価される傾向が強まっています。
今後の資格市場の展望
今後は、生成AI(Generative AI)関連の資格がさらに増加すると予測されています。主要なクラウドベンダーも、AI・生成AI関連の認定プログラムを拡充しています。
ITSSや関連フレームワークも改訂が見込まれるため、最新情報をIPAや経済産業省の公式サイトで定期的にチェックすることをおすすめします。
まとめ:ITスキル標準を活用して戦略的に資格を取得しよう
本記事のポイントを整理します。
- ITSSは7段階のレベル体系で、IT人材に必要なスキルを定義したフレームワーク
- 情報処理技術者試験のレベルは、共通キャリア・スキルフレームワーク(CCSF)に基づいて整理されており、ITSSと共通のレベル定義を用いている
- ITパスポート(レベル1)→ 基本情報(レベル2)→ 応用情報(レベル3)→ 高度試験(レベル4)が基本ステップ
- ベンダー資格(AWS、Cisco、Oracleなど)も目安として各レベルに対応づけられる
- 目指すキャリアパスから逆算して資格を選ぶのが効率的
- ITSS+(学び直しの指針)やデジタルスキル標準(DSS)など、新しいフレームワークも視野に入れる
- AI・クラウド・セキュリティ分野の資格は今後も需要が拡大する見込み
ITスキル標準を「自分のキャリアの地図」として活用し、計画的に資格を取得していくことで、キャリアアップにつなげることができます。まずは現在の自分のレベルを確認し、次に取るべき資格を一つ決めるところから始めてみてください。
よくある質問(FAQ)
ITスキル標準(ITSS)とは何ですか?
ITスキル標準(ITSS)とは、経済産業省が策定し、IPA(情報処理推進機構)が改訂・普及を担うIT人材のスキル体系です。IT人材に求められるスキルをレベル1〜7の7段階で定義し、11の職種と35の専門分野に分類しています。個人のスキルアップや企業の人材育成の指針として広く活用されています。
ITSSのレベルに対応する国家資格にはどのようなものがありますか?
一般的に、レベル1にはITパスポート試験、レベル2には基本情報技術者試験と情報セキュリティマネジメント試験、レベル3には応用情報技術者試験が対応します。レベル4には、ITストラテジスト・システムアーキテクト・プロジェクトマネージャ・ネットワークスペシャリスト・データベーススペシャリスト・情報処理安全確保支援士など9つの高度試験が対応します。なお、これらの試験のレベルは共通キャリア・スキルフレームワーク(CCSF)に基づいて設定されています。
ベンダー資格とITSSの対応関係はどうなっていますか?
ベンダー資格はITSSの公式なレベル対応表に含まれるものではありませんが、難易度や位置づけをもとにレベルの目安として対応づけて語られることがあります。例えば、AWS認定クラウドプラクティショナーはレベル2相当、CCNAはレベル2〜3相当、PMPはレベル3〜4相当などと位置づけられます。これはあくまで目安であり、国家資格とベンダー資格の両方を取得することで評価されやすくなります。
IT資格の取得順序はどのように決めればよいですか?
まずITSSのレベル定義を参考に自分の現在のスキルレベルを確認し、目指すキャリアパスから逆算して計画を立てるのが効率的です。基本的にはITパスポート(レベル1)→基本情報技術者試験(レベル2)→応用情報技術者試験(レベル3)→高度試験(レベル4)の順が王道です。並行してキャリア方向に合ったベンダー資格を取得すると効果的です。
ITSSとITSS+、デジタルスキル標準(DSS)の違いは何ですか?
ITSSはIT専門人材の従来型スキルを体系化したフレームワークです。ITSS+は2017年に策定された”学び直し”の指針で、データサイエンス・アジャイル・IoTソリューション・セキュリティなどの先端技術領域のスキルを定義しています(ITSSに統合するものではありません)。デジタルスキル標準(DSS)は2022年に公開された新しいフレームワークで、DX推進に必要なスキルを定義しており、IT専門人材だけでなくすべてのビジネスパーソンを対象としている点が特徴です。
現在、需要が高いIT資格はどれですか?
近年、特に需要が高い分野はクラウド(AWS認定資格、Azure認定資格など)、セキュリティ(情報処理安全確保支援士、CISSPなど)、AI・データサイエンス(G検定、E資格、DS検定など)、プロジェクトマネジメント(PMPなど)です。生成AI関連の資格も今後さらに需要が拡大すると予測されています。
ベンダー資格の有効期限はどのくらいですか?
多くのベンダー資格は3年程度の有効期限が設定されています。AWS認定資格は3年ごとの再認定が必要で、CCNAも3年で失効します。PMPは3年間で60PDU(継続教育単位)の取得が必要です。一方、情報処理技術者試験の国家資格は基本的に有効期限がありません。ただし、情報処理安全確保支援士は登録後、定期的な講習の受講が義務づけられています。

